日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
20 巻, 10 号
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  • (第1報) 強塩基性アニオン交換樹脂による糖類の吸着と分解
    藤井 聰, 川崎 耕治, 河本 正彦
    1973 年 20 巻 10 号 p. 449-455
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    イオン交換樹脂の糖液清浄への応用の見地から強塩基性アニオン交換樹脂(アンバーライトIRA-900)の糖類に及ぼす影響を検討し,つぎの結果を得た。
    (1) ショ糖は本樹脂に吸着され,約50分後には平衡に達する。この吸着はFREUNDLICHの等温式に適合し,低温におけるほど大きい。食塩の共存は著しく糖の吸着量を減少するが,ショ糖の存在は塩素イオン交換容量に対し全く影響を与えない。ブドウ糖とショ糖の共存はお互いにその吸着量に影響を与えるがショ糖の吸着量の減少が大であった。しかし糖全体としての吸着量には大きな変化がない。吸着されたショ糖はギ酸,炭酸ガス,アルカリなどによって95%以上が未変化のままで回収されるが,水によっては30%が最大限であった。
    (2) ブドウ糖はまず吸着され,ついで併行して分解,異性化,着色物化などの反応を受ける。樹脂に保持されている時間が長いほど,また接触時の温度が高いほど,これらの諸反応は促進され,もとの糖の回収率は非常に小さくなる。分解あるいは異性化反応生成物として果糖,プシコース,マンノース(微量),ならびに乳酸とグリコール酸を含む8種の有機酸の存在を認めた。ブドウ糖は本樹脂と接触している間にアルカリ水溶液中におけると同様の変化を受けると考えた。
  • (第3報) 低温障害バナナ果実の追熟に伴うgluconeogenesisに関する代謝変化
    能岡 浄
    1973 年 20 巻 10 号 p. 456-462
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    台湾(台中)産の緑熟バナナを6℃に貯蔵した果実,6℃に9日間貯蔵後20℃に変温した果実および20℃に貯蔵した健全追熟果の三者について14C-アスパラギン酸および14C-セリンの取込みと,PGDH活性およびSDH活性とを比較して次の結果を得た。
    14C-アスパラギン酸の有機酸への取込みと中性(糖)区分への取込みの割合を比較すると,6℃に貯蔵したものでは4日目までは健全果と大差ないが,6日以後は健全果よりも著しく高くなり,とくにhexose区分への取込みが高くなる。14C-セリンの取込みについても同じように糖区分への取込みが多くなり,有機酸への取込みに対する割合は健全果よりかなり高い。
    20℃に変温後3日目までは同様な現象が見られるが,5日以後になると14C-アスパラギン酸の糖区分への取込みは減少するが,hexoseへの取込みは増加し,pentoseへの取込みも著しく増加する。しかし14C-セリンの取込みは14C-アスパラギン酸の取込みと異なり5日目以後は糖区分への取込みは減少し,7日目には有機酸およびエタノールへの取込みが増加する。14C-アスパラギン酸のエタノールへの取込みはいずれの果実においても大きな変化は認められなかった。
    6℃に貯蔵してもPGDH活性およびSDH活性は健全果と大差ない。しかし20℃に変温すると変温直後から両酵素活性は増加し始め,追熟に伴いさらに活性は増加し7日目に至り最大となる。
    以上の実験結果に基づき低温障害果のgluconeogenesisに関連する代謝経路を考察した。
  • (第4報) 紅茶水色の化学的評価方法
    竹尾 忠一, 大沢 キミコ
    1973 年 20 巻 10 号 p. 463-467
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    The optical densities of theaflavin, thearubigin and water-soluble oxidized matter in black tea infusion were determined by the procedure ascribed by CASSON after several modifications and applied on the evaluation of the quality of black tea infusion.
    The optical density values of theaflavin, thearubigin and also theaflavin plus thearubigin showed high positive correlations with the evaluation of the quality of tea, respectively, while water-soluble oxidized matter showed negative correlation.
    Furthermore, it was thought that theaflavin, theaflavin plus thearubigin and water-soluble oxidized matter were likely to compose predominantly color of black tea infusion from the results of multiple regression analysis.
    From these results, it was assumed that the rates of the optical density values of theaflavin plus thearubigin and water-soluble oxidized matter in total color of black tea infusion were effective to evaluating and classifying black teas.
  • (第5報) 紅茶の品質管理法への紅茶水色分析法の応用
    竹尾 忠一, 大沢 キミコ
    1973 年 20 巻 10 号 p. 468-472
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    Among the high, middle and low grade black teas, the concentration levels of theaflavin, thearubigin and water-soluble oxidized matter were surveyed by using the photometric method shown in previous paper.
    The high grade teas showed high concentration levels of theaflavin and thearubigin, while the reversed result was obtained from the low grade one.
    Each adjoining groups between high and middle or middle and low grade teas were discriminated by the discriminant functions made from both values of theaflavin and thearubigin or theaflavin plus thearubigin and water.soluble oxidized matter, respectively.
    The distributed areas of the infusion colors of respective three grade teas were fixed by the quality control diagrams made from above-mentioned coupled two variables.
  • 梁 逸, 浜渦 善一郎, 松本 幸雄, 米沢 大造
    1973 年 20 巻 10 号 p. 473-477
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    分析用超遠心機を用いて,乳清中における牛乳カゼインミセルの沈降を30℃で測定し,濃度勾配曲線のピークの沈降定数としてpH 6.8では440 S, pH 5.8では570 Sなる値を得た。また濃度勾配曲線から求めたs分布はpH 6.8では250~1500 Sの範囲に, pH 5.8では390~1600 Sの範囲に分布をもつ結果を得た。これより粒子直径の分布を求めるとpH 6.8で850~2100Aとなり,重量平均粒子直径は1200Åとなった。またpH5.8で780~1800Åとなり,平均直径は1100Åとなった。pH 5.8ではpH 6.8に比して粒子径が約10%ほど収縮していることが認められた。
  • I. 米,小麦について
    並木 満夫, 林 建樹, 亀田 清, 川岸 舜朗
    1973 年 20 巻 10 号 p. 478-484
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 照射食品に残存する遊離基を調べるため,米,小麦の全粒と,それを胚乳,ヌカ,フスマに分けたもの,およびその成分のデンプンとグルテンを試料とし,これらをγ線照射した直後から経時的にESRスペクトルを測定して検討した。
    (2) 残存遊離基量は,米と小麦間,またそれらの品種間にもあまり差がなく,いずれの場合も試料の水分含量を始め,酸素,温度に影響される。とくに平衡水分以下の場合,残存量が著しく大きくなり,この分は照射後比較的すみやかに減少してゆく。
    各成分を各種条件下で照射してESRスペクトルの変化を調べた結果,二種類の遊離基が存在すること,その一方は上の場合のとくに水分の少ない時にみられるESRスペクトルの主体をなすもので,線幅22~23Gで,主として胚乳部のデンプン中に存在し,これは酸素に対する感受性も大きく,照射後,比較的すみやかに減衰するものであると推定された。一方,グルテンの場合の12G,ヌカの場合の11Gのスペクトルは,かなり安定で長時間存在することがわかった。
    (3) 本実験の結果,米,小麦を0.3 Mrad以下で照射し,空気中20℃程度の室温で貯蔵した場合には,残留遊離基は数日間で消滅する。したがって,照射食品の検知手段の点からも,また成分変化,安全性などの点からも,残留遊離基が問題にはならないと考えられる。
  • (第12報) アミノ酸ならびにアミン系かっ変反応物の保存中における抗酸化力の変化
    山口 直彦, 藤巻 正生
    1973 年 20 巻 10 号 p. 485-491
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) n-ブチルアミン,n-ヘキシルアミンおよびオクチルアミンとキシローズとのかっ変反応物は保存中に着色度,還元力とも大きく減少した。またn-ブチルアミン系の紫外部吸収スペクトルの測定の結果,吸収極大は短波長側に移動するとともに265nm附近に吸収の増加が認められた。
    (2) これらのアミン系のかっ変反応物は保存することによって抗酸化力は減少し,とくにn-ブチルアミン系において著しかった。
    (3) アミノ酸系のかっ変反応物は保存中,アミン系に比較して,着色度,還元力および紫外部吸収スペクトルとも変化が少なかった。
    (4) アミノ酸系のかっ変反応物は保存中(34日)にその抗酸化力の減少する傾向は認められなかった。
  • 久米 民和, 橘 宏行, 青木 章平, 佐藤 友太郎
    1973 年 20 巻 10 号 p. 492-494
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ジャガイモの発芽防止を目的とした実用規模の照射装置を設計するための基礎として,大型コンテナ(内法100×160×130cm)を用いたときの吸収線量分布を鉄線量計を用いて測定した。この結果,線源とコンテナ間の距離を205cmおよび398cmとしたときのコンテナ中心線上奥行方向の最大・最小吸収線量の比はそれぞれ3.00, 2.47であった。したがってこのコンテナを用いて照射を行なう場合,最大・最小吸収線量の比を2.50以内にするためには,線源とコンテナとの距離を少なくとも4m離さなければならないであろうという結論を得た。
  • 1973 年 20 巻 10 号 p. 495-503
    発行日: 1973/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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