食塩,酢酸,油の濃度のことなるマヨネーズをバキュウムミキサー及びコロイドミルで乳化調製し,油滴の粒子径,粘度,並びに振動と凍結に対する安定性について検討した。
コロイドミルでは油濃度90V/V%のマヨネーズは,0/W型の相が反転し,分離状のものしか得られなかった。また,85V/V%のマヨネーズは調製出来たが,振動に対する安定性はバキュウムミキサー製より低かった。しかし,油濃度65V/V%と75V/V%のマヨネーズの安定性は高かった。すなわち,油が高濃度の場合にはバキュウムミキサー製マヨネーズの安定性は高く,油が低濃度の場合はコロイドミル製の安定性が高いことが認められた。
油滴の平均粒子径と標準偏差,及び,これより算出した分散粒子を包む水相の膜の厚さ,並びに,振動に対する安定性の測定結果から次のことが推察される。
コロイドミル製マヨネーズは油滴の粒子径が小で標準偏差が小さく単分散系に近いエマルジョンである。従って,74.02V/V%を超える高濃度のエマルジョンは調製困難であり,調製出来た場合でも,油滴の粒子数が多いため,粒子を包む水相の膜が薄く,機械的強度が弱いため破れやすいと思われる。
また,コロイドミル及びバキュウムミキサー製の両者とも,食塩と酢酸濃度が高くなるに従ってマヨネーズの安定性が低下することは,この膜の強度が食塩と酢酸によって低下し,振動を受けると破れやすくなることが主な原因であると思われる。
凍結分離に対するマヨネーズの安定性は食塩によって強化され,酢酸によって阻害されることが認められた。また,コロイドミル製マヨネーズはバキュウムミキサー製より凍結に対し安定性が高かった。
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