日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
26 巻, 2 号
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  • 川崎 聖司, 野村 男次
    1979 年 26 巻 2 号 p. 52-56
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酵母蛋白質,大豆蛋白質およびカゼイン濃厚溶液の動的粘弾性を測定してその流動特性の相違につき検討をおこない,次の結果を得た。
    各蛋白質の粘弾性挙動には基本的にG'について換算変数法が適用でき,長いタイムスケールにわたる合成曲線が得られた。これらは各蛋白質において特徴的な傾向を示し,同一種の蛋白質では類似した挙動がみられた。酵母蛋白質は大豆蛋白質と同様にゲルを形成しやすく,橋かけ高分子としての特徴を示した。一方カゼインには橋かけのない高分子としての現象がみられた。両者の差は特に終端領域で顕著であった。
  • 貯蔵青果物の品質変化に関する生化学的研究(第5報)
    能岡 浄
    1979 年 26 巻 2 号 p. 57-64
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    輸入直後のフィリッピン産の緑熟健全バナナ果実を6℃に貯蔵したもの,6℃に9日間置いた後(6℃-9日区)20℃に昇温貯蔵した果実および20℃に貯蔵した果実(対照区)についてデンプン,デキストリン,麦芽糖,ショ糖,グルコースおよびフルクトースの変化と,α-アミラーゼ,β-アミラーゼ,見かけのstarch phosphory-lase,見かけのF6 Pase,マルターゼ,インベルターゼおよびショ糖合成酵素の活性変化を調べ,次の結果を得た。
    対照区において,貯蔵4日後までは初日と大差ないが,6日および8日にはアミラーゼおよび見かけのstarch phosphorylase活性の増加と共にデンプンが急減し,マルターゼ活性の増加に伴ってグルコースが増加した。またこれらの果実ではショ糖合成酵素の活性増加に伴ってショ糖が急増し,同時にインベルターゼ活性の急増および見かけのF6 Pase活性の漸増と共にグルコースとフルクトースも増加した。10日以後にはデンプンの消失と共にアミラーゼ,見かけのstarch phosphory-laseおよびF6 Pase活性が漸減し,ショ糖合成酵素の活性は変化なく,マルターゼ活性が漸増することを認めた。またインベルターゼ活性は急減したが,グルコースは10日以後も直線的に増加し,フルクトースおよびショ糖は漸増した。なお麦芽糖は4日後まで変化なく,6日以後は追熟と共に漸増した。
    6℃に4日間貯蔵した場合(6℃-4日区)は対照区の4日後と大差ない。また6℃に6日および9日間貯蔵した果実では,α-アミラーゼ活性は6℃-4日区と差がなく,デンプンの減少もほとんど認められなかった。6℃-9日区の20℃昇温1~3日後にはα-アミラーゼおよび見かけのstarch phosphorylase活性の漸増に伴ってデンプンがわずかに減少した。しかしこれらの障害果ではβ-アミラーゼ,マルターゼおよびインベルターゼ活性は6℃-4日区と大差なく,見かけのF6 Pase活性およびショ糖合成酵素の活性は高く,デンプンの減少以上に糖が増加した。
    6℃-9日区の20℃昇温5日および7日後の果実では,糖質および糖質代謝に関与する酵素活性の変化は対照区の6日および8日後と,また昇温後10日の果実の場合は対照区の10日間貯蔵のものと同じような傾向が見られた。
    なおいずれの果実においても,デキストリン量は果実重量の0.2%以下であり,貯蔵日数に伴う大きな変化は見られなかった。
    以上の結果に基づき,糖質の代謝経路を比較検討し,6℃-9日区の20℃昇温5~7日後は,対照区の6~8日後と同じように,デンプンの加水分解およびamylo-phosphorolysisが盛んであると考察した。
  • 油脂の安定性に及ぼすアミノ化合物の影響(第4報)
    山口 直彦, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1979 年 26 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    各種の酵素を用いて蛋白質の加水分解率と抗酸化力との関係及び加水分解物をセファディクスG-25によって分画し,分画物の抗酸化力を測定した結果,
    (1) 大豆蛋白質を10種の酵素によって加水分解し,分解率と抗酸化力との関係を測定した結果,分解率5~34%の範囲内で最高の抗酸化力を示す分解率は6~9%であった。
    (2) 卵白アルブミンを11種酵素によって加水分解し,分解率と抗酸化力との関係を測定した結果,一定した傾向をみることはできなかった,しかし,各加水分解物はd-δ-トコフェロールと著しい相乗性を示した。
    (3) 8種類の酵素による大豆蛋白質加水分解物をセファディクスG-25によって分画し,各分画画分の抗酸化力のパターンを測定した結果,3つのパターンを示したが,最高の抗酸化力を示す画分はビタミンB12の溶出位置の前後にあった。
    (4) セファディクスG-25分画物のうち,最高の抗酸化力を示した画分と効力の弱いアミノ酸画分とを,それぞれG-50によって再分画した結果,単一のピークを示し,最高の抗酸化力はビタミンB12より若干高分子量のペプチドに認められた。
    (5) 大豆蛋白質,牛乳カゼイン,卵白アルブミン及びゼラチンの加水分解物をセファディクスG-25によって分画し,分画物の抗酸化力を測定した結果,大豆蛋白質,牛乳カゼイン及び卵白アルブミンの分画物の最高の抗酸化力を示す画分はビタミンB12より幾分高分子量画分にあったが,ゼラチン分解物については前記した3つの分解物よりも,さらに高分子画分にあった。
  • 油脂の安定性に及ぼすアミノ化合物の影響(第5報)
    山口 直彦, 横尾 良夫, 藤巻 正生
    1979 年 26 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 味そ及びしょう油の窒素含量と抗酸化力との間には,それぞれ0.811, 0.823の高い相関係数を得た。
    (2) 味そ及びしょう油の着色度と抗酸化力との間には,それぞれ0.882, 0.533の相関係数を得た。
    (3) しょう油の加水分解率は50%前後であり,加水分解率と抗酸化力との間に一定した関係を得ることができなかったが,味その場合には加水分解率が12~30%の範囲内では分解率の低い方が抗酸化力は大であった。
    (4) しょう油の銅及び鉄含量と抗酸化力との間には,それぞれ-0.624, -0.601の相関係数を得た。
  • 渡辺 敦夫, 南園 博幸, 木村 進
    1979 年 26 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁を試料として,ニロアトマイザー社製の小型噴霧乾燥機を使用し,熱風の補助熱源としてマイクロ波誘電加熱を併用した際の乾燥効率について検討を行ない,マイクロ波併用の有効性を確認した。
    ミカン果汁を乾燥する場合,乾燥温度が高いとスティッキングを起こし,乾燥温度が低いと未乾燥の状態で乾燥機内部に付着することから,最適乾燥条件はかなり狭い範囲にあり,本装置ではミカン果汁,デキストリン添加果汁に対してそれぞれ排出空気温度55℃,70℃付近にあることがわかった。
    ミカン果汁の乾燥速度は含水率100%程度から急速に低下してくる。また,果汁のマイクロ波吸収率は,水と比較した場合,含水率70~80%から低下し始めるため,減率乾燥期に入る含水率100%付近で高電界をかけ急速なマイクロ波誘電加熱を行なうことにより乾燥効率を向上させ得ることが推察された。
  • 筒井 知己, 小原 哲二郎
    1979 年 26 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    鶏卵卵黄を超遠心分離して得たLDLおよびHDL画分の組成,電気泳的性質,構成脂肪酸の性状を検索した結果を要約すると次の如くである。
    (1) LDLとHDLの組成では脂質含量に差があり,LDLでは86%,HDLでは27%であった。また総窒素はLDL 2.4%, HDL 0.9%でありリン含量も脂質画分,非脂質残渣ともHDLの方が高く総リン量は1.0%,1.8%であった。
    (2) LDLとHDLのセルロース・アセテート膜電気泳動でLDLは陽極側にかなり移動するが,アミドブラック染色,PAS染色,オイルレッド染色とも共染する単一なバンドがみられるにすぎず,HDLは5本のバンドに分離し,原点のバンドはオイルレッドを含めて3種の染色法で共染するが,第2から第4ののバンドはPAS及びアミドブラック染色陽性,第5バンドはPAS染色のみ陽性であった。
    (3) LDLとHDLのクロロホルムーメタノール抽出脂質のうち,LDLの中性脂質は74.9%,極性脂質は25.1%であり,HDLでは中性脂質51.3%,極性脂質48.7%であった。
    (4) LDLとHDLの中性脂質の脂質成分は,LDLではトリグリセライドが97.1%をしめ,次にステロール,ステロールエステル,モノー,ジグリセライド,炭化水素の順であり,一方,HDLではトリグリセライドが80%を占め,次にステロール,モノー,ジグリセライド,ステロールエステル,炭化水素の順であった。
    (5) LDLとHDLの極性脂質の脂質成分は,LDLではレシチン画分が85.7%をしめ,次にセファリン画分,スフィンゴミエリン,リゾレシチン,リゾセファリン画分の順であり,ヘプタン抽出物ではこのうちセファリンの抽出度が他の画分に比べて高かった。またHDLではレシチン画分が78.6%をしめ,次にセファリン画分,スフィンゴミエリン,リゾレシチン,リゾセファリン画分の順であり,ヘプタン抽出もセファリンの抽出率が他の画分よりも高かった。
    (6) LDLおよびHDLの脂肪酸組成は,トリグリセライドではLDL, HDLともC18:1が50%近くをしめ,C16:0が20%とほぼ類似していた。レシチン,セファリンともLDLとHDLでほぼ似た傾向を示した。またLDLとHDLのヘプタン抽出脂質ではレシチン,セファリンともクロロホルムーメタノール抽出物に比べてC16:0の含有率が高く,レシチンではC18:2の含有率が低かった。
  • 5'-リボヌクレオタイドの食品への応用(第1報)
    石井 清文, 高木 誠司, 佐谷 英二
    1979 年 26 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    粉末スープおよびその原料として用いる各素材中のホスファターゼの性質および5'-リボヌクレオタイドナトリウム(以下5'-リボヌクレオタイドと略す)の安定性を調べた。(1)天然の香辛料はいずれもホスファターゼがあり,その至適pHは5~6である。しかし活性の高いものでも80℃,10分で完全に失活する。(2)粘稠剤,増量剤では脱脂粉乳,でん粉類はホスファターゼ活性がなく,生大豆粉,小麦粉,とうもろこし粉末では強い活性が認められる。5'-リボヌクレオタイドはその物質がもつ固有水分以上に吸湿すると分解が始まる。(3)粉末スープ中で5'-リボヌクレオタイドを安定に保持するためには,ホスファターゼ活性のない原料すなわち加熱処理を行なったものかまたは十分に精製したものを用いるのが望ましい。しかしこのような処理が不可能な原料すなわち小麦粉,生大豆粉を用いる場合には,粉末スープ中の水分を5~8%以下に保つ必要がある。
  • 5'-リボヌクレオタイドの食品への応用(第2報)
    石井 清文, 高木 誠司, 中尾 行宏
    1979 年 26 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    5'-リボヌクレオタイドを肉加工品とくにソーセージに添加して,その安定性に対する製造条件の影響を調べた。その結果は次の通りである。(1)水煮のみの場合は,品温が非常に短時間で上昇するため,添加した5'-リボヌクレオタイドは極めて安定であった。(2)これに対して,くん煙する場合にはくん煙条件にも左右されるが,添加した5'-リボヌクレオタイドはウィンナーソーセージのような場合でもかなり分解される。フランクフルト,ボロニアの各ソーセージの場合はさらに分解が進む。(3)くん煙する場合,添加した5'-リボヌクレオタイドを安定化するため,三つの方法すなわち(a)植物硬化油脂により5'-リボヌクレオタイドを被覆する,(b)ピロリン酸ナトリウムを添加する,(c)グルコノデルタラクトンを添加して高温短時間でくん煙する,を検討し,いずれの方法も有効であることがわかった。
  • 高波 修一, 榛葉 芳夫, 吉田 勤, 中島 富衛
    1979 年 26 巻 2 号 p. 101-103
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    "Nozawanazuke" frozen at -40°C to be stored at either -5°C or -20°C was microscopically investigated. More damages in parenchyma tissue were observed in the samples stored at -20°C than in the samples stored at -5°C. Obviously large ice crystal formation was found in the former. These phenomena became noticeable in about 7 days storage of the samples of 3.3% salinity, and in about 35 days storage of the samples of 5.9% salinity. Furthermore, the freezing rate in the initial freezing process was found to be much more important factor affecting on the size of ice crystal in preservation of the frozen "Nozawanazuke".
  • 1979 年 26 巻 2 号 p. A7-A12
    発行日: 1979/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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