日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
29 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 内藤 茂三, 志賀 一三
    1982 年 29 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    オゾン殺菌における共存ジアリルジサルファイド(DADS),ジアリルサルファイド(DAS),硫化水素の影響についてB. coagulons IAM 1115及びB. stearo-thermophilus IAM 1035の胞子を供試して検討を行った。その結果,
    (1) B. coagulans胞子がDADS, DASと通気下で共存するだけでも殺菌効果を示し,オゾン処理を併用することにより著しい殺菌効果が出現した。しかしB.Stearothermophilus胞子については著しいオゾン殺菌促進効果は認められなかった。
    (2) 殺菌促進効果を示したDADS, DASは胞子の発芽誘導物質であることを認め,胞子の発芽がDADS,DASにより誘導されるためにオゾン殺菌力が増大したと考えた。
    (3) 20mMの硫化水素共存下では保護効果を示し,2mM, 0.2mMでは殺菌促進効果を示した。この原因は,オゾンと硫化水素の反応に基づく残留オゾン量の差異並びに二酸化イオウ生成によるpHの低下と考えた。
  • 大橋 登美男, 芳賀 聖一, 山内 清, N.F. オール
    1982 年 29 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    宮崎県内の酪農地域で採取した牛乳を脱脂乳に調製し,実験的な小さい規模において,まず85℃で5分間,その後直ちに135℃で瞬間加熱を行い,高温加熱牛乳のレンネットカード物性(硬度,破断エネルギー及び弾性率)に及ぼすpH, Ca及び未加熱カゼインミルセルの影響についてレオメーターを用いて検討した。
    得られた結果の要点は次のとおりである。
    (1) pH 6.7~6.0に調整した高温加熱牛乳のレンネットカード物性は未加熱牛乳のレンネットカード物性に達しなかった。(2) Caを添加し(80mg/100ml),pH6.7~6.0に調整した高温加熱牛乳のレンネットカード物性はpHの低下に伴って改善されたが,最も改善されたpH 6.0においても未加熱牛乳のレンネットカード物性に達しなかった。(3) 高温加熱牛乳に未加熱カゼインミセル比として0.35またはそれ以上の未加熱カゼインミルセル(360mgN/100ml)を添加し,pH 6.6または6.2に調整すると,未加熱牛乳のレンネットカード物性以上に改善され,pH 6.2がpH 6.6よりも幾分すぐれていることを認めた。 (4) Caを添加し(80mg/100ml),さらに未加熱カゼインミセルを添加した高温加熱牛乳のレンネットカード物性は著しく向上した。この場合,pH 6.6または6.2に調整し,未加熱カゼインミセル比として0.2または0.15の未加熱カゼインミセル(360mgN/100ml)をそれぞれ添加すると,未加熱牛乳のレンネットカード物性近くまで改善することができた。 (5) 以上の結果から,高温加熱牛乳のレンネットカード物性の改善には適切な酸性化とともにCaと未加熱カゼインミセルの添加を組み合せることが必要であることを認めた。
  • 山下 市二, 飯野 久栄, 吉川 誠次
    1982 年 29 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    イチゴ果実における香気成分の生合成に関与する酵素の一つであるアルコール脱水素酵素(ADH)をイチゴ果肉から抽出し,硫安分画,DEAE-Sephadex A-50カラムクロマトグラフィーで部分精製し,酵素の性質を調べた。
    (1) イチゴ果肉には補酵素としてNAD+を要求するADHとNADP+を要求するADHの2種類存在し,DEAE-Sephadex A-50カラムクロマトグラフィーで分離され,それぞれ収率44.8%, 58.5%で,54倍,52倍精製された。
    (2) NAD-ADHの酸化反応至適pHは9.0,還元反応至適pHは6.0で,NADP-ADHのそれらはpH9.5とpH 8.5である。
    (3) NAD-ADHはpH 6.5~8.5で安定,NADP-ADHはpH 6.5~9.5で安定である。熱安定性はNAD-ADHの方が高い。
    (4) 阻害剤の影響を調べた結果,両酵素ともSH基と金属イオンが活性に重要な役割を果していると考えられる。
    (5) 補酵素のKm値はNAD+ 0.167mM, NADH0.036mM, NADP+ 0.122mM, NADPH 0.026mMであった。
    (6) NAD-ADHは脂肪族第1級アルコールとアルデヒドに特異的に反応した。NADP-ADHは芳香族とテルペンアルコールおよびアルデヒドに反応し,脂肪族アルコールとアルデヒドはほとんど基質にならなかった。
    (7) イチゴ果肉と種子の酵素は,物理的,化学的性質ならびに電気泳動の結果から判断して同一酵素と考えられる。
  • 大西 邦男
    1982 年 29 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    みそ熟成中のリパーゼの働きを検討するとともに,リパーゼ力価を高めたみその品質について,みそ中の脂質変化を中心に検討し,次の結果を得た。
    (1) みそに添加したリパーゼMY(名糖産業(株))は,みその熟成に適した作用pH領域,作用温度,食塩耐性,安定性等の性質を有し,高力価であるから少量の添加でもみその熟成および品質の改良に効果があった。
    (2) みそ中のリパーゼ力価を高めることによって,脂質分解率の上昇,グリセロール含量の増加,脂肪酸エチル含量の増加,エタノール蓄積量の減少等の現象が認められた。これらの結果より,リパーゼはグリセリドを脂肪酸とグリセロールに加水分解し,さらに酵母によって生成されたエタノールと遊離の脂肪酸の一部からエチルエステルを合成する働きをすると考えられた。
    (3) みそに0.03units/gのリパーゼを添加することによって,25日あるいは90日間の熟成で,リパーゼ無添加のみその倍以上の遊離脂肪酸および脂肪酸エチルが含まれ,官能検査では,香りに高い評価が得られた。みそに0.3units/gのリパーゼを添加したみそは,香りのくせが強過ぎるため,信州みその品質としては不適当と評価された。
    (4) 遊離脂肪酸および脂肪酸エチルの組成において,リパーゼ力価に応じて,リノール酸エチルを中心に不飽和脂肪酸の占める割合が高くなり,熟成後期では,脂肪酸エチルの組成においてこの現象が顕著であった。
    (5) みそ中の脂質変化は,熟成後期に低温でも活発で,他の成分変化がほとんど起こらない間も進行し続けた。これらの事実は,脂質変化がみその後熟の重要な因子であることを示唆している。
  • 太田 英明, 筬島 豊
    1982 年 29 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コンコードブドウ濃縮果汁製造中における香気損失の割合を明らかにするために,原料,加熱,酵素処理,濃縮,製品の5試料中のヘッドスペース揮発性成分をTenax GC捕集-ガラスキャピラリーガスクロマトグラフ法で分析した。
    果汁ヘッドスペースガス中に26成分を検出し,そのうち酢酸エチル,酢酸イソプロピル,酪酸エチル,クロトン酸エチル,カプロン酸エチルなどのエステル類,エタノール,イソブタノール,n-ブタノール,イソアミルルアルコールなどのアルコール類,ジメチルスルフィド,ケトン類など19種類を同定した。
    全製造工程を通じて全香気の99.3%が損失した。最も損失の大きかった工程は色出しのために行う加熱工程で全香気量の53.3%,次に濃縮工程で27.3%,次いで酵素処理工程で18.1%が消失していた。
    以上からブドウ濃縮果汁各工程の改善について考察した。
  • 島田 淳子, 矢沢 悦子, 荒井 綜一
    1982 年 29 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    L-Leucine n-dodecyl ester was covalently attached to gelatin by modification with papain under a specific condition. The product linked 0.44% L-leucine n-dodecyl ester on weight basis and showed a high degree of surfactancy permitting emulsificaton of soybean oil. This surfactant was used as an ingredient for preparing a mayonnaise-simulated emulsion, with the result that the emulsion resembled commercial mayonnaise items with respect to oil-particle size distribution, texturometric parameters on hardness and adhesiveness, viscometric flow behavior, and sensory scores. The use of secondary ingredients including seasonings together with the enzymatically modified gelatin, had no adverse effect on the emulsion formation, Also, the emulsion prepared with this surfactant was characterized by a low degree of drainage formation during storage and found to be stable over a long period of time.
  • 菅野 彰重, 高松 晴樹, 高野 伸子, 秋本 隆司
    1982 年 29 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    納豆製造工程におけるオリゴ糖の変化をガスクロマトグラフィーにより分析した。同時に粘性多糖レバンと大豆多糖のうち,溶液中では納豆菌のアミラーゼによって容易に分解されるデンプンについても検討した。その結果,浸漬,蒸煮によって,大豆オリゴ糖の一部が失なわれ,デンプンも減少した。発酵においては,発芽後6時間でシュクロースは約1/7に,ラフィノース,スタキオースは約1/3に減少し,早期にオリゴ糖は分解されることが示された。この時大豆オリゴ糖の部分分解によって生じると考えられる,メリビオース,マンニノトリオース,グルコース,フルクトースが遊離し,メリビオース,マンニノトリオースの分解は緩慢であったが,グルコースとフルクトースは速やかに減少した。レバンは大豆オリゴの分解に伴って増加し,デンプンは発酵中にまったく減少しなかった。
  • 上田 成子, 山下 晴美, 中島 真理子, 桑原 祥浩
    1982 年 29 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    Ethanolic extracts of spices and different types of flavouring compounds were tested for inhibition of some species of microorganisms in culture media. Among the tested spices, the extract from cloves was the most inhibitory to all tested microorganisms. Although other spices showed slightly inhibitory effects against gram positive bacteria, they were almost negative against gram negative bacteria. Their effects to the tested bacteria were more active in media at pH 5.0 than at pH 7.0. Phenols, alcohols, aldehydes and organic acid of the flavours used herein inhibited all tested bacteria, except Ps. aeruginosa, at concentrations of 1000 to 5000ppm in media (pH 7.0). These compounds were also inhibitory against fungi below 5000ppm; especially cinnamic aldehyde had much stronger antimould activity than potassium sorbate and inhibited the moulds at less than 10ppm.
  • 三宅 義章
    1982 年 29 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) 練製品用原料として西日本で使われる4魚種について,副生残滓中の蛋白質残存量は平均8.95%,乾物換算の17%~48%の残存量であった。
    (2) グチとアジの2魚種の残滓について酵素分解をおこない残存蛋白質を回収利用するため,酵素作用中の食塩による防腐効果を検討し,10%以上の食塩添加が必要と認めた。
    (3) グチとアジの魚種の残滓について生の状態で蛋白分解酵素を作用させた場合,分解率よりC-AF>A-P>B-SPの順位に消化力が高く,酸性ProteinaseのD-M, E-Tは低い分解力を示した。
    (4) グチとアジの2魚種の残滓の加熱処理したものについて同じく作用させたところ酵素の消化力の強さは生残滓と同じ傾向となり,いづれも生残滓より加熱残滓の方が分解率において劣る結果となった。また消化分解中のpH変化は中性Proteinaseの場合は酸性側に,酸性Proteinaseの場合は中性側に傾く傾向が認められた。
  • 露木 英男
    1982 年 29 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 29 巻 2 号 p. A7-A13
    発行日: 1982/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top