各種茶に含まれるAsA,トコフェロール(α,β,γδ),カロチン(α,β)およびクロロフィル(a, b)を測定した.
(1) 測定方法は, AsAが電気化学検出器を用いた逆相分配クロマトグラフィーで,カロチンおよびクロロフィルは非水溶媒を用いた逆相分配クロマトグラフィーで行った.また,トコフェロールは,フロリジルミニカラムを用いた前処理と順相分配クロマトグラフィーによる迅速かつ簡易な分析法を相発した.
(2) AsAは,半発酵茶,発酵茶からはほとんど検出されず,煎茶,抹茶から12~367mg/100gの範囲で検出された.なお,煎茶の平均含量は167mg/100gであった.
(3) トコフェロールは, α-トコフェロールがすべてから, γ-トコフェロールが一部から検出された.抹茶および煎茶におけるα-トコフェロールの平均含量は13.5mg/100gで,半発酵茶,不発酵茶より数倍高濃度であった.
(4) カロチンは, β-カロチンが煎茶,抹茶,玄米茶から検出され(平均念量3.2mg/100g), β-カロチンがほうじ茶,ウーロン茶の一部を除いてすべてから検出された(平均含量27.9mg/100g).
(5) クロロフィルは,ほうじ茶,ウーロン茶以外のすべてからa,b両方が検出され,煎茶についてカロチンとの相関を求めたところ,相関係数0.912の高い正の相関を示した.
(6) 茶浸出液中のAsA,トコフェロール,カロチンを調べたところ, AsA以外はほとんどが検出されず,従って,茶に含まれる保健性成分を活かすには,抹茶などのように直接茶葉を摂取することが必要である.
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