日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
40 巻, 2 号
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  • 阿部 一博, 吉村 公一, 岩田 隆
    1993 年 40 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本実験は縦切り(2分割,4分割,8分割),輪切り(厚さ5cm,3cm,1cm)に調製したカットニンジンを低密度ポリエチレン袋(厚さ0.03mm)で密封包装し,切断方向が保存性ならびに生理的変化に及ぼす影響を調べたものである.
    (1) 8℃及び20℃貯蔵では縦切り3区が輪切り3区より速く腐敗し,その腐敗は縦切りでは切断面の心部から始まったのに対し,輪切りの腐敗は切断面ではなく表皮から始まった.また,1℃と8℃における包装内の酸素濃度の減少,二酸化炭素及びエチレン濃度の増大は,縦切りの方が輪切りより大きく,特に4分割および8分割で顕著であった.
    (2) 20℃貯蔵での呼吸量を調べたところ,呼吸量はカット直後に増加し,カット後12時間では8分割で特に大きく,以下小差ではあるが4分割,2分割及び1cm,3cm,5cmの順に多かった.縦切りと輪切りの劣化速度が異なるのは,このようなカット後の生理的変化の差が一因であると思われた.
    (3) 縦切りの4分割,輪切りの3cmを肉部と心部に分け,20℃に貯蔵してその呼吸量を調べたところ,4分割,3cmともカット後の呼吸量は心部の方が肉部よりかなり多かった.この呼吸量の差異には肉部と心部の損傷程度の差がかなり影響を与えているものの,切断がその後の生理的変化に及ぼす影響は心部の方が肉部より大きい可能性がある.
  • 佐々木 弘子, 酒井 登美子, 青柳 康夫, 菅原 竜幸
    1993 年 40 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    干し椎茸の水もどしおよび加熱加工におけるγ-GT活性,香り物質であるレンチオニン量の変化について検討を加えた.
    (1) 干し椎茸の水もどし後のγ-GT活性の変化は,温度が高温であるほど,減少が著しく,加熱過程中においては,加熱5分後にほぼ完全に失活していた.
    (2) 干し椎茸のレンチオニン量は,水もどし直後では浸漬温度が高いもの程多く,低温のもの程少なかった.また10分加熱後のレンチオニンの増加の割合は水もどし温度が高いもの程小さく,低温のもの程大きかった.20分加熱時ではレンチオニンは急激に減少したが,5℃で水もどしをしたものには比較的残存していた.40分加熱時ではレンチオニンはほとんど残存していなかった.
  • 井門 和夫, 西谷 紹明, 巽 清, 山本 晴敬
    1993 年 40 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ゴーダ,エメンタールの2種類のナチュラルチーズの系に対して,WPCを中心に,卵白,ナトリウムカゼイネート,SPIなどのタンパク質素材を添加して繊維状プロセスチーズを調製し,これらタンパク質素材の添加,および使用した原料チーズの種類・熟度の繊維性におよぼす影響について検討した.
    その結果,プロセスチーズの繊維性発現に対して,顕著な効果を示したのは,WPCであった.卵白についても,若干ではあるが効果が認められた.一方,ナトリウムカゼイネート,SPIの場合は,繊維性の発現を促進するような効果は全く認められなかった.この結果,WPCは,単に乳化剤として作用しているのではなく,繊維性の発現に直接関与していることが示唆された.
    繊維状プロセスチーズを得るための原料チーズとしては,未熟なゴーダばかりでなく,熟成の進んだエメンタールも十分使用可能であることがわかった.
    以上より,高度な繊維状組織を有するプロセスチーズを得るためには,一次的要因として,原料チーズの種類・熟度を適正に選択すること,さらに二次的要因として,至適量のWPCを添加することが,その基本条件になることが明らかとなった.
  • 井門 和夫, 西谷 紹明, 巽 清
    1993 年 40 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/06/23
    ジャーナル フリー
    異なる加温温度で処理して調製した原料チーズを用い,これにWPCを添加して加熱乳化後,延伸して繊維状プロセスチーズを調製した.その際の繊維性におよぼす加温温度およびチーズ熟度の影響について調べた結果,次のことが明らかとなった.
    原料チーズの加温温度の違いにより,熟成中の経時的な繊維性の挙動が異なることが明らかとなった.すなわち,原料チーズの熟成がかなり進んだ段階では,38℃,43℃で繊維性が低下するのに対し,50℃では良好な繊維性が維持されることがわかった.すなわち,加温温度が38℃のゴーダでは,繊維性の発現に関与している主要因が熟度であるのに対し,50℃以上であるエメンタールでは,こうした熟度にあまり影響を受けずに,繊維化が可能になるものと考えた.既報で,繊維性発現の要因として,原料チーズの種類・熟度を挙げた.この点について今回の検討結果より,原料チーズの種類により繊維性に差異が生じるのは,加温温度の違いによるところが大きいことが示唆された.以上より,良好な繊維状組織を有するプロセスチーズを製造する上で,原料チーズの加温温度に着目することが重要であり,この加温温度を調節することにより,繊維性を制御できることが明らかになった.
  • 尹 亨殖, 大島 敏明, 小泉 千秋
    1993 年 40 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大豆油TGの非触媒およびFe2+触媒酸化における分子種の変化を調べ,次のような結果を得た.
    (1) 非触媒酸化では,POVは酸化の6日目以降急激に上昇し,これに伴ってTG量が緩やかに減少した.触媒酸化の場合には,POVは3日目以降急激に上昇し,これに伴ってTG量は急激に減少した.
    (2) TGの残存率が約80%まで低下するのに要する日数で各分子種の酸化速度を比較したところ,非触媒系ではLLnL>PLnL>LLL>PLL>OLO+SLL≒OLL>PLO≒SOO+SLS>PLP≒OOO+SLO>POO+PLSと推定された,一方,触媒系ではLLnL>LLL>PLnL≒OLL≒PLL>PLO≒OLO+SLL>PLP>POO+PLS>OOO+SLO>SOO+SLSと推定された.
    (3) いずれの系でもTCが同一であればDBの多い分子種ほど,またDBが同一であればTCの少ない分子種ほど酸化が速い傾向があった.
    (4) OLL,PLPおよびPOO+PLSの相対的酸化速度は,非触媒系におけるよりFe2+触媒系で大きかった.
  • 大野 美雪, 柳沢 幸江, 川合 正允
    1993 年 40 巻 2 号 p. 129-132
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    テクスチュロメーターによるのりの「かたさ」の測定方法を検討し,以下の結果を得た.
    (1) テクスチュロメーターの測定条件を,1.2cm×2cmの検体小片を4枚重ね,クリアランス0mm,入力電圧2.5V,咀嚼スピード6バイト/分とし,V型プランジャーによるかみ操作5回目の測定値でのりの「かたさ」を表示した.測定は各サンプル毎に10回繰り返し,その平均値および変動係数を求めた.
    (2) 検体小片を人工唾液(1片当たり0.06ml)で湿らせることが,テクスチュロメーターによる測定を,口腔内での咀嚼状態に近似させるのに有効であった.
    (3) 本測定法によって求めた「かたさ」は,官能評価値と高い相関性を示した.
    (4) この測定法は乾のり,焼のり双方に適用できる.
  • 加藤 みゆき, 矢野 とし子, 小松 真由美, 大森 正司, 原 征彦
    1993 年 40 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    インドネシア,セレベス地方で栽培されている品種を用い,発酵時間を30分および1時間と変えて紅茶を製造した.官能検査の結果,発酵1時間の紅茶は,浸出液の色もよく,香味もやろやかであった.テアフラビン含量は本邦において最もポピュラーであるスリランカ紅茶(ウバ)に近い値であった.アミノ酸含量は,スリランカ紅茶(ウバ)に比較して多く含有されていた.香気成分含量は,スリランカ紅茶(ウバ)に比較して少なかった.
  • 五十嵐 喜治, 吉田 哲哉, 鈴木 恵津子
    1993 年 40 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    長者ナス(小ナス)から単離したナスニン,および他の2~3のアントシアニン色素が,リノール酸-リポキシダーゼによるβ-カロチンの退色,およびリノール酸の自動酸化に及ぼす影響について,それぞれ,カロチン退色法,ロダン鉄法を用いて検討した.pH 7においてカロチン退色法で測定した抗酸化効果はナスニンで最も強く,次いで,マルビン,ルブロブラッシンの順であった.pH 2.8においてロダン鉄法で測定した抗酸化効果も同じ傾向を示した.また,抗酸化効果はアグリコンのディルフィニジン,マルビジンおよびシアニジンにも認められたが,後2者の活性はそれらの配糖体と大差がなかった.ナスニンはディルフィニジンに比べて高い活性を示した.この結果はリノール酸の自動酸化系におけるナスニンの強い活性にそのp-クマール酸部分が関わっている可能性を示した.
  • 篠原 和毅, 岩附 聡, 小堀 真珠子
    1993 年 40 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ビート,ベリー,β-カロチン,クロロフィル,コーン.ガーデナブルー,モナスカス,タマネギ,パプリカ,レッドキャベツ及びサフラワーイエロー等11種の色素について,紫外線(UV)照射によるヒト単球/マクロファージ様細胞(U-937, U-M及びHL-60)致死に及ぼす抑制作用について検討した結果,タマネギ色素のみに細胞致死抑制作用が認められた.このタマネギ色素において,UV照射によるU-937細胞致死を抑制する活性は水可溶性画分にみられ,メタノール可溶画分にはみられなかった.また,タマネギ色素の主成分であるケルセチンには抑制活性は認められなかった.
  • 長谷川 清, 遠藤 泰志, 藤本 健四郎
    1993 年 40 巻 2 号 p. 150-153
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥豚肉および卵黄を25℃で保存した際の脂質過酸化の進行を的確に示す指標を明らかにすることを目的として,過酸化物価(PV),チオバルビッール酸(TBA)値と共に,タンパク結合型蛍光を固体試料用蛍光分光光度計で測定し,酸素吸収量との相関性を調べた.その結果,両試料とも,保存日数に従って増加する蛍光(豚肉:ex. 455nm-em. 525nm;卵黄:ex. 425nm-em. 520nm)を有することを認めた.PVおよびTBA値は,酸素吸収量から見た脂質過酸化の程度と必ずしも一致しなかったが,タンパク結合型蛍光は,酸素吸収量と高い正の相関(豚肉:相関係数0.913;卵菓:0.901)を示し,乾燥食品の脂質過酸化による劣化を判定する指標として有効と思われた.
  • 長井 直士
    1993 年 40 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 渋谷 直人
    1993 年 40 巻 2 号 p. 161
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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