ゴーダ,エメンタールの2種類のナチュラルチーズの系に対して,WPCを中心に,卵白,ナトリウムカゼイネート,SPIなどのタンパク質素材を添加して繊維状プロセスチーズを調製し,これらタンパク質素材の添加,および使用した原料チーズの種類・熟度の繊維性におよぼす影響について検討した.
その結果,プロセスチーズの繊維性発現に対して,顕著な効果を示したのは,WPCであった.卵白についても,若干ではあるが効果が認められた.一方,ナトリウムカゼイネート,SPIの場合は,繊維性の発現を促進するような効果は全く認められなかった.この結果,WPCは,単に乳化剤として作用しているのではなく,繊維性の発現に直接関与していることが示唆された.
繊維状プロセスチーズを得るための原料チーズとしては,未熟なゴーダばかりでなく,熟成の進んだエメンタールも十分使用可能であることがわかった.
以上より,高度な繊維状組織を有するプロセスチーズを得るためには,一次的要因として,原料チーズの種類・熟度を適正に選択すること,さらに二次的要因として,至適量のWPCを添加することが,その基本条件になることが明らかとなった.
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