日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1978 巻, 11 号
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  • 村石 治人, 北原 重登
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1457-1461
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化マグネシウムの溶存シリカ吸着にともなう表面の性質の変化および表面生成物について調べた。シリカを吸着すると表面積がいちじるしく増加したが,これは微細細孔の生成に帰せられた。吸着により-Mg-O-Si-結合が生成する結果酸点が生じ,また吸着量が増加すると,全酸量(H<+3,3)も増加した。塩化アンモニウム溶液で吸着試料のバルクのMg(OH)2を溶かし出すことによって表面生成物を単離し,その性質をIRスペクトル,DTA,X線回折および化学分析によって調べた。シリカの吸着量は単分子層を形成するのに十分な量よりはるかに多いことがわかったが,シリカはすでに吸着したシリカ分子上にシロキサン結合で吸着するのではなく,水酸化マグネシウムの最表層のバルク側かあるいは第2層のMg原子と結合することが推測された。
  • 清水 崇, 森若 幸弘
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1462-1466
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    La1MnS03に対し,0<劣<1の範囲でストロンチウムを添加して触媒を合成し,酸化炭素酸化反応,X線回折,酸素吸着などを行なって,触媒活性に対するストロンチウム添加量の影響について検討した。
    X線回折の結果,尊3ゆ=0.8までペロブスカイト相は維持されており,鍔の増加とともにunit-cellvolumeは減少した。化学分析の結果得られる示性式はx=o.7~0.8で酸素欠陥型を示し,この範囲でCO酸化活性は極大を,可逆吸着酸素量は極小を示した。また,pH=7.3以上の酸化力をもつ表面過剰酸素は(100)面を仮定した表面に存在するMn4+とよい対応関係にあった。また,CO酸化反応の次数は酸素分圧にほぼ0.5~0.8次,-酸化炭素分圧については,可逆吸着酸素量の少ないところで1次,多いところで0.5~1次であった。
    以上の結果から,酸素空孔がCO酸化反応の活性化に寄与しており,表再での金属-酸素間の結合エネルギーの差に起因する欠陥構造がCO酸化活性の重要な因子になっていると推定された。
  • 加藤 泰良, 五十嵐 哲, 荻野 義定
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1467-1471
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキルベンゼンの水蒸気脱アルキル反応に対する.Rh/触媒の作用機構を明らかにするため,Rh1MgWo,触媒と,RhA120,,Rhlcr203,そしてLIMWO4(M=Be,Ca,Sr,Ba)触媒との反応特性を比較検討した。Rh1MgWq触媒のturnoverCは,Rh!A1203触媒のそれの約4倍を示し,試験した触媒中もっとも高い値を示した。r触媒がこのように高活性であるのは担体がつぎの反応経路におけるdとeの過程を促進することによると考えられる。
    また液生成物組成の吟味から,2もしくは3個のメチル基が同時に脱メチル化される経路の存在が明らかになり,このことからアルキルベンゼン分子は,ベンゼン環をロジウム表面に平行して吸着するものと推論した。
  • 大角 泰章, 鈴木 博, 加藤 明彦, 中根 正典, 三宅 義造
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1472-1477
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ミッシュメタル(Mm)をベースとした合金MmNi5,MmCo5,Mm1-のA貰Ni5およびMm,嬬A灘Co5(A:fii,Ca)の永素吸蔵,放出特性について検討した。MmNi6およびiは室温において水素を吸蔵し3MmNi5H6.3,MmCo5H3.oの水素化物を生成した。解離等温線から求めた水素化物のエンタルピー変化はそれぞれ-6.3,-9.6kcal!molH,であり,解離圧は20℃において13,0。6atmであった。これらの合金の水素吸蔵,放出速度は大きく,室温付近における水素放出率は約80%であった。MmNi5の水素吸蔵,放出のくり返しによる性能劣化は110回まで認められなかった。
    M叫畷Ti3Ni5(=0.1~0.25)およびMm1-CNi5(σ=0。1~0。75)は室温において水素を吸蔵して水素化物を生成した。これらの水素化物の解離圧はミヅシュメタルをチタンで置換すると劣の増大とともにMmNi5より高くなり,カルシウムで置換するとxニ0.5以上で低くなる傾向を認めた。Mmo.5,Cao.5Ni5はMm。.5cao.5Ni5H5.の水素化物を生成し,そのエンタルピー変化は-M。6kcalmolH2,20°Cにおける解離圧は5atmであり,水素貯蔵材料として好ましい特性を有している。Mm1-Ji劣C。石の場合,誕1ではMmQ,9TiCo5H3.4の水素化物を生成するがt諾=0.25~0.75では水素の吸蔵,放出特性を示さなかった。
  • 安江 任, 宮本 和男, 荒井 康夫
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1478-1485
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プラスチック複合材中の無機質充てん材として亜硫酸カルシウム半水和物(CaSO3,112H,O)を使用するために,結晶形状の異なるCaSO3,112HpをNa2So,溶液にCac1盆溶液を滴下する方法,およびCa(OH)2懸濁液にSO2を吹き込む方法により調製し,これら各結晶の粒径,結晶性,表面性状および熱安定性などのおもに無機質充てん材としての性質たついて検討を行なった。
    CaC王2二Na衰SO3系,Ca(OH)2-SOa系いずれの反応においても合成条件の調製により,前者ではいがぐり状(φ5μm),針状(17×0.7μ:m),柱状(14×2μm),板状(50×50μ斑),の4穏後者では微粒(o。05μm),針状(0.5×5μm),板状(6×9μm,4×4μm)の3種の結晶形状の異なるCaSo3,112H20が得られるOこれら結晶の配向性は結晶形状によりいちじるしく相違するので,X線回折図形のピーク写れの強度比から求めた。
    -方,CaSo,,112璃0の表面改質嫉各結晶の最適合成条件下においてq7H35CgpNa溶液を含むNa2SO3溶液にCaCl2溶液を滴下することにより可能であり,各結晶形状を保持したまま親水性から親油性表面に改質することができる。CasO,,112H2Oの熱分析(TG-D'TA)から,CasO3。12HOの脱水および酸化に関する熱的挙動は結晶形状によっていちじるしく相違する。たとえば,脱水の活性化エネルギーはいがぐり状(2048k1rno1)から板状(390,4kJ/mol)へ大きく変化する。また,cas0,11多Hpを含有するpvc複合材は加熱にともないPVCの燃焼に起因する発熱ピ丁クはみられず,プラスチックの燃焼の場合にCaSO3,ユ12瑞0中の結晶水燃材として作用することが明らかとなった。さらた,Ca(OH)2話SO,系では文線回折図形上にCaSOrCaSO4系複塩と思われる薪相の存在が確認された。
  • 中村 義之, 丸谷 建一, 溝呂木 勉
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1486-1491
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    trans-ハロゲノ(o-トリル)ビス(トリフェニルポスフィン)遷移金属(III)錯体,5-[M平(o-CH3C6,H4)X(PPh8)],と各種の第三級ホスフィンをC6H5Cl溶液中に添加し,各種配位子の置換反応を31P-{1H}NMRを用いて検討した。その結果,ホスフィン系はPPhMe=PPh2Me>P(p-C6H40Me)3>P(p-C6H4Me)3>P(p-C6H4F)3>P(p-C6H4Cl)3>P3P(1)3の順に置換しくなり;また,亜リン酸出ステル系もP(OMe)3>P(OEt)3>P(0+Pr),の順に置換し難くなることから転電子的苅果説りも掌体的効果あ方炉大きく寄与していることがわかった。興味あることはP(OMe)3配位子の場合には低磁場側にo-CC6Hβrが還元的脱離した0価錯体Ni[P(OMe)3]4の吸収が観測された。さらに,[NiゲCH3C6H41(PPh3)2],[Pd(o-CH3C6H4)1(PPh3)2]との置換反応についても検討した。
  • 山谷 和久
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1492-1497
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素含有鉱物を加熱すると,試料中の水素の-部はフヅ化水素となる。このフッ化水素を約400℃に加熱してあるパラジウムァスベストー酸化銅(III)の充てん剤と反応させて水に変換する。試料中の全水分を無水混合溶媒(メタノールーエチレングリコール)に吸収させ,KarlFischer滴定法によって水分を定量する。試料の加熱温度は鉱物の種類および鉱物中のフッ素含有量によって大きく異なっている。たとえば雲母類鉱物では,フッ素含有量が多い試料ほど加熱温度を高くする必要がある。本法の精度は大変よく,確率水準95%での平均値の信頼区間は白雲母では4.55±0.04%,金雲母では3.44±0.03%,黒雲母では3.43±0.01%であった。
  • 平山 和雄, 宇野原 信行
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1498-1502
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガロシアニン(GAL)の過酸化水素酸化反応におけるコバルトの触媒作用を利用して吸光光度法により0.2ng/ml程度までの超微量コバルトを定量できる方法を確立した。
    ホウ酸系緩衝液によりアルカリ性にした溶液中,GALは過酸化水素によりきわめてゆるやかに酸化されるが,極微量のコバルト(II)が存在すると,GALは接触的に酸化され退色する。GALの退色速度はコバルト濃度に依存することから,定時間法により5-30分後に退色量として波長520nmにおける試薬ブランクとの吸光度差(ΔE)を求めると,OEとコバルト濃度には良好な直線関係が得られた。また30~240μ9のマグネシウム(III)を共存させると,反応が安定するとともに増感作用のあることが認められた。1.6×10-3mol1JGAL,2,4×101molμHp2,pH9.4,60μgMg(II),温度25°c,反応時間10分の測定条件では0,2~2.4ng/mlのコバルトとΔEの問にBeerの法則が成立し,この場合の見かけのモル吸光係数は1.6×107,感度(4E=0.001)は3。7P9!m1であった。300倍量の鉄(III),2000倍量のクロム(III)は反応を阻害して負の誤差を与えた。100倍量のニッケル(豆)は妨害しなかった。再現性は良好であり1.2ng/mlのコパルトを変動係数4.6%で定量できた。
    本法を湖沼水中のコバルトの定量に応用したところ良好な結果が得られた。
  • 大道寺 英弘, 赤井 義朗, 本間 厚
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1503-1508
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化窒素の発光スペクトルを得られる無電極放電管をつくり,この管から得られた発光スペクトルを調べNOの吸収測定用の光源として使用した。装置はジャレルァッシュAAlE原子吸光装置に石英製吸収セルをとりつけ,窒素で希釈したNO標準ガスを通して吸収測定を行なった。
    (1)無電極放電管からの発光スペクトルは,190.0~280.OnmにNOγ,β,δ,εスペクトルが検出され,281.5~491.7nrnにN2スペクトル,330.0~522.8nmにN2÷のスペクトルが検出された。ランプ内の封入ガスに凡03を使用しているが,ガス圧が低いと放電により分解してNOの発光強度が弱くランプの寿命も短い。Np3として8Torrが最適であるが,窒素を混合するとさらによい結果が得られる。NOスペクトルの発光強度は,239.3>247.1>226.3>…>214.9nmであった。(2)重水素ランプによる吸収スペクトルはNOランプからの発光スペクトルとほぼ同型であった。無電極放電管と重水素ランプによる吸収感度を比較すると前者が約6倍高い値を示した。1%吸収感度は214.9nmで0.83PPmであり検出限界は0。04PPmであった。
  • 山崎 満, 宇佐美 隆生, 簗田 茂夫, 武内 次夫
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1509-1514
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    パルス-FT-13CNMRを定量分析に適用するための基礎検討として,直鎖パラフィン類,ケトンーエステル混合系,置換ベンゼン異性体混合系の19CNMRシグナル面積と核数とが比例関係になるための実験条件,とくにパルス条件を検討し,上記混合物の分別定量の精度,正確度を明らかにした。炭素数7~19の直鎖パラフィンではパルス幅(m)がある程度短いほど,パルス間隔(PD)が長いほど,13Cシグナル面積と核数の比例関係がよく成立することがわった。テトラデカンに対し,YYニ20μsec,PD=5secの条件下で相対誤差10%以下でCHZ炭素のシグナル面積と核数との間に定量関係が成立した。アセトンー酢酸メチル混合系のカルボニル炭素のシグナル面積強度,およびS/NはPDとPWにより,いちじるしく響影され,シグナル強度の増加と5/IYの良好な条件はPDニ8~10sec,jPW=20~60μsecが適当であり,この条件下で上記混合物の分別定量の精度,正確度はともに約3%であった。o-,z-,p-トリルアセタート異性体混合物はOAc基あるいはCH3基の結合環炭素,カルボニル炭素を利用して,PD=15secの条件下で,相対誤差6%以下で分別定量できることがわかった。
  • 室住 正世, 中村 精次, 五十嵐 龍志
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1515-1520
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    T1をスパイクとして用いる同位体希釈表面電離質量分析法により超微量タリウムが定量できる。03T1スパイクを加えた試料溶液より111%ジチゾンークロロホルム溶液のIQml中にタリウムを抽出分離したのち,1%硝酸の5m1中にタリウムを逆抽出する。14N硝酸0.2mlと60%過塩素酸0.1.mlを加え,パィレックスオーブン中で純粋窒素ガスを通じつつ,蒸発乾固する。蒸発残留物を0。015%シリカゲル60μZと2%リン酸5,ulの混合溶液に溶解する。この濃縮溶液の-部を質量分析計の表面電離装置のレニウムシングルフィラメントにローディングし分析する。本法の検出感度は10響15~,である。質量分析上の精度は,2°sfi1/2°3T1同位体比測定の変動係数として0,1~0,5%である。本法を岩石,植物および海水試料に応用した結果,タリウム含有量のくり返し分析の精度は0,2~1.0%であった。
  • 松井 修一, 相田 博
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1521-1525
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    反応温度10~50°C,pH2~6の緩衝液中でN-メチルマレイミド(MMI)のL-システイン(CySH),3-メルカプトプロピオン酸(PaSH)および2-アミノエタンチオール(AeSH)との反応について分光法により速度論的検討を試み,同-基質に対する異なるSH化合物の反応挙動について,その差違を調べた。見かけの二次反応速度定数k。b,は次式で与えられる。
    pH7.0,30°CにおけるMMIのCySH,PaSHおよびAeSHとの反応に関する二次反応速度定数ki;は3.30×106,7.59×104および1.10×1C7dms,mol-1,s-1である。pH2。12~5.88,30°Cにおける反応に関する活性化エントロピーは-9g.5~152Jもmol-,Kで大きな負値を示す。これらの結果は本反応の律速段階がチオラートイオンRS口のMMI分子C=Cへの求核付加であり,SH化合物に含まれる陽性アミノ基がMMI分子C=Cの分極または遷移状態のエネルギー低下などにより反応を促進することを示している。
  • 御園生 尭久, 吉見 武義, 福田 利弘, 小林 淳一, 長尾 幸徳
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1526-1531
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,8-ナフタレンジカルボキシミド[1a]およびN-メチル換-1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH3,0H,NH2,SO3Na)[Ib~f]をパラジウム触媒を用いて水素化することにより,[1f]の場合を除き,それぞれ相当するテトラヒドロ誘導体である1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド[2a](収率77%),およびN-メチルー5-置換-1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH3,0H,NH2)[2b~e](収率b:82%,c:62%,d:68%,e:78%)を得ることができた。
    さらに[1a]を同じ触媒でより強い条件で水素化するとデカリンー1,8-ジカルボキシミド[3]が得られることを確認した。また[2a]および[2b]を塩化アセチルで処理すると,それらのアシル誘導体である3-アセトキシー5,6-ジヒドロー4荏ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4a],および3-アセトキシー2-メチルー5,6-ジヒドロ-4-ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4b]を生じた。
  • 志村 武彦, 萬田 栄一郎
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1532-1536
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    三酸化硫黄-塩基付加化合物(SO3-base)でナフタレンをスルホン化してつぎの結果を得た。
    (1)のスルホン化能力はSO3-ジオキサン>SO3-N,N-ジメチルホルムアミド>SO3-ピリジン>SO3-トリエチルァミンであり,SO3-トリエチルアミンでは反応は起こらなかった。(2)基質と等モルのSO3-ジオキサンを使用すると,モノスルホン酸が反応条件によらずに生成した。そのうちの1-スルホン酸の生成比は90~83%とほぼ0定の値を示した。(3)基質の2倍モルのSO3-IY,1Vジメチルホルムアミドを使用し180℃で反応させると主としてジスルホン酸の混合物が得られた。(4)基質の4倍モルのSO3-ピリジンを使用して250℃で反応させると主として1,3,6-トリスルホン酸が得られた。(5)溶媒中で反応を行なうと,SOrN,N-ジメチルホルムアミド,SO3-ピリジンの場合に転化率の減少と,ジスルホン酸生成量の減少が認められた。
  • 安藤 靖子, 小見山 二郎, 飯島 俊郎
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1537-1546
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa)と非イオン性モデル染料,p-アミノァゾベンゼン(D-1)およびp-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アゾベンゼン(D-III)との水溶液中での相互作用において,染料アゾ基のβ窒素へのプロトン付加体とPSSNaの静電的結合(コンプレックス1)とn個の残基モルに染料1分子結合するコンプレックス2の2種類の平衡系の存在を可視吸収スペクト測定によって明らかにした。コンプレックス1および2の結合定数をおのおのの波長における吸光度変化から算出し,コンプレックス2の結合定数の温度依存から熱力学的諸量を求めた。結合エンタルピーの大きい負の値を,溶解度法から算出した相互作用の熱力学的諸量と比較検討した。PSSNaによる染料の可溶化に,コンプレックス1および2生成によるエネルギー項の寄与のほかに,相互作用にともなうポリマーのコンボメーション変化(粘度測定により)および水の構造変化によるΔH>0の寄与が含まれることが推論された。さらに,PSSNa水溶液の励起および発光スペクトルから,PSSNaのベンゼンモノマー(短波長側)およびダィマーもしくはエキサイマー(長波長側)に帰属される発光が観察され,長波長側の発光はD-1によって消光された。
  • 山本 真
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1547-1551
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカーアルミナにNi,Pd,Ptを担持させた二元機能触媒を用いて,試作したバッチ式の反応装置により,水素存在下ポリエチレンのガス化反応を行なった。反応温度を300~600°Cの範囲で変化させ,各種触媒の効果および生成炭化水素ガスの組成におよぼす影響について検討した。
    無触媒の場合,反応温度600,C以上でガス化率は急激に上昇し,エチレン,プロピレン,ブテン類を多く含有するガスが得られた。-方,シリカーアルミナ触媒をポリエチレンに対して15wt%添加するとガス化率は反応温度450℃で75wt%に達した。Niをシリカーアルミナに担持させた触媒でも,ガス化率は低温で急激に上昇し,生成炭化水素ガスの90%ぐらいはインブチレンを主体とするブテン類であったが,PdまたはPtの場合はエタンを主体としたパラフィンの割合が増加した。Niの担持量は0.4wt%ぐらいのときガス化率は85wt%以上を示し,Pd,Ptではガス化率がいちじるしく減少した。担持量を増加させたとき,寅iでは生成ガス中のオレフィンの割合に変化がないのに対し,PdまたはPtではブテン類が減少した。ポリマーに対しH,供給量2。5wt%まではガス化率が増大するが以後飽和に達した。
  • 岩村 淳一, 亀田 稔, 駒井 功一郎, 平尾 子之吉
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1552-1555
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カヤッリグサの根部精油を化学的方法に機器分析を併用して検索し,16種のセスキテルペノイドを確認した。主要成分はシペレン,カリオフィレン,δ-カジネン,ジュニパーショウノウ,α-カジノール,trans,trans-ファルネンル,trans,trans-ファルネス酸メチル,trans,trans-ファルネシルアセタート,(2E,6E,9Z)-3,7,11-トリメチルー2,6,9,11-ドデカテトラエン酸メチル[1a],(2E,6E,9E)-3,7,11-トリメチルー2,6,9,11-ドデカテトラエン酸メチル[1b],(2E,6E,9Z)-11-ヒドロキシー3,7,11-トリメチルー2,6,9-ドデカトリエン酸メチル[2],および(2E,6E,9E)-11-ヒドロキシー3,6,11-トリメチルー2,6,9-ドデカトリエン酸メチル[3]からなることがわかった。
    これらエステル[1a],[1b],[2]および[3]は新化合物である。
  • 中原 久恵, 小林 悦郎, 服部 滋, 鎌田 俊雄
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1556-1560
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    縮合リン酸塩の溶液挙動を研究し,実用的な粘度式を決定するためにポリリン酸アンモニウムの塩化ナトリウム水溶液について,光散乱および粘度測定を行なった。光散乱測定は-濃度近似法を適用し,高分子電解質への低分子イオンの選択吸着の補正を行なった。ポリリン酸アンモニウムの.0。1molμ塩化ナトリウム水溶液中での分子量と粘度との相関関係として,Mw=4.9~30.3×104の分子量範囲内で[η]=8.26×(25°C)が得られた。
  • 山本 忠弘, 山本 統平, 三戸 晶史, 広田 正義
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1561-1564
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1,11-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)を光増感剤として種々の溶媒中,30°Cでスチレンの光増感重合を行なった。重合速度(Rp)はシク只ムキサン<ベンゼン<L2-ジクロロエタン<クロロベンゼン<べンゾニトリル<プロモベンゼン<L2,4-トリクロロベンゼン<o-ジクロロベンゼン<ベンジルアルコールの溶媒の順に増大した。重合開始速度(Ri)は光増感重合においても,溶媒の種類によりほとんど変化しなかった。回転セクター法により生長速度定数(kp)と停止速度定数(kt)を求めたところ,kPは溶媒の種類によりほとんど変化しなかったのに対し,ん,は溶媒の種類により大きく変化し,ほぼkも1/η(ηは重合系の初期粘度)の関係が見られた。結局これら溶媒中でのスチレンのラジカル重合においては,溶媒の粘度により々,が変化するためにRpが変化することがわかった。
  • 平佐 興彦, 字治川 秀雄
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1565-1569
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    排水の汚濁度の連続測定および管理の立場から,排水中の汚濁物質問の相互作用の汚濁因子への影響を明らかにするため,のり抜き工程からの排水のモデルとして,デンプン溶液の濁度へのpHの影響について検討した。デンプン溶液の濁度は溶液のpHの増加とともに減少し,本実験条件下では,そのpHによる可逆性はほとんどなかった。この濁度の減少は,デンプン粒子のアルカリ吸着による可溶化に起因すると考えられ,このときの吸着はF`reundliehの吸着等温式にしたがう。
    この結果,排水中のデンプンの濃度C7はつぎの式で表わされる。
    ここで,3,は定数であり,Tは溶液の濁度,pKwは水のイオン積指数pH1は溶液の濁度と濃度の関係を求めたときのpHの値である。この式から,排水のpHおよび濁度を測定することにより,デンプンの:濃度が求められ,あらかじめ濃度とCOD,BODとの関係が求まっておれば,これらの連続測定も可能になる。
  • 男成 妥夫
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1570-1576
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中の酸性モノァゾ染料のオゾン酸化脱色の初期速度は,オゾン染料ともに-次で,全体で二次の反応速度式にしたがった。298。Kで脱色速度を測定した。脱色速度は溶液pHの上昇とともに増大し,染料のヒドロキシル基の半中翻点付近かないしはそれよりやや高pH域において最大値に達した。またそれ以下のpH域でゐ。b,[OH]α÷0.13となった。擬一次速度定数の対数値(log k)と染料のヒドロキシル基に基づくプロトン解離定数(pKOH)は,負の傾きをもつ下記の良好な直線関係を示した。
    log kobs=-0. 207 plfOH+1. 955 (pH 7. 0, 25℃)
    これらの結果から,これらの酸性モノァゾ染料の水溶液中での初期オゾン酸化反応機構は,オレフィン類の:オゾン酸化において提案されているものと同様な機構によると推定された。
  • 奥 彬, 安福 憲治郎, 加藤 真市, 片岡 秀人
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1577-1582
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ塩素化ビフェニル(PCB,Kanechlor400)をTHF中0°Cでナトリウムナフタレンと反応させると,10分間で完全に脱塩素化した(残留有機塩素10榊4wt%以下)。還元剤中にPCBを滴加する方法とその逆(順および逆滴加法)との比較では,後法がよりすぐれた脱塩素効果を示すことが判明した。完全脱塩素に必要な還元剤量は前法では1.3mol/Cl以上(還元剤調製前のナトリウムとナフタレンの仕込量基準では1.5Cl以上),後法では1.1以上であった。ナフタレン量は減少させることができ,ナフタレンo。65mol1Na1。31c11.oで5時間以内に完全に脱塩素化した。処理後の生成物組成は複雑であり,ビフヱニル生成量はわずかである。ナフタレン除去後の平均分子量は400~600と高く,逆滴加法で増大し,アルコール共存下で減少した。処理後の残留PCB成分は2mol1CI以上の還元剤を使用するとまったく検出されなかったが(電子捕捉型検出器によるガスクロマトグラフ分析),1.5molCl以下では検出されることがあった。またH÷源共存下の処理では多塩素成分が相対的に多く残留した。おもな反応経路に5演2型アリール化反応を考え,これがH÷源存在下および反応終期(脱塩素率95%以上に相当する部分)にはプロトン化により妨げられると推定した。リチウム,カリウムもナトリウムと同様有効であった。
  • 見田 敬介, 堀田 和彦, 渡辺 昭二
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1583-1584
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Reactions betweem benzil and hydrogen in the presence of bis(diphenylglyoximato)cobalt (II)-pyridine complex were studied at 20° C under normal pressure. The reaction rate was not affected by the concentration of benzil (Fig.1), and the plot of the reaction rate vs. the concentration of the complex gave sigmoidal curves (Fig.2), and the addition of sodium hydroxide retarded the reaction (Fig.3). This alkali retardation contrasts strikingly. with alkali acceleration observed in the hydrogenation in the presence of bis(dimethylglyoximato) cobalt (II)-pyridine complex.
  • 作道 栄一, 前田 正敏
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1585-1587
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Effects of four different electron donors, i. e., tetrahydrofuran, dioxane, N, N-dimethylf ormamide, and dimethyl sulfoxide, on the dehydration of 2-methyl-2-butanol with antimony tribromide were examined. The participation order of these donors on the induction period of the dehydration was estimated to be roughly 0.4, while that on the over-all process of the dehydration ranged from 0.8 to 1.7 depending on the kind of donor added. On the basis of these results, the difference between the effect of the kinds of donor added on the induction period and the over-all process of dehydration is discussed.
  • 志村 武彦, 萬田 栄一郎
    1978 年 1978 巻 11 号 p. 1588-1589
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The sulfonation of anthracene with SO3-pyridine reported by Battegay was reinvestigated. Contrary with their results that 1-anthracenesulfonic acid was obtained in high selectivity, a mixture of six sulfonic acids was obtained 1- (14%), 2- (4%), 1, 5- (10%), 1, 8-(60%), 2, 6 +2, 7- (12%). The reaction in melting SO3-pyridine gave 1-anthracenesulfonic acid in the selectivity of 40%.
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