日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
25 巻, 9 号
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  • 加藤 司郎, 石間 紀男
    1978 年 25 巻 9 号 p. 485-490
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    8種類の添加物L-グルタミン酸ナトリウム,グリシン,DL-アラニン,コハク酸ニナトリウム,乳酸,クェン酸,砂糖,サッカリンナトリウムを袋詰たくあんに添加した場合の匂い,香味,色に対する効果を検討したところ次ぎの結果を得た.
    (1) クェン酸と乳酸は,どちらか一方を調味液に加えた場合は,匂い,香味,色をよくする効果を持つが,両者を同時に加えるとそれぞれの効果は,相殺され,匂い,香味では,両者を加えない場合と同様に低く評価され,色では,乳酸のみを加えた場合と,同様に評価された。
    (2) サッカリンを甘味料として用いたものでは,クェン酸を添加しても効果はなかったが,砂糖を甘味料として用いた場合は,クェン酸の添加が香味の評価を高めた。
    (3) アラニンと乳酸を同時に加えると,それぞれの香味をよくする効果は,相殺された。
    (4) グリシン・コハク酸二ナトリウムの有意な効果は,この実験から認められなかった。
  • 香辛料の凍結粉砕(第2報)
    渡辺 敦夫, 森 敬三, 国本 正彦, 安藤 敏文, 木村 進
    1978 年 25 巻 9 号 p. 491-495
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 粉砕は容易であるが,油分が少なく,比較的精油成分の変化が起こりやすいコショウを試料として凍結粉砕法を適用した。
    (2) 粒径については前報と同様,粉砕機の回転数が最も大きく関係し,同じ回転数であれば粉砕温度の低いほど微粒化された。また,比較的粉砕され難い殻部および粉砕の容易な果肉部の存在によると考えられる2成分性を示した。
    (3) 温度コントロールせず粉砕を行ったものおよびスタンプミル粉砕したものに比較し,凍結粉砕したものの方が精油含量はかった。しかし,0℃以下の温度で粉砕したものにおいては精油含量に差がないことから,粉砕に伴なう発熱を吸収する程度に冷却することにより精油の揮散は防止し得ると考える。
    (4) ガスクロマトグラフィーによる精油成分の分析結果から,常温粉砕試料と凍結粉砕試料との間には質的差違が生じていることが示された。
    (5) 前報におけるナツメグの粉砕においては,粉砕温度により精油成分に量的質的変化は生ぜず,凍結粉砕法の利点は低温で粉砕することによる粉体の付着力低下による粉砕効率の向上であると考えられ,コショウにおいての利点は低温粉砕することにより精油成分の揮散が防止されることと考えられる。これらの点から考え,砕料の個々の特性に適した粉砕方法,粉砕条件を設定することが必要である。
  • 加工用イチゴのへた取り作業の省力化に関する研究(第1報)
    宮崎 正則, 美谷 誠一, 薮内 一雄
    1978 年 25 巻 9 号 p. 496-501
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴのへた取り作業および収穫作業を省力化するため,へたは株に残し,果実のみを片手収穫できるイチゴを育成する目的で本研究をはじめた。本実験では,へた離れ力と果形,品種および果実熟度との関係を調べた。
    (2) 加工用品種「アメリカ」の完熟果のへた離れ力は果形との間に高い相関性があり,肩すき果,小果はへたくいこみ果,大果に比べてへた離れ力は小さかった。
    (3) へた離れ力には品種間差異があり,野生種のへた離れ力は100g以下,加工用品種「アメリカ」は300~400g,生食用品種は500g以上であった。
    (4) 果実の熟度が進行するに伴い,へた離れ力は低下したが,同時にへた離れ部位のへた直下部とずい部との境でペクチンの質や量が変化していくことがうかがわれた。
  • 加工用イチゴのへた取り作業の省力化に関する研究(第2報)
    宮崎 正則, 美谷 誠一, 薮内 一雄
    1978 年 25 巻 9 号 p. 502-507
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 加工用イチゴ品種「アメリカ」の果実を片手で引張ることにより,へたを果梗に残し,果実のみを収穫することのできる収穫剤および栽培条件を検索した。
    (2) 片手収穫によるへたなし果率は一般に収穫前半に高く,収穫末期には著しく低下した。
    (3) 出蕾時のGA処理と一番果成熟直前のフェニル酪酸の併用処理で,収穫前半のへたなし果率は著しく高まった。
    (4) GAとエスレルの併用処理およびGAとリン酸カリウムの併用処理で全収穫期間を通したへたなし果率は高かった。
    (5) へたなし果率は農薬散布頻度などの栽培条件によっても差異を生じた。
    (6) へたなし果率とへた離れ力との間に相関性が認められたが,へた離れ力以外にもへたなし果率に影響する要因があった。
  • 大豆食品の脂質に関する研究(第7報)
    木内 幹, 鈴木 紀, 太田 輝夫, 佐藤 恵美子, 海老根 英雄
    1978 年 25 巻 9 号 p. 508-514
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    本報告では,酵母添加味噌の脂肪酸組成の変動を根拠にして,LAを資化する微生物の検索を行い,耐塩性酵母S. rouxiiにその活性があることを見出した。
    新潟県産酵母添加味噌7点と同青森県産味噌1点の脂質分析とFFA画分の脂肪酸分析を行って,新潟県産味噌の中で2点が大豆脂質と味噌脂質のTG画分とFFA画分のLA組成が10%以上異なることを見出し,また青森県産味噌では8%以上の差があることを見出した。
    新潟県産味噌2点のうちの1点,No.4と青森県産味噌から,平板培養法により微生物の分離を行い,前者から分離された酵母はS. rouxii,細菌ではB. subtilisB. pumilusであった。後者では酵母用培地から分離された酵母はS. rouxiiであったが,数株S. rouxii var.halomembranisが含まれていた。細菌用培地からは赤色酵母のRh. glutinis var. glutinisBacillus属・Micrococcus属が分離された。
    分離菌株のLA資化性を酸素電極を使って調べた。分離されたS. rouxiiには活性があったが,S. rouxii var.halomembranisに属する株には,活性のない株・殆んど活性のない株も含まれていた。Rh. glutinis var.glutinisと細菌では活性は弱いか,殆んどないかであった。味噌への添加酵母菌株S. rouxii S-96株,同301株には強い活性が見られた。
  • 液糖の風味付与について(第1報)
    伊藤 汎
    1978 年 25 巻 9 号 p. 515-518
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    好ましい甘味香を持ち,糖蜜臭のごとき不快な匂いを含まない液糖を,現在の液糖の製造工程を大巾に変更することなく,簡単な操作で製造する方法について検討した。
    試料として,純度の高い蔗糖型および50%転化型液糖を用いて,原料から由来する糖蜜臭を除き,加熱時間および温度を変えて処理した。処理後の試料のマルトール化合物量を測定し,順位法による官能検査で香りと味について比較した。
    以上の結果,蔗糖型液糖では,120℃, 1.5時間,50%転化型液糖では120℃, 10分間の加熱で好ましい甘味香を有し,こげ臭や苦味のない液糖ができることが明かとなった。しかし,現在の液糖製造工程を大巾に変更しないで蔗糖型液糖に適用するには無理がある。それに比べ転化型液糖のごとく還元糖を含む液糖は容易な操作で効果のあることがわかった。
  • 醤油成分による油脂可溶化現象(第8報)
    小野 文夫, 青山 康雄
    1978 年 25 巻 9 号 p. 519-523
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    サッカロースとポリペプトンを水相の溶質モデルとしてなる油脂可溶化物について,加水展開する際の油脂の分散挙動を検討した。顕微鏡観察において,フクシンおよびズダンIIIによる染色は油脂可溶化物における油脂の分散像を与えなかったが,水との接触は油滴を解離させ,クリーム状物またはo/wエマルジョンへの変換を示した。
    油脂可溶化のための攪拌は系の粘稠化とともに,エマルジョンにおける油脂の微滴化を促進し,遊離油量を減少させた。また,水相成分中のポリペプトンは分散油滴への吸着によるクリーム層への移行を示し,エマルジョンの安定化に関与するものと考えられた。
    コールターカウンターによる希薄エマルジョンの分散油滴の平均径は5ミロクン前後を示し,これらの結果は新規なエマルジョンの調製方法としての可能性をも示唆した。
  • 伊藤 汎
    1978 年 25 巻 9 号 p. 524-525
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    糖蜜甘味香の主要成分の一つであるバニリンの精糖工程中における生成の有無を検討した。試料としては同一精糖工場の同一期間の原料糖,ファインリカー,洗糖蜜,廃糖蜜を継続して10日間採取して,原料糖からの流れのタイムラグを防止した。
    その結果,原料糖から移行したバニリンは清浄脱色工程で全て除かれ,清浄脱色工程を通らない洗糖蜜に含まれて回収晶析工程を経て糖蜜中に残ったものだけが廃糖蜜中に蓄積されることがわかり,精糖工程中でのバニリンの生成はないことが明かとなった。
  • 押田 一夫
    1978 年 25 巻 9 号 p. 526-535
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 25 巻 9 号 p. 536-542
    発行日: 1978/09/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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