日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
32 巻, 5 号
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  • 豆類もやしの栽培と鮮度保持に関する研究(第9報)
    田尻 尚士
    1985 年 32 巻 5 号 p. 317-325
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    これまで豆類もやしの「太もやし」製造の改良に太陽灯,エチレンガス及び二酸化炭素ガス処理がそれぞれ有効であると述べたが,本報ではこれらの併用処理法を試み,その効果を検討した。
    豆類もやし原料豆はダイズ,リョクトウ及びアズキを用いてエチレンガス(50ppm)+二酸化炭素ガス(600ppm),太陽灯(2500lux)+エチレンガス(50ppm)及び太陽灯(2500lux)+二酸化炭素ガス(600ppm)の3併用区を設定,間欠的,短時間処理(1日,1回,60分)はガス処理を置床後12時間,太陽灯照射は置床後48時間より開始した。
    その結果,総合的にエチレンガス+二酸化炭素ガス併用処理区が最もすぐれた効果を示した。すなわち,同処理区によって各豆類もやしにおいて,はい軸部の伸長,肥大及び重量増加が促進され,ビタミンC含有量は著しく増加し,光沢と透明感を有し「はり」のある「太もやし」が栽培製造可能となった。エチレンガスによる黄色化や側根生長の促進,二酸化炭素ガス処理による伸長過度など単独処理での欠点も抑制された。本併用処理により,通常栽培法に比較して栽培製造日数も3~4日短縮することが可能となることが統計学的に確認され,実際に栽培製造において有効である改良法であることが認められる。
  • 酢酸菌の発酵促進物質に関する研究(第8報)
    南場 毅, 加藤 煕
    1985 年 32 巻 5 号 p. 326-330
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    供試菌株の分類学的な検討を行なった。
    (1) Acetobacter No. 2菌(微生物工業技術研究所分譲菌),Acetobacter M-1菌(食酢もろみからの分離菌)ともグラム陰性,非運動性の桿菌であった。
    (2) 両菌ともHoyer Frateur培地でのアンモニア態窒素の資化性はなく,グリセリンからのジヒドロキシアセトンの生成,色素,Thick pericleの生成は認められなかった。また,Acetobacter No. 2菌はD-キシロース,D-グルコース,D-マンノースから,Acetobacter M-1菌ではその他にL-アラビノース,D-ガラクトースから酸生成が認められた。以上の結果から,Bergey'smannual 8th Ed.により両菌はともにAcetobacterpasteurianusと同定した。
  • 酢酸菌の発酵促進物質に関する研究(第9報)
    南場 毅, 加藤 煕
    1985 年 32 巻 5 号 p. 331-337
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) グリセリン,有機酸など標品の添加効果を試験し,糖類ではグリセリン,D-グルコース,有機酸では乳酸,コハク酸などにより酸生成の促進と生酸度の増大がみられたが,その効果は菌株によって差異がみられた。アミノ酸ではL-アラニン,L-アルギニンなどが有効であった。脂質関連物質ではAcetobacter pasteurfanus No. 2, Acetobacter pasteurianus M-1において3-クロロ-1, 2-プロパンジオール,モノオレインに促進効果がみられ,脂肪酸ではAcetobacter aceti IFO 3281においてのみ,cis-9-オクタデセン酸(オレイン酸)に効果がみられた。代謝中間体ではDHA, DL-グリセロリン酸に顕著な促進効果がみられた。
    (2) グリセリン添加培地での栄養要求性では,カザミノ酸,硫安の除去は生酸に影響したが,ビタミン要求性は弱かった。無機成分については菌株により,要求性は異なっていた。
    (3) 天然栄養源に対して有効物質を添加して生酸促進効果を比較したが,栄養源に不足する成分の補足により,生酸促進効果は増強されて,培地の改良に有効であった。
  • 食用キノコの成分に関する研究 第2報
    数野 千恵子, 三浦 洋
    1985 年 32 巻 5 号 p. 338-343
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    ヒラタケについて,子実体の傘の直径が1cm以上のものと,それ未満のものとに分け,かつ傘,柄及び基部に分け,各部位について,水分,灰分,粗脂肪,遊離脂肪酸,有機酸,糖アルコール,単糖を調べた。
    (1) 水分は,1株の平均の含量は90%であり,傘の部分にやや多い傾向がみられた。
    (2) 灰分は,1株の平均は1.1%であり,傘と柄の差は特にみられなかった。しかし,子実体の小さなものに,やや多く含まれる傾向がみられた。
    (3) 無機成分は,1株の平均ではカリウムが100gあたり361mg,次いでリンが121mgと多く,またナトリウム,マグネシウムが多く含まれていた。これらの部位別含量をみると,子実体の大小あるいは部位による規則性はみられなかった。
    (4) 粗脂肪は,1株平均で100gあたり57mgであり,子実体の小さなものに多く,部位別では傘の部分に多い傾向がみられた。
    遊離脂肪酸は,C14, C15, C16, C17, C18, C18' and C18″が検出され,C18″が最も多く含有されていた。C18″は柄及び基部では50%以上を占め,傘部では32~36%程度であり,組成比に大きな差がみられた。
    (5) 有機酸は,ギ酸,酢酸,乳酸,シュウ酸,コハク酸,フマル酸,リンゴ酸,α-ケトグルタル酸,ピロダルタミン酸,クエン酸が検出された。
    1株の平均では,ピログルタミン酸が100gあたり344mgと最も多く,次いでリンゴ酸,乳酸,コハク酸等も比較的多く検出された。有機酸はいずれも,柄に多く検出された。
    (6) 遊離アミノ酸の総和は,1株の平均で100gあたり340.2mgであった。部位別に比較すると,柄の部分に多く含まれていた。
    グルタミン酸が100gあたり58.4mgと最も多く,次いでオルニチン,アラニン,シスタチオニン,チロシン等が比較的多く検出された。各アミノ酸は,部位あるいは子実体の大小により含量に差がみられた。
    (7) 糖アルコールは,マンニトールが100gあたり296mg,グルシトールが50mg検出された。部位別にみるとマンニトール,グルシトール共に柄部に多く含有され,マンニトールにその傾向が著しかった。
    (8) 単糖は,1株の平均で100gあたりマンノースが78mg及びグルコースが207mg検出された。部位別にみると,傘部に比べ柄部に著しく多く含まれていた。
    (9) 糖質の含量を柄部と基部で比較すると,柄部はグルシトール,マンノースが多く,基部はマンニトール,グルコースが多く含まれており,特にマンニトールとマンノースの含量に大きな差がみられた。
  • イオン交換樹脂によるカンキツ果汁の品質改善と果皮利用に関する研究(第3報)
    前田 久夫, 高橋 保男, 三宅 正起, 伊福 靖
    1985 年 32 巻 5 号 p. 344-348
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    温州ミカン果汁中のヘスペリジンを合成吸着剤により吸着除去することを検討し,次の結果を得た。
    (1) 還元果汁中のヘスペリジンは不溶性が91mg/100ml,可溶性が9mg/100mlで90%以上が不溶性ヘスペリジンで存在し,この状態で合成吸着剤を作用させてもほとんど吸着効果がなかった。
    (2) 加熱によるヘスペリジン可溶化試験の結果,10分間の加熱により90℃で50%,95℃で75%,100℃でほぼ100%が可溶化した。
    (3) 還元果汁を100℃,3分間加熱した結果,ヘスペリジンの85%が可溶化し,バッチ法で処理した結果,HP-20, S-861およびSP-207が可溶性ヘスペリジンの80~95%を吸着除去した。
    (4) 搾汁直後の果汁中のヘスペリジンはほとんど可溶性の状態で存在し,バッチ法で処理した結果HP-20, S-861およびSP-207がヘスペリジンの90%以上を吸着除去した。
    (5) ヘスペリジン100mg/100mlを含む搾汁直後の果汁をカラム法により処理した結果,HP-20, S-861およびSP-207が95%以上の吸着率を示し,6時間連続で吸着処理した果汁中のヘスペリジン含量は平均3mg/100mlに減少した。
    (6) 搾汁直後の果汁中のヘスペリジンをカラム法により吸着除去することにより,精油含量が0.05%から0.02%に減少したが,他の果汁成分への影響はほとんどなかった。
  • 江 埼, 大島 敏明, 和田 俊, 小泉 千秋
    1985 年 32 巻 5 号 p. 349-359
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    豚肉,牛肉の切身肉および挽き肉をレトルトパウチに真空包装して,高温加熱処理(中心温度124℃,F値4.6~32の範囲)をしたときの脂質成分の変化を調べ,次のような結果を得た。
    (1) 加熱に伴う全脂質含量および水分はほとんど変化しなかったが,極性脂質区がやや増加した。
    (2) 加熱により豚肉のTBA値は上昇したが,F値の上昇に伴ってTBA値が増加するという傾向はみられなかった。一一方,牛肉のTBA値は加熱により減少した。
    (3) 加熱により豚肉,牛肉共にリゾ型リン脂質が増加したが,遊離脂肪酸はむしろ減少傾向を示した。
    (4) F値が21以上になるように加熱すると,豚肉,牛肉共にacyl chainに基づくtriglyceride組成が変化した。このことから,加熱中に分子内あるいは分子間でエステル交換が起こったものと推定した。
    (5) 各脂質区の脂肪酸組成は,加熱によりほとんど変化しなかったが,phosphatidylethanolamineのC20:4は明らかに減少した。
  • 香西 みどり, 島田 淳子
    1985 年 32 巻 5 号 p. 360-364
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ煮熟時の最適加熱時間を予測する方法を開発することを目的とした。
    (1) 軟化の官能評価に良く対応するテクスチュロメーターの硬さを軟化のパラメーターとした。軟化率xは以下のように表わした。
    y0:硬さの初期値;ye:硬さの平衡値;y:硬さの測定値
    (2) 軟化は1次の速度式に従い,速度定数kは次式によって示された。
    k=7.49×1019exp(-1.74×104/T) [min-1]T:絶対温度(°K)
    (3) 試料の中心から表面までの距離の0.55倍の位置を全体の代表点とし,その位置で軟化率が0.9となる時間を最適加熱時間としたところ,官能評価と良く一致した。更に,0.2~5cm立方のジャガイモ試料を仮定し最適加熱時間と大きさの相関を調べると次式が得られた。
    Θ=0.98LL2+0.67L+6.15
    Θ:最適加熱時間(min);L:立方体の1辺の長さ(cm)である。この式で求めたθはL=1~4.6cmの範囲で官能評価と良く一致した。
  • パン製造中の工程条件に関する研究(第6報)
    弘中 泰雅
    1985 年 32 巻 5 号 p. 365-367
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    加糖中種法による菓子パン製造において,中種捏上温度,中種発酵時間,本捏捏上温度,フロアタイムの各工程要因に着目して,発酵ロスヘの影響を検討したところ,次のことが明らかになった。
    (1) 発酵ロス率は製造工程条件により変動し,中種発酵時間,本捏捏上温度が発酵ロスに影響を与えた。中種捏上温度,フロアタイムの効果は認められなかった。
    (2) 中種発酵時間は長い方が,本捏捏上温度は高い方が発酵ロス率は大きくなった。
    (3) 本実験における発酵ロス率は最小1.27%,最大2.27%であった。
    (4) 加糖中種菓子パン生地において生産管理に使用する発酵ロス率は2%程度が適当であると考えられた。
  • ガスクロマトグラフィ-による“粉わさび”の品質鑑定に関する研究(第12報)
    小嶋 操, 浜田 浩, 利光 典子
    1985 年 32 巻 5 号 p. 368-371
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 溶媒にn-ヘキサンを,内部標準物質にチオナフテンを用いるGCにより,β-フェネチルからし油の定量をこころみた。
    (2) FIDおよびFPDを用いたGCでは,定温と昇温条件のいずれでも,定量は可能であった。
    (3) ホース粉加水分解物中には,β-フェネチルからし油含量は,FPD(昇温)を用いるGCでは,0.128~0.241重量%であった。
  • 四方田 千佳子, 豊田 正武, 伊藤 誉志男, 原田 基夫
    1985 年 32 巻 5 号 p. 372-374
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    かんの缶詰中のMC定量が可能となった。
    (2) みかんの缶詰にMC0.1%添加したところ回収率は86%と良好であった。
    (3) 市販のみかんの缶詰では11検体中3検体に0.0008~0.0015%のMCが検出された。
  • 山口 弄通
    1985 年 32 巻 5 号 p. 375
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 32 巻 5 号 p. A35-A39
    発行日: 1985/05/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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