日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
36 巻, 4 号
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  • 中北 宏, 井村 治, 鍋谷 浩志, 渡辺 敦夫, 渡辺 正造, 竹生 新治郎
    1989 年 36 巻 4 号 p. 267-273
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) 昆虫単独ではマイクロ波による殺虫は期待できず,殺虫には食料自身も加熱される必要があった.
    (2) 供試玄米の温度が60℃以上になると殺虫効果が顕著になった.また,玄米の水分含量が高いほど,殺虫効果は高くなった.
    (3) ココクゾウとノコギリヒラタムシの成虫およびノシメマダラメイガの幼虫が最もマイクロ波に対する耐性が強く,以下コナナガシンクイ成虫>ノシメマダラメイガ蛹>コクゾウ成虫,コクヌストモドキ成虫,ノシメマダラメイガ卵>コヌクストモドキ蛹,卵,幼虫の順であった.しかしマイクロ波は速効的な殺虫作用を有し,本実験条件では用いたすべての昆虫の種と各発育ステージを1分以内の照射で完全に殺すことができた.
    (4) 照射された玄米の品質は,処理後4ケ月間は無処理の玄米の品質と比較して,有意差が無かったが, 6ケ月目には食味は低下した.
    実験の補助をしていただいた中山成子さんにお礼を申しあげる.
  • 中北 宏, 井村 治, 鍋谷 浩志, 渡辺 敦夫
    1989 年 36 巻 4 号 p. 274-278
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    (1) 高周波(13.56MHz)照射により,食料(玄米)を必要以上に加熱することなく貯蔵食品害虫を致死させることが.できた
    (2) 昆虫種の発育ステージにより感受性は大きく異なり,感受性の強い順序は,コクヌストモドキ(成虫,踊,幼虫)>コクゾウ(成虫)>ノコギリヒラタムシ(成虫)>ノシメマダラメイガ(幼虫)>ココクゾウ(成虫),コクゾウ(幼虫),ノシメマダラメイガ(踊)>コナナガシンクイ(成虫),ノシメマダラメイガ(卵)であった.
    (3) 感受性の異なる原因は,それぞれの耐熱性に加えて周波数特性をもつ誘電損率(ε″)の違いが大きく作用しているものと予想された.
    (4) 高周波の繰り返し照射では照射回数に応じた相加的な殺虫効果は得られなかった.
    (5) 死亡率回帰直線のパターンから,高周波には加熱以外の致死作用の存在も推定された.
    (6) 高周波照射を受けた食料の発熱はマイクロ波に比べて均一性の高いものであった.
    (7) 加熱により品質の損なわれる食品や精米工場等での害虫防除に,高周波を応用することは有効といえる.
  • 塚正 泰之, 福本 憲治, 朝井 大, 藤間 能之, 赤羽 義章, 鈴木 富久子, 安本 教傳
    1989 年 36 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    亜硝酸塩の添加と塩漬中の呈味成分の変化の関係を通常処理肉と無菌化処理肉について検討した.
    (1) 遊離アミノ酸は,塩漬温度が高いほど速やかに生成し,亜硝酸塩添加系の方が無添加系に比べて塩漬経過につれて増加する割合は低い.生成するアミノ酸としては,親水性アミノ酸が最も多かったが.疎水性アミノ酸の比率が塩漬中に増加した.
    (2) ペプチド量は亜硝酸塩添加系と比べると,無添加系での減少が大きく,特に無菌化処理肉の場合により著しい違いが認められた.
    (3) 有機酸では乳酸が主な酸で,特に豚ロース肉では,乳酸以外の酸はほとんど検出されなかった.通常処理肉では,乳酸,酪酸,イソ酪酸の増加速度が亜硝酸塩無添加系で大きく塩漬後半で酢酸の増加とギ酸の生成が認められた.亜硝酸塩添加系と無菌化処理区ではギ酸の生成は認められなかった.このギ酸の生成時期は,官能検査による呈味の低下時期と一致していた.
    (4) ATP関連化合物量は亜硝酸塩の添加と無添加で差はなかった.
  • 藤野 正行, 阿武 尚彦, 赤羽 義章, 藤間 能之, 安本 教傳
    1989 年 36 巻 4 号 p. 286-292
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食肉加工工程における遊離脂肪酸 (FFA)の挙動を明確にすべく,豚肉を用いて塩漬及び加熱処理を施し,FFA変化を観察した.
    (1) 無菌化処理塩漬,通常処理塩漬を問わず, FFAは塩漬期間中に増加したが,特に通常処理塩漬肉での増加が大きかった.
    (2) 通常処理塩漬肉では,亜硝酸塩添加系に比べて無添加系でのFFAの増加が大きく, FFAの増加に微生物の関与することが示唆された.また,塩漬中,遊離の飽和脂肪酸の占める割合が大きくなる傾向が認められた.
    (3) 各々の塩漬肉を加熱処理すると, FFAが増加した.この加熱処理時の増加は,塩漬期間中の増加に比べて大きかった.
    (4) 加熱処理にともない, FFA中に占める不飽和脂肪酸の割合が大きくなった.
  • 佐々木 弘子, 中村 尚子, 甲田 道子, 松本 仲子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1989 年 36 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Dried Shiitake mushrooms rehydrated under various conditions were cooked and erences between the cases of Donko and Koshin varieties, the cooked mushrooms which soak ed at 5°C for 5h or more and at 25°C for 5 to 15h were preferable. On the whole, the mushr ooms soaked at 40°C were evaluated to be not preferable, however, some of them soaked for a short time were relatively preferable. The impression for taste of the cooked Shiitake was correlated with the intensities of umami and bitterness. The increase of umami h eightened the impression score for taste. On the other hand, bitterness provided bad effec t on its score. The score for intensity of umami in cooked dried Shiitake was correlated with the concentrations of 5'-GMP and glutamic acid. The content of hydrophobic amino ac ids in dried Shiitake cooked after long time soaking at high temperature were enough to cause bitter taste. Since the mushrooms, which generated much 5'-GMP and contained le ss hydrophobic amino acids, were scored highly for taste and consequently gained a good overall estimate, it was suggested that the soaking for a shorter time at lower temperature was desirable. However, the one soaked for too short time was not thoroughly reh ydrated, so scored lower points for texture and consequently not prefered. (Received Jul. 7, 1988)
  • 福渡 康夫, 田村 吉隆, 溝田 輝彦, 冨田 守, 荒木 一晴, 小此木 成夫, 松本 耕一, 中島 篤, 佐藤 幾郎, 稲垣 孝二
    1989 年 36 巻 4 号 p. 302-317
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    多段循環式連続逆浸透(RO)装置を用いて限界安定体積透過流束によりチーズホエーを濃縮する場合の,最小の濃縮総費用を与える最適装置設計要件および最適操作条件を理論的に決定する数学モデルを提案した.
    透過液1m3を除去するのに要する濃縮総費用を, (1)体積透過流束の多寡により変動する費用(Cθ)と(2)変動しない費用に分け,これらの費用を求める諸式をROに関わる諸因子の関数として表現した.さらに,輸送方程式,濃度分極式,限界安定体積透過流束とモジュール内循環流量の関数を用いて, ROに関わるこれら諸因子間の関係を表現した.その結果,濃縮倍率と循環流量を与えることによりCθを得る数学モデルを体系化することができた.この数学モデルに各段の濃縮倍率と循環流量の種々の組合せを与えて算出したCθの中から,最小の費用を与える組合せを検索することにより,最適の装置設計要件及び濃縮操作条件を決定することが可能となった.
    平面膜型Arlamo-26モジュールとFL-190膜(食塩阻止率0.90)で構成した3段循環式連続RO装置の使用を想定したケーススタディにより,日量100m3のホエーを20時間で3倍濃縮する場合の最適装置設計要件,最適操作条件及び濃縮総費用を求めた.限界安定体積透過流束のデータが得られている4つのケースについて比較した結果,濃縮総費用が最も安価であったのは,pH 5.8のホエーを50℃で1時間保持後40℃で濃縮するケースであった.本ケースにおける透過液1m3当たりの最小濃縮総費用は1140円で,その内訳は高圧フィードポンプ動力費4%,循環ポンプ動力費7%,膜交換費11%,固形物損失費13%,排水処理費1%,洗浄費2%,ホエーの前処理費(pH調整費)8%,人件費16%および設備償却費38%であった.
    さらに任意の段のCθ(i)を循環流量の関数として表現することができたので,最小の濃縮総費用を与える各段の最適循環流量および最適濃縮倍率を迅速かっ簡便に求めることが可能となった.
    平面膜型Arlamo-26モジュールとFL-190膜(食塩阻止率0.90)で構成した3段循環式連続RO装置の使用を想定したケーススタディにより,日量100m3のホエーを20時間で3倍濃縮する場合の最適装置設計要件,最適操作条件及び濃縮総費用を求めた.限界安定体積透過流束のデータが得られている4つのケースについて比較した結果,濃縮総費用が最も安価であったのは,pH 5.8のホエーを50℃で1時間保持後40℃で濃縮するケースであった.本ケースにおける透過液1m3当たりの最小濃縮総費用は1140円で,その内訳は高圧フィードポンプ動力費4%,循環ポンプ動力費7%,膜交換費11%,固形物損失費13%,排水処理費1%,洗浄費2%,ホエーの前処理費(pH調整費)8%,人件費16%
    および設備償却費38%であった.さらに任意の段のCθ(i)を循環流量の関数として表現することができたので,最小の濃縮総費用を与える各段の最適循環流量および最適濃縮倍率を迅速かっ簡便に求めることが可能となった.
  • 浅野 三夫, 大久保 一良, 山内 文男
    1989 年 36 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    豆乳への固形分移行率,主成分含量,配糖体成分,リポキシゲナーゼ活性および粘性に及ぼす生しぼり温度の影響を調べ,生しぼり工程の最適条件を検討した.その結果,子葉から豆乳へ固形分移行率は30℃以上で,全粒から豆乳への固形分移行率は50℃で最大値50%にそれぞれ達し,その粗蛋白質,粗脂肪,糖質の組成比は生しぼり温度と関係なくほぼ一定していて,それぞれ44~46%, 19~20%, 24~26%であった.不快味に関係する豆乳の配糖体画分量は, 50℃以上の加熱により増加し始め, 95℃での全粒豆乳で約10%,子葉豆乳で約8%に達した. TLCとHPLCで豆乳からの配糖体画分を分析した結果,全粒豆乳からサポニンAとBグループ成分が,子葉豆乳からBグループ成分がそれぞれ検出され,その組成に及ぼす生しぼり温度の影響はみとめられなかった.不快臭と関係する豆乳リポキシゲナーゼの50%失活温度は,そのアイソザイムL1が68℃, L2が60℃, L3が58℃であった.またその生成n-ヘキサナール量は60℃の豆乳で約50%減少した.さらに生呉と生豆乳の粘性に及ぼす昇温・冷却の影響を調べた結果,昇温と共に粘性が急激に低下し, 60℃でほぼ平衡に達した.以上の結果から, 50~60℃が豆腐製造における生しぼり工程の最適温度範囲であるものと判断した.
  • 小沢 修, 大塚 耕太郎, 内田 隆次
    1989 年 36 巻 4 号 p. 325-328
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    土壌より分離したCryptococcus laurentii OKN-4の生菌体及びポリアクリルアミドゲル固定化菌体とラクトースを反応させ,4'-ガラクトシルラクトースの生産を試みた.反応時間経過とともに4'-ガラクトシルラクトースを生産したが,グルコースを主としガラクトースも含む単糖,ラクトース以外の二糖及び四糖が副生した. その結果, 4'-ガラクトシルラクトースの収率は基質ラクトースに対し30%が限界であった.しかし,基質ラクトース濃度には依存しなかった. pH3~7で生産可能で,最適温度は65~70℃であった.固定化菌体を用いたバッチ繰り返し反応試験では40回以上安定に4'-ガラクトシルラクトースを生産した
  • 永島 俊夫, 小泉 幸道, 山田 正敏, 柳田 藤治
    1989 年 36 巻 4 号 p. 329-333
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    カレー缶詰を製造直後より24カ月室温にて貯蔵した場合の成分(遊離アミノ酸,有機酸,色,遊離脂肪酸, 香気成分)について検討を行なった.
    (1) 遊離アミノ酸,有機酸,遊離脂肪酸などは,いずれも日数の経過とともに減少する傾向が認められた.特にそれぞれの含量の多い成分の減少が顕著であった.
    (2) 色は貯蔵することにより,明度や彩度が減少し, やや暗くなる傾向であった.
    (3) 香気成分量も減少する傾向が見られ,特に低沸点および中沸点化合物量の減少が著しかった.
    (4) 24カ月の貯蔵により各成分の減少が見られ,色の変化や香気成分の減少などは問題が残るが,各成分は平均化され,むしろ味は向上するのではないかと考えられた.
  • 松井 年行, 北川 博敏, 土居 新一
    1989 年 36 巻 4 号 p. 334-338
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    This paper describes the seasonal changes in starch content, and α-and β-amylase activities of two cultivars of kiwifruit, 'Koryoku' and 'Hayward'. The main purpose of the study was to investigate the seasonal changes in starch content in relation to α-and β-amylase activities and also to examine the properties of these two enzymes in both cultivars. The highest activity of α-amylase in the insoluble fraction was observed in September for 'Koryoku'and in October for 'Hayward', whereas that of β-amylase in the same fraction was observed in October for both cultivars. Both enzyme activities were higher in the insoluble than in the soluble fraction. The highest starch content in 'Koryoku'was observed in the middle of October, while in 'Hayward' it was observed in the later part of October or early November. In both cultivars, α-amylase activity peaked one month earlier than starch content.
  • 栄養成分を中心として
    堤 忠一
    1989 年 36 巻 4 号 p. 339-346
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 上野 川修一
    1989 年 36 巻 4 号 p. 347-352
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 田中 宗彦, 橋詰 和宗
    1989 年 36 巻 4 号 p. 353-355
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 36 巻 4 号 p. A16-A23
    発行日: 1989/04/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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