多段循環式連続逆浸透(RO)装置を用いて限界安定体積透過流束によりチーズホエーを濃縮する場合の,最小の濃縮総費用を与える最適装置設計要件および最適操作条件を理論的に決定する数学モデルを提案した.
透過液1m
3を除去するのに要する濃縮総費用を, (1)体積透過流束の多寡により変動する費用(C
θ)と(2)変動しない費用に分け,これらの費用を求める諸式をROに関わる諸因子の関数として表現した.さらに,輸送方程式,濃度分極式,限界安定体積透過流束とモジュール内循環流量の関数を用いて, ROに関わるこれら諸因子間の関係を表現した.その結果,濃縮倍率と循環流量を与えることによりC
θを得る数学モデルを体系化することができた.この数学モデルに各段の濃縮倍率と循環流量の種々の組合せを与えて算出したC
θの中から,最小の費用を与える組合せを検索することにより,最適の装置設計要件及び濃縮操作条件を決定することが可能となった.
平面膜型Arlamo-26モジュールとFL-190膜(食塩阻止率0.90)で構成した3段循環式連続RO装置の使用を想定したケーススタディにより,日量100m
3のホエーを20時間で3倍濃縮する場合の最適装置設計要件,最適操作条件及び濃縮総費用を求めた.限界安定体積透過流束のデータが得られている4つのケースについて比較した結果,濃縮総費用が最も安価であったのは,pH 5.8のホエーを50℃で1時間保持後40℃で濃縮するケースであった.本ケースにおける透過液1m
3当たりの最小濃縮総費用は1140円で,その内訳は高圧フィードポンプ動力費4%,循環ポンプ動力費7%,膜交換費11%,固形物損失費13%,排水処理費1%,洗浄費2%,ホエーの前処理費(pH調整費)8%,人件費16%および設備償却費38%であった.
さらに任意の段のC
θ(i)を循環流量の関数として表現することができたので,最小の濃縮総費用を与える各段の最適循環流量および最適濃縮倍率を迅速かっ簡便に求めることが可能となった.
平面膜型Arlamo-26モジュールとFL-190膜(食塩阻止率0.90)で構成した3段循環式連続RO装置の使用を想定したケーススタディにより,日量100m
3のホエーを20時間で3倍濃縮する場合の最適装置設計要件,最適操作条件及び濃縮総費用を求めた.限界安定体積透過流束のデータが得られている4つのケースについて比較した結果,濃縮総費用が最も安価であったのは,pH 5.8のホエーを50℃で1時間保持後40℃で濃縮するケースであった.本ケースにおける透過液1m3当たりの最小濃縮総費用は1140円で,その内訳は高圧フィードポンプ動力費4%,循環ポンプ動力費7%,膜交換費11%,固形物損失費13%,排水処理費1%,洗浄費2%,ホエーの前処理費(pH調整費)8%,人件費16%
および設備償却費38%であった.さらに任意の段のC
θ(i)を循環流量の関数として表現することができたので,最小の濃縮総費用を与える各段の最適循環流量および最適濃縮倍率を迅速かっ簡便に求めることが可能となった.
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