日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
36 巻, 7 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 早川 茂, 平井 利枝, 秋田 浩之, 中村 良, 佐藤 泰
    1989 年 36 巻 7 号 p. 531-537
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥したプラズマを貯蔵する際に生成する悪臭に対する原因物質の解明ならびにこの原因物質の簡便な除去方法について検討を行った.
    乾燥プラズマの貯蔵中に増大する悪臭(OFD)は蛍光強度(FI)やTBA反応物質(TBA)の増加と正の有意こ相関が見られた.超遠心および酸性でこ活性炭処理により多くの量のリン脂質と遊離脂肪酸を除去したプラズマを乾燥貯蔵すると悪臭の生成がかなり抑えられた.超遠心-酸性活性炭処理プラズマあるいはヘモグロビンにアラキドン酸とリン脂質を加えて乾燥貯蔵するとFIの増加が見られたが,血清アルブミンにアラキドン酸とリン脂質を加えてもFIの増加は見られなかった.低溶血プラズマにヘモグロビンを加えて乾燥貯蔵した場合,ヘモグロビンの量が多いほどOFDとFIが増加した.これらの結果からリン脂質と遊離脂肪酸およびヘモグロビンが凍結乾燥プラズマの貯蔵中の悪臭生成の原因物質と考えられた.そして,これらの物質は酸性活性炭処理によりある程度除去できることがわかった.
  • 高橋 幸資, 鈴木 敦, 和田 敬三
    1989 年 36 巻 7 号 p. 538-542
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    新鮮な豚骨をコラーゲン原料として利用することを目的に, EDTAで脱灰処理して不溶性コラーゲン(EDTA-IC)を調製し,その生化学的特徴およびゼラチン抽出性とゲル強度を調べ,腱,真皮コラーゲンおよびオセインと比較検討し,次の結果を得た.
    (1) EDTA-ICの収率は脱脂骨の約12%であった.可溶性コラーゲンの収率は0.03~0.13%で,豚真皮のそれより著しく低い.
    (2) EDTA-ICは鍵と同様ほぼ純粋なI型コラーゲンであったが,真皮は小量のIII型コラーゲンを含んでいた.しかし,糖含量は腱や真皮の約2倍の2%を示した.
    (3) EDTA-ICはペプシンによりほぼ完全に可溶化された.
    (4) EDTA-IC の熱変性開始温度は腱や真皮に比べて3~4℃高い約59℃を示した.加熱溶解性も腱や真皮の約1/2から1/3を示し,比較的高い熱安定性を示すと考えられた.
    (5) EDTA-ICから温度60℃の熱水でゼラチンを抽出すると約7%,引き続く75℃抽出で約11%,最後の95℃で約49%,合計約67%のゼラチンが抽出され, 30日間アルカリ処理したオセインより抽出効率が高かった.
    (6) 60℃および75℃抽出区分のゼラチンはα鎖が主体で低分子ペプチドの割合の低い分子量分布を示し,そのゲル強度も市販ゼラチンと同様であった.したがって新鮮な豚骨はゼラチンを含めてコラーゲン原料として利用価値があるものと考えられた.
  • 杉沢 博, 山本 雅子, 田村 啓敏, 高木 信雄
    1989 年 36 巻 7 号 p. 543-550
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ワシントン,福本紅,大三島,白柳ネーブルオレンジ40種の果皮精油成分のにおい官能特性(質)を比較し, 4品種のにおいの相異を評価する方法を検討した.各成分のオーダーユニッートを求めたが,この値は精油成分のにおい特性とは無関係であり,においの質の評価法を併用しなければならない.オーダーユニットを用いた因子分析により,特徴的香気成分9成分の相互関係を検討した結果,テルペン類,飽和アルデヒド類の組成比およびシネンサールが重要であることがわかった. 9成分の含有量に従って調製したモデル調合液と果皮精油の2試料間の類似度によるクラスター分析の結果,両者のクラスターが類似しており,これらの9成分の組成比により品種間の微妙なにおいの差が現れる.リナロールを除く, 8成分について相対的寄与率を求め,図形化を行った結果,テルペン類と飽和アルデヒド類の相対的な寄与率のバランスと, β-シネンサールでにおいの質が変わると推定される.
  • 山本 泰, 小野 尚之, 東 和男, 好井 久雄
    1989 年 36 巻 7 号 p. 551-556
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    嫌気性芽胞菌の生育と芽胞の耐熱性に対するアジピン酸の作用について検討した.
    (1) アジピン酸は塩酸又はクエン酸に比べて高いpHで供試菌に対して強い生育抑制作用を示し, Clostridium botulinum 62 A及び213 Bに対する生育阻止pHは5.5であった.
    (2) これらのボツリヌス菌に対するアジピン酸のMICはpH 5.0で0.08%, pH5.5では0.5%で,生育阻止に必要な非解離型アジピン酸濃度は12~15mg/100mlであった.
    (3) アジピン酸はClostridium芽胞に対して, pH 7.0において耐熱性低下作用を示し,その低下率は, C. batulinum 62 A, 213 B及びC. perfringensではアジピン酸0.2%添加で約50%, 0.5%添加で約90%, C. sporogenesではアジピン酸0.6%添加で約90%であった.
  • 鎌田 慶朗, 高畑 浩之, 山内 文男
    1989 年 36 巻 7 号 p. 557-562
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    大豆タンパク質の特徴は,得られたゲルの高い保水性と弾性である.しかし,この性質のみでは応用範囲が限られてくるので,これとは全く異なった性質を引き出すために,酵素による限定分解を試みた.試料としては大豆グリシニンとβ一コングリシニンを用いた.タンパク質分解酵素はトリプシンを用い,未変性の状態で特定の部位のみ分解されるように酵素処理した.ゲル物性の測定は,加熱中の粘性変化,加熱前後のチキソトロピー性についてと,加熱ゲルについてのテクスチャー.プロファイル分析を行なった.
    (1) 酵素処理を行なった大豆タンパク質の加熱処理後の粘度は未処理の物に比べ一様に低下した.しかし,温度上昇試験中の粘性上昇開始温度は,グリシニンで約55℃, β-コングリシニンで約70℃と未分解の90℃前後と比べて低下し,構造安定性が低下していることを示した.
    (2) テクスチャー・プロファイル分析においては,硬さは未処理の方が大きかった.しかし,限定分解物は未処理の物にない“もろさ”を持つという特徴があった.
    (3) 外見的には,限定分解グリシニンが,白くて目のあらい豆腐様またはチーズカードのようなゲルとなったのに対し, β-コングリシニンは透明でもろいゲルとなった.このように,酵素による限定分解処理により,大豆のタンパク質がこれまでにない新たな物性を持つようになることが明らかとなった.
  • 遠藤 泰志, 藤本 健四郎
    1989 年 36 巻 7 号 p. 563-568
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    マイワシの食品としての利用開発のため,消費拡大の妨げとなる魚臭の改善についていくつかの試みを行った.
    (1) マイワシ肉のpHを中性にすることにより,魚臭が軽減した.特に塩基牲アミノ酸(リジン・アルギニン)が有効であった.
    (2) BHTやトコフェロールなどの抗酸化剤は魚臭の改善にはあまり効果がなかった.
    (3) サイクロデキスリンは魚臭除去効果を示したが,ミルクカゼインおよび大豆タンパクには除臭効果は認められなかった.
    (4) フェノールフラボン類はマイワシ臭に対し除去効果を示した.
    (5) 酵母アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼによる魚臭の改善はできなかった.
    (6) 高圧炭酸ガスによる脱脂は,魚臭の改善に有効であることを認めた.
  • 久保田 美咲, 小谷野 喬, 篠原 和毅, 西成 勝好
    1989 年 36 巻 7 号 p. 569-577
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    スピルリナンは他の食品ハイドロコロイドとほぼ同程度の粘弾性を示した.濃度依存性は低濃度領域における方が高濃度領域におけるよむ著しかった.またスピルリナンは塩を添加するとゲルを形成し,ゲルは軟らかくカラゲーナン,寒天などとは異質のゲルを形成した.ゲルは保水性が良好で長期に保存してもシネレシスが起こりにくいようであった.熱に対しては安定であり,粘弾性係数の温度依存性はほとんどなかった.ゲルの濃度は添加する塩の種類や濃度の影響を受けた.このようにスピルリナンは食品ハイドロコロイドとしての可能性を持つことが判明した.しかしながら,スピルリナンのレオロジー特性は培養条件,精製法などによる分子量,分子形態(分岐の度合いなど),不純物の種類や濃度により著しい影響を受けると考えられる.
    今後,精製法やキャラクタリゼーションとレオロジー特性との関連を明確にし,スピルリナンの構造に関する情報を得ることなどにより,他の食品ハイドロコロイドとの類似性あるいは特異性をさらに解明すれば,スピルリナンの食品ハイドロコロイドとしての応用が広がると思われる.また,スピルリナンゲルは弾牲率が低く,現在のレオログラフゾルを使用した測定法ではブレード表面を粗くして滑りを防ぐ工夫が必要であった.スピルリナンの食品ハイドロコロイドとしての用途開発を進めるために,より良い測定法を検討し,実用物性データを蓄積する必要がある.
  • 野本 正雄, 大野 孝, 大橋 実
    1989 年 36 巻 7 号 p. 578-582
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    鮮度測定器KV-101を利用してカラフトマスおよびマサバ水煮缶詰魚肉のK値を測定し,原料魚の鮮度推定を試みた.また,得られたK植から近似的にIMP比を算出し,既往の研究結果との対比を行った.
    (1) 大手3社のカラフトマス水煮缶詰魚肉のK値は全体に高い測定値を示した.中でもA社の製品が70%~80%のK値を示したのに対し, C社の製品はすべて60%台のK値に留まり,両者の間に差異が認められた.なお, B社製品のK植は両者の中間値を示した.サバ水煮缶詰のK値も40%台の高い測定値を示した.
    (2) 缶詰の加熱滅菌時に酵素阻害物質が溶出し,鮮度測定器の計測精度に影響する可能性を検討したが,そのような因子の存在は確認されなかった.
    (3) オートクレープ処理によるモデル実験では,加熱工程の前後におけるK植の大幅な上昇は認められなかった.この実験結果と既往の文献6)との対比から,K値による缶詰商品の鮮度評価に当たっては,製造現場における加熱滅菌工程の実情も配慮する必要のあることが示唆された.
  • 猶原 順, 石井 猛
    1989 年 36 巻 7 号 p. 583-586
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    ホテイアオイ(Eichhornia crassipes (Mart.) Solms)のペクチンを分別抽出し,各画分毎の含有量を測定した.また,ホテイアオイのペクチン含有量と生長率との関係について検討した.
    (1) ホテイアオイ中のペクチン含有量は,乾燥物当たり葉と葉柄で約10~40%,根で約5-14%であった.全ての部位でSSPが最も高い比率を示したが, 11月下旬にはSSPは減少した.生育期間中,葉の各画分の比率は葉柄のものとよく似た挙動を示した.
    (2) ホテイアオイの葉と葉柄の全ペクチン含有量は生長率と密接な関係がみられ, 6月下旬で最大となった.
  • 東野 哲三, 藤田 修二, 川辺 正幸
    1989 年 36 巻 7 号 p. 587-591
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー豆の粉末試斜からのChlを含むPPの抽出条件を検討した.その結果, Chlは0.01M酢酸緩衝液 (pH5)による試斜の100℃, 10分間, 2回の処理でほとんど抽出されることがわかった.この抽出液およびインスタントコーヒー液中のPPをDEAE-卜ヨパールカラムを用いて分画したところ, Chlは吸着画分(F-2)に認められた. Chlは差スペクトル法およびDEAE-トヨパール法により定量し, FOLIN比色法による全PP値(Chlとして表す)と比較した.コーヒー豆では,差スペクトル法とDEAE-トヨパール法とでほぼ等しいChl値が得られた.その植は供試した8試料について5.2~8.3%にわたっており,いずれも全PP値より10%程度低かった.差スペクトル法によるインスタントコーヒーのChl値は, DEAE-トヨパール法による値よりやや低かった.また,その全PP値は差スペクトル法によるChlより3~4倍高い値であった.
  • 北田 善三, 玉瀬 喜久雄, 佐々木 美智子, 山添 胖
    1989 年 36 巻 7 号 p. 592-596
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    This paper described thedetermination of ascorbic acid and erythorbic acid in foods by a reverse phase high performance liquid chromatographic method. The chromatographic system included an Inertsil ODS-2 column and a mobile phase consisting of 0.01M sodium dihydrogenphosphate buffer (pH 4.0) and methanol (95+5v/v) containing5mM tetra-namylammanium bromide and 0.03mM disodium ethylenediaminetetraacetate. The column was cooled at 20°C and an amperometric detector was set at +500mV usAg/AgCl and 320nAFS. Food samples were homogenized with metaphaspharicac acid solution and then treated with a reverse phase C 18 mini column. Recoveries of ascorbic acid and erythorbic acid added to beverage, sausage and pickled radish were94. 2-97. 1% for 100μg/g and 93.7-97.1 for 500μg/g, and there was no interfering substance on examined samples. Their detection limits were5μg/g.
  • 渡井口 清一郎, 林 清新, 足立 好司, 本木 正雄, 原口 和朋
    1989 年 36 巻 7 号 p. 597-602
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
    Polyphenol oxidase (EC. 1.10.3.1, PPO) of defatted soybean has been purified by ammonium sulfate fractionation, DEAE-Toyopearl column, Con A-sepharose column, Phenyl-sepharose CL-4B column and Mono Q column chromatography. The purified enzyme oxidized pyrogallol and phloroglucinol. The enzyme fraction showed maximum absorbance at 403nm and exhibited brown color. The enzyme also has peroxidase (EC 1.11.1.7, POD) activity. Through the purification procedures, PPO and POD activities have been eluted in the same fraction and the ratio of the both specific activities stayed constant. The molecular weight of the purified enzyme is estimated to be 47000 by sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis. The optimum pH of POD and PPO are 5.5 and over 7.5, respectively. Both activities are stable at 80°C for 10min and are inhibited by potassium cyanide and L-ascorbic acid.
  • 菅野 道廣
    1989 年 36 巻 7 号 p. 603-608
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2011/02/17
    ジャーナル フリー
  • 箴島 豊
    1989 年 36 巻 7 号 p. 609-614
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 菅原 龍幸, 山口 尹通
    1989 年 36 巻 7 号 p. 615-617
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 山口 尹通
    1989 年 36 巻 7 号 p. 616-617
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 36 巻 7 号 p. A34-A38
    発行日: 1989/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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