日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
37 巻, 7 号
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  • 松本 伊左尾, 今井 誠一
    1990 年 37 巻 7 号 p. 497-504
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    工場規模でテンペを製造するための大豆処理方法について検討し,次の結果を得た.
    (1) 脱皮大豆によるテンペの一般細菌数は,通常の皮付大豆のそれよりも約2オーダー少なかった.
    (2) 脱皮大豆の浸漬水に有機酸の水溶液を用いると,テンペの一般細菌数は低減した.しかし,有機酸の種類によりその効果は異なり,テンペ1g当たりの一般細菌数を104レベルにするためには,酢酸0.2%,乳酸,コハク酸,酒石酸それぞれ1.0%,クエン酸3.0%の水溶液を使用する必要があった.すなわち,酢酸水溶液が最も低濃度で効果をもたらした.
    (3) 脱皮大豆の浸漬時間は,水温17~20℃の場合, 3~4時間が適当であった.
    (4) 加圧蒸熟した脱皮大豆によるテンペは,煮熟のそれよりも旨味があった.
    (5) 脱皮大豆の蒸熟時間は, 0.8kg/cm2で3~7分間(蒸熟大豆の硬度1.0~1.5kg)が適当であった.
    (6) 以上の結果より,大豆を脱皮し,これを0.2%前後の酢酸水溶液に3~4時間浸漬し,水切り後に0.8kg/cm2で3~7分間蒸熟することにより,工場規模でのテンペの製造は可能と思われた.
  • 魚の骨の有効利用に関する研究(第1報)
    畑江 敬子, 大沼 葉子, 島田 淳子
    1990 年 37 巻 7 号 p. 505-510
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.
    (1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.
    (2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.
    (3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.
    (4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.
    (5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
  • 島田 淳子, 香西 みどり, 山本 文子, 畑江 敬子
    1990 年 37 巻 7 号 p. 511-519
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    加圧処理による食品の嗜好特性の変化を概括し,調理加工への応用可能性を検討する目的で米,大豆,馬鈴薯,甘藷,大根,人参,リンゴ,梨,柿,牛肉および鶏肉の11種の試料に5000気圧の静水圧を10分間かけ,官能および物理的特性の変化の測定および表面構造の観察を行った.
    官能検査により各食品の外観,におい,味およびテクスチャーについて未処理と加圧試料を比較した結果,米以外のほとんどの食品のいずれかあるいはすべての嗜好性要因に5%以下の危険率で有意差が認められた.外観については,各食品とも加圧により透明感が変化し,野菜および果物類では増加したが肉類では減少した.においは芋類および果物類で加圧により強くなった.味については加圧により甘藷,大根および果物類で甘味が強くなり,リンゴの酸味や人参らしさは減少した.テクスチャーについては,肉類を除く食品で硬さが減少し,特に芋類および根菜類ではしんなりとした食感が得られた.
    物理的特性として加圧処理前後の重量,色および硬さの変化を測定した結果,重量については野菜および果物類で若干減少したが,肉類ではほとんど変化しなかった.色については肉類ではLが増加したが,他の食品では低下した.テクスチュロメーターによる硬さは加圧により米および大豆でわずかに減少したが芋類,根菜類および肉類では増大した.果物類ではりんごが若干増加し,梨および柿で著しく減少した.さらにレオナーを用いて加圧した大根の破断荷重および破断距離を測定し,加圧大根とNaCl水溶液浸漬大根の物性が類似していることを認めた.
    走査型電顕による表面構造については,加圧した大根および馬鈴薯では大きな変化はみられなかったが,肉類では筋繊維間に間隙が生じた様子が観察された.
    0.5%NaCl水溶液を用いて,未処理および加圧大根を浸漬し,大根のNaCl濃度を測定した.未処理に比較して加圧した大根は著しく高いNaCl濃度を示したことから,加圧によって細胞膜の機能性が破壊されたことが推察された.また馬鈴薯では加圧処理後の褐変が著しく進行することを認めた,
    以上,加圧により食品の嗜好性は様々に変化し,加圧処理が加熱とは異なる新しい調理加工手段として広い可能性を有することが示唆された.
  • 菅原 悦子, 伊東 哲雄, 米倉 裕一, 櫻井 米吉, 小田切 敏
    1990 年 37 巻 7 号 p. 520-523
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    各種アミノ酸を添加した合成培地で納豆菌を培養し,ピラジン化合物の生成量を比較検討し,ピラジン化合物生成に対する納豆菌の役割について考察した.
    (1) 各種アミノ酸を添加した合成培地での納豆菌の増殖は代謝上, L-グルタミン酸と関連の深いアミノ酸(L-グルタミン酸, L-アスパラギン酸, L-アルギニン, L-プロリン)で良好であった.
    (2) 培養液からのピラジン化合物の抽出方法として,加熱条件の有無を考慮して, LIKENS-NICKERSON型連続蒸留抽出装置を用いる方法とPorapak Q吸着剤を用いる方法を比較したが,連続蒸留抽出法でピラジン化合物が二次的に生成している可能性は薄かった.
    (3) 納豆菌の増殖の良否とピラジン化合物の生成量には相関はみられず, L-セリン, L-アスパラギン酸, L-アラニン,クエン酸ニアンモニウムで, 10mg/l前後,あるいはそれ以上のピラジン化合物を検出し,その大半はテトラメチルピラジンであった,
    (4) 各種アミノ酸の特徴的な側鎖をもつピラジン化合物は確認できなかったので,この化合物はアミノ酸から直接生合成されず,より簡単な中間体をへて生成される可能性が高い.
    (5) 納豆菌が関与するピラジン化合物生成はその前駆体を多量に生成することによる可能性は高いが,最終段階まで酵素的に進むことも考えられ,さらに検討が必要である.
  • 辻 昭二郎, 中谷 文子
    1990 年 37 巻 7 号 p. 524-527
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    米飯の食味品質と関連した米の物性の差を,米飯を用いずごく少量の米試料を用いて,多重バイト試験法による新しい手法で簡便に測定する方法を開発した.
    この方法を用いて,従来の機器による測定ではその物性の差の検出が困難なでん粉の性質などが似た3対の米(IRRI提供の試料)の物性の差を測定し解析した.
    (1) 米の液状試料の調製条件として,米試料の加熱条件,濃度,液状試料作成の条件などが重要であり,最適の条件を選択することにより,比較的近似した米質問の食味と関連した物性の差を比較検討できる.
    (2) IRRIによる育種などでつくられた米ともとの米などのように,でん粉の性質が近似した一対の米の間の食味と関連した物性の差は,従来のインストロンなどによる機器測定の物性値では示すことができないが,本法ではこれらの3対の米の間の物性の差をよく検出することができた.
  • 寺下 隆夫, 河野 又四, 三島 範夫, 小畑 徹, 山内 政明
    1990 年 37 巻 7 号 p. 528-532
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    人工ホダ木栽培シイタケ子実体の一般成分,遊離アミノ酸,タンパク質のアミノ酸組成, 5'-GMPの蓄積含量を測定した.
    (1) 一般成分としては,粗タンパク質量が25.9%,炭水化物が67.0%であった.
    (2) 遊離アミノ酸総量は, 1665mg/100g dry weightであり,グルタミン酸が最も多く, 385.9mg/100g dry weightであった.アミノ酸量は,子実体の成育にともなって,乾燥重量当りの含有比率は,やや少なくなる傾向にあった.
    (3) タンパク質のアミノ酸組成は,グルタミン酸が最も多く,メチオニン,シスチンが少なかった.
    (4) 5'-GMPの蓄積含量は,傘部に多く柄部に少なくその比率は, 2.6倍であった.また,子実体の成育にともなって蓄積量は増加した.成熟子実体全体で, 312.8mg/100g dry weightであった.
  • 小嶋 操, 矢永 浩一, 浜田 浩, 鹿志毛 信広
    1990 年 37 巻 7 号 p. 533-535
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    FPDを用いるGCにより,iso-プロピル,sec-ブチル,n-ブチル,アリル,3-ブテニル,3-メチルチオプロピルおよびβ-フェネチルの各カラシ油の同時定量を行った.
    この場合, y=axbのべき乗方程式が成立した.ここに, xは各カラシ油の濃度%(w/v), yは[各カラシ油のピーク面積/内標準物質(フェニルカラシ油)のピ一ク面積]×100, aおよびbは定数である.
    それ故,天然物加水分解物中のこれらのカラシ油濃度の同時定量が可能になった.
  • 鈴木 敏博, 本杉 正義
    1990 年 37 巻 7 号 p. 536-539
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) HPLC法によるかつお節の2,6-ジメトキシフェノール,グアヤコール及び4-メチルグアヤコールの分離定量法を検討した.分析は,カラム; ODS-H(5μm,島津テクノリサーチ, 4mmΦ×15cm),カラム温度; 55℃,移動相;メタノールー水(pH 2.1にリン酸で調整)/15:85(v/v),流速; 0.8ml/min,検出; 268nmで行った.
    (2) 試料溶液の調製は,以下のように行った.まず,かつお節粉末5gをとり, 40%エタノール(v/v)を60ml加え,スターラーで撹拝しつつ室温で15分抽出した.ロ過後100mlに定容し, 0.2μmのフィルターでロ過した.本法による回収率は96~99%,分析値の変動係数は2~3%であった.
    (3) HPLC法により,くん煙工程中のかつお節2, 6-ジメトキシフェノール,グアヤコール及び4-メチルグァヤコールの変化を検討した.くん煙中期でほぼ完成品のかつお節と同濃度になることを明らかにした.
  • 菅原 龍幸, 川井 英雄, 松沢 睦子, 藤代 聡子, 青柳 康夫, 細貝 祐太郎
    1990 年 37 巻 7 号 p. 540-546
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    土に発生する野生食用キノコ48種56点と栽培キノコ1種1点について, K, Na, Ca, Mg, P, Fe, Cu, Zn, Cd, Pb, AsおよびHgの13種元素の含有量を測定した.これらのキノコは主に関東地方,中部地方,東北地方において, 1979~1986年に採取または購入したものである.
    無機質の含有量は乾燥量基準値換算で以下に示す範囲であった. K: 1.1~5.4%, Na: 15~170mg/100g,Ca: 2~89mg/100g, Mg: 8~161mg/100g, P: 165~2028mg/100g, Fe: 3.4~547.0mg/100g, Cu: 0.1~41.6mg/100g, Zn: 0.7~20.8mg/100g, Mn: 0.4~13.3mg/100g, Cd: 検出限度以下~86.05ppm,Pb: 検出限度以下~20.26ppm, As: 検出限度以下~93.25ppm, Hg: 検出限度以下~6.67ppm.
    キノコの種の違いによって無機質量に差がみられた.同種間ではいくつかの特徴が認められた.
  • 鈴木 忠直, 安井 明美, 小泉 英夫, 堤 忠一
    1990 年 37 巻 7 号 p. 547-553
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    カッオ,しらす干し,煮干し,豚ロースおよび豚レバー中の, K, Mg, Ca, Zn, Mn, Cu, Feの原子吸光測定および, Pの吸光光度法による測定のための試料の前処理法として, 簡便で迅速な塩酸抽出法の適用性を,白金皿を用いる乾式灰化法および硝酸と過塩素酸を用いた湿式分解法と比較検討した.
    (2) 3%塩酸室温抽出により, しらす干しのMnを除き,各試料のMnおよびCuは完全に抽出された.Feは, 3%塩酸80℃加温抽出で,しらす干しおよび豚レバーでは完全に抽出できたが,他の試料では抽出率が著しく低かった.
    (3) 乾式灰化法と湿式分解法の試料溶液によるPの測定値は豚レバーを除きよく一致し,両法はP測定用試料溶液調製法として適切であったが,塩酸抽出法は,抽出されないリン化合物の存在が推察され,不適切であった.
    以上のことからK, Mg, Ca, Zn, MnおよびCuについては動物性食品でも,塩酸抽出法は,簡易でかつ迅速な試料溶液調製法として適用できることがわかった.
  • 中島 良和, 杉谷 俊明, 田中 睦夫, 藤井 聰
    1990 年 37 巻 7 号 p. 554-558
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    シナノキの蜂蜜から,ゲル濾過,イオン交換樹脂クロマトグラフィおよびHPLCを用いてトレハルロース(1-O-α-D-g1ucopyranosyl-D-fructose)を分離し,TLCおよび13C-NMRにより同定した.トレハルロースの存在は日本国内の蜜源植物7種類に由来する蜂蜜試料9点で確認され,その含有率は蜂蜜固形分の0.5から2.5%であった.
  • 小関 正道, 辻 啓介, 風間 成孔, 北畠 直文, 土井 悦四郎
    1990 年 37 巻 7 号 p. 559-564
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    増加した. 13種類の水溶性食物繊維を含むコレステロールまたは脂肪酸混合溶液からの,コレステロールと脂肪酸の限外濾過による回収量は共に低下した.しかしグルコース,有機酸,水溶性脂肪酸は100%回収された.以上の結果から,水溶性食物繊維によるラット糞中へのコレステロール排出の増大は,水溶性食物繊維のマトリックス中へのコレステロールや脂肪酸の取り込み,あるいはミセルの破壊による脂質の不溶化などが原因しているものと考えられる.
  • 金丸 芳, 高谷 友久, 宮本 悌次郎
    1990 年 37 巻 7 号 p. 565-568
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ブラウンマスタードの辛味成分の主成分のイソチオシアン酸アリル(AIT)と,シナモンの芳香性の主成分のシンナムアルデヒド(CA)を逆相HPLCで分離,定量した.マスタードは粉砕して脱脂後ミロシナーゼを作用させ,シナモンは粉砕していずれも70%エタノールで抽出し, SEP-PAK C18カートリッジで前処理し,日立ゲル# 3011-Oカラムを用いた逆相HPLCで移動相にメタノールを流速1.00ml/分で用い,波長190~400nmで走査した. (1) AITは最大吸収波長245nm, RT 2.39分をもつピークとして分離された.全過程の AITの回収率は96.5%であった.脱脂マスタード中含量は9.040±0.095mg/9であった. (2) CAは最大吸収波長286nm, RT 2.80分のピークとして分離された.全過程のCAの回収率は98.5%であった.シナモン中含量は34.050±0.070mg/gであった.
  • 中谷 延二
    1990 年 37 巻 7 号 p. 569-576
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 7 号 p. 577-580
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 早瀬 文孝
    1990 年 37 巻 7 号 p. 580
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 37 巻 7 号 p. A25-A28
    発行日: 1990/07/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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