塩化カリウムあるいは塩化マグネシウムを含む食用塩の呈味性およびデンプン性食品の食味, テクスチャーに及ぼす影響を検討し, 以下の結果を得た.
1) 塩化カリウム・塩化ナトリウム混合塩および塩化マグネシウム. 塩化ナトリウム混合塩の0.7% (w/w) 水溶液に対する官能検査より, 塩化カリウムは10%, 塩化マグネシウムは5%よりも混合率が高くなると有意に塩味がうすくなり, 塩化カリウム50%および塩化マグネシウム15%混合では苦味を感じるとして好まれなかった.
2) 混合塩水溶液にうまみ調味料を添加すると, 塩味の識別能は著しく低下した. 水溶液では, 塩化カリウム20%混合塩が0.1%の危険率で塩味がうすいと判定されたが, うまみ調味料水溶液では30%混合が5%の危険率で塩味がうすいとされ, 50%混合でも1%の危険率で有意差が認められるにとどまった. 塩化マグネシウムでも同様の傾向がみられた.
3) 塩化カリウムは飯の粘りを低下させ, 30, 50%混合で飯および茹でじゃがいもとも塩味がうすくなり50%混合では味も好ましくないと評された. 塩化マグネシウムは10, 15%混合で飯のつやを悪くし, 15%混合では塩味もうすいとされた. 茹でじゃがいもは, 塩化マグネシウム10, 15%混合で硬化がみられ苦味も感じるとして好まれなかった.
4) 市販食用塩 (食塩, 塩べらし, 天塩) を用いた場合, 天塩は飯および茹でじゃがいもの食味・テクスチャーともに食塩との間に有意差は認められなかった. 塩べらしは塩化カリウムの含有率が61%と高いため塩味はうすく, 異味があるとして好まれなかった.
以上より, 食味およびテクスチャーなどに影響を与えないためには, 塩化カリウムは30%程度, 塩化マグネシウムは5%程度までの混合率が適当と考えられる.
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