海水ウラン採取用吸着剤の評価実験の方法とそのデータ解析方法を, 代表的試料として造粒チタン酸を用いて検討した. 評価のための吸着システムとして多層型流動吸着床を採用した. 評価実験は2cm径小型カラムにより10日間で行う. 標準条件は粒径0.6mm, 25℃, 静置層高10cmである. 流速は一方は
Sv=2.5min
-1とし, 他方はその2倍または1/2とする. 測定は静置または流動状態での層高, 粒径, 流速, 温度, 5日および10日後の吸着量について行う. 吸着量に関する実験式はこれらのデータから次式のように求める.
C=K1tm1K2Svm2粒子と海水の密度差は, Max Levaの式を用い粒径, 流速, 膨張比から定まる. 吸着能力は回収率50%での10日間での単位容積当り吸着量 (標準ウラン吸着量) または
Sv=2.5min
-1での回収率 (標準回収率) で表わされる. 前者のほうが種々の吸着剤に適用できるので好ましい. これらの結果は前報の解析法の応用により, 初期吸着剤量および設計のパラメーターのような吸着プロセスの仕様が定まる. 経済性評価指数はおもに初期吸着剤量, 吸着床の建設, および吸着剤の補給により構成され, それらの値は上記実験結果および単価その他の前提条件, すなわち回収率0.5, 粒径0.6mm, 膨張比1.5, 後工程回収率0.8, ポンプ容量500m
3/s, 海水ウラン濃度0.0033g/m
3, 建設単価17×10
3\/m
3, ベッド単価170×10
3\/m
3, 吸着剤補給0.05y
-1などを用いて求められる, 評価の例を造粒チタン酸について示した.
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