イオン交換樹脂膜で濃縮したかん水中のカリウムをMgHPO
4・3H
2Oにより吸着除去し, かん水を直接ソーダ工業, あるいは食品工業などへ利用し, 一方吸着したカリウムは溶出してカリウム塩としての利用をはかる目的で, まつMgHPO
4・3H
2Oの生成条件の検討と, 種々の製法により得た試料についてカリウムの吸着性とその吸着機構をしらべた.
1. K
+はアルカリ性において吸着し, 酸性において溶出する. リン酸とマグネシウムは酸性で溶出するがアルカリ性では溶出量にあまり変化がみられない. pHはアルカリを添加してもほとんど変化せず, このK
+の吸着はイオン置換反応によるものと思われる.
2. カリウムの吸着速度は粒径によつて異るが, ほゞ30分以内に完全に吸着平衡に達する. それにくらべリン酸とマグネシウムの液中への溶出速度は遅い.
3. 添加したカリウムの溶液の濃度によりK
+の吸着量は増加するが, 濃度の上昇とともに次第に吸着量は飽和に近づく, 試料No.11, No.16はかん水中に含まれるカリウム量に相当する濃度範囲内では吸着量と濃度の関係はほゞ直線的に増加し, 飽和かん水中のカリウム量に相当する, 0.2mo
l/l程度のカリウム濃度では0.8~0.9meq/gのカリウム吸着量を示した.
4. ナトリウムの吸着量はカリウムの吸着量に比較して少ない値を示した.
5. 使用したMgHPO
4・3H
2OのうちX線回折で調べてMg
3(PO
4)
2・8H
2Oを含まない, 純粋試料と思われるものでは, 24時問後の溶解量は20℃において純水100g中24mg, イオンかん水 (16°Be) 100g中14mgであつた. 300μの大きな粒子よりなる試料No.18では溶解量は上述の値のそれぞれ約1/3に減少した.
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