日本海水学会誌
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74 巻, 4 号
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2020年度日本海水学会第71年会を終えて
巻頭言
特集「腐食現象の理解とモニタリング」
解説
報文
  • 中村 彰夫, 井上 博之, 中島 聖珠, 正岡 功士
    2020 年 74 巻 4 号 p. 221-225
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    電位ノイズ法による短管電極を用いた局部腐食モニタリングシステムを製塩プラントの配管へ適用することを目的として,同システムに関する基礎的な検討を行った.内径26 mm,長さ100 mm,SUS304鋼製の短管の内面に,模擬局部アノードとする直径76 μmの白金の微小電極を埋め込んだ評価用のフランジ付き短管形状の試験極を準備した.10 mass%のNaCl溶液中で模擬局部アノードに発生期の局部腐食からの局部電流を模擬したアノード電流を印加し,試験極の電位ノイズの応答を測定した.直径が2.6から20.5 μmの食孔萌芽の生成に相当する電気量のアノード電流を模擬局部アノードに印加すると,同期してRD型電位ノイズが発生した.検討したいずれの波形のアノード電流でも印加した電流の電気量に応じて電位ノイズの振幅が増加した.
解説
報文
  • -ポリエチレンフィルムに含有される酸化防止剤の影響-
    佐々木 貴明, 永谷 剛, 田柳 順一
    2020 年 74 巻 4 号 p. 233-240
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンフィルムに含有される酸化防止剤が電子線グラフト重合に及ぼす影響について評価した.ポリエチレンフィルムには,超高分子量ポリエチレン(UHMWPE),高密度ポリエチレン(HDPE),低密度ポリエチレン(LDPE),およびLDPE含有HDPEの4種類を選定した.これらのポリエチレンフィルムに含有される酸化防止剤を抽出し,同定および定量した.UHMWPEにはIrgafos168のみが含有されていた.HDPEおよびLDPEには,BHT,Irgafos168,およびIrganox1076が含有されていた.LDPE含有HDPEにはBHT,Irgafos168,Irganox1076,およびSUMILIZER GP の4種類の酸化防止剤が含有されていた.これらの酸化防止剤を添加した重合用モノマー溶液を用いてグラフト重合した.フェノール系酸化防止剤であるBHT,Irganox1076,およびSUMILIZER GPを添加した重合用モノマー溶液を用いたとき,添加濃度の増加にともないグラフト率は低下した.ポリエチレンフィルム中の酸化防止剤について,電子線照射前後の挙動を評価するとともに,電子線照射後の酸化防止剤分解残渣についてラジカル捕捉機能を評価した.LDPE含有HDPE中のBHT,Irgafos168,Irganox1076,およびSUMILIZER GPは電子線照射量の増加にともない低減する傾向を示し,BHTおよびIrganox1076は100 kGy以上で10 %以下まで低減した.また,Irgafos168およびSUMILIZER GPは60 kGy以上で1 %以下に低減した.電子線を照射したLDPE含有HDPEより溶出させた酸化防止剤分解残渣を含む重合用モノマー溶液を用いてグラフト重合した結果,酸化防止剤分解残渣のラジカル捕捉機能は消失していることが明らかになった.
  • 土岐 知弘, 石橋 純一郎, 大西 雄二, 山中 寿朗, 吉田 加奈子, 前田 玲奈
    2020 年 74 巻 4 号 p. 241-248
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    深部探査船ちきゅうによる沖縄トラフ海底熱水系における掘削航海CK16-01の実施に際して,間隙水中の硝酸イオン濃度の船上分析における硫化水素の影響を調べた.分析には,全自動分析装置を用い,還元試薬には塩化バナジウムを使用した.基礎実験の結果,硫化水素濃度が1 mM以下であれば,偏差16 %未満で測定可能であることが明らかとなった.実際に得られた間隙水中の硝酸イオン分析結果からは,伊平屋小海嶺に位置する野甫サイトにおいては,活発な熱水活動域の海底下に複数の化学的特徴を持つ熱水が複数の層をなして分布している様子が示された.また,伊平屋北海丘の2つの活発な海底熱水活動域の中間地点では,海底下において硫酸還元反応が起きる前に硝酸還元反応が起きている様子が確認された.
  • 平山 伸, 田代 修一, 井上 公平, 浦田 和也, 飯間 雅文, 池上 康之
    2020 年 74 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    富栄養化海水を栄養源とする不稔性アオサ属植物(Ulva sp.)の連続培養生産を狙いに,採取地の異なるアオサ属植物の長期培養と生産速度の評価を行った.海上を模擬した培養装置を作製し,窒素制御環境下の培養装置で37日間の連続培養試験を実施した.その結果,横浜産のUlva lactucaの増殖速度は11.4 g-dry/m2・dと高い値を示した.また,培養した藻体をくり抜き調整したUlva lactucaを再度培養しても8.1 g-dry/m2・dの増殖速度が得られたことから,Ulva lactucaは継代培養できることが判明した.更に,伊万里湾産のUlva pertusaも37日間の連続培養生産が可能なことが初めて明らかとなった.今回の培養データにより不稔性アオサ属植物は培養が容易で,継代培養が可能な種もあることが判明したため,得られた培養知見を元に生産効率の高い新たなアオサ培養システムを提案した.
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