富栄養化海水を栄養源とする不稔性アオサ属植物(
Ulva sp.)の連続培養生産を狙いに,採取地の異なるアオサ属植物の長期培養と生産速度の評価を行った.海上を模擬した培養装置を作製し,窒素制御環境下の培養装置で37日間の連続培養試験を実施した.その結果,横浜産の
Ulva lactucaの増殖速度は11.4 g-dry/m
2・dと高い値を示した.また,培養した藻体をくり抜き調整した
Ulva lactucaを再度培養しても8.1 g-dry/m
2・dの増殖速度が得られたことから,
Ulva lactucaは継代培養できることが判明した.更に,伊万里湾産の
Ulva pertusaも37日間の連続培養生産が可能なことが初めて明らかとなった.今回の培養データにより不稔性アオサ属植物は培養が容易で,継代培養が可能な種もあることが判明したため,得られた培養知見を元に生産効率の高い新たなアオサ培養システムを提案した.
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