最近リチウム電池に用いるリチウムの需要が急速に高まり, リチウム資源のないわが国の輸入量も増大している. わが国では海水リチウム吸着剤の開発に伴い, それを用いた浮体式のポンプ流動吸着システムの研究が行われている. 本研究では火力発電所の海水冷却排水を利用したリチウム吸着システムを提案し, このシステムに関する基礎的な模型実験を行ってシステムの有効性を調べた. 模型実験は, 内径33mm, 高さ1.5mの円筒パイプの吸着槽に粒状吸着剤 (粒径約0.7~2.5mm, かさ密度約0.24g/cm
3) を高さ30~50cm積層し,その中に内径14mmの海水注入パイプを吸着槽の底まで挿入し, 海水を吸着剤積層下部から上部へ透過 (平均透過流速を0.5~3.99cm/sまで変化) させ, 透過した海水を吸着槽上部からオーバーフローさせて42日間連続して海水と吸着剤とを接触させて行った. その結果, 粒状吸着剤の積層高さ50cm, 平均透過流速2.36cm/sの場合において21日間の吸着でリチウム吸着量が10.2mg/gに達し, この値でほぼ飽和状態になる.
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