日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
Print ISSN : 0369-4550
ISSN-L : 0369-4550
72 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
特集:「フロンティア研究論文(3)」
報文
  • 鈴木 祐麻, 田中 良平, 中瀬 貴将, 新苗 正和
    2018 年72 巻6 号 p. 316-324
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/18
    ジャーナル フリー
    既存の逆浸透膜/ナノろ過膜(RO/NF膜)の欠点として,ホウ酸(H 3 BO 3 )に代表される低分子量で非荷電の溶質に対する除去率が低いことが挙げられる.そこで本研究では,H 3 BO 3 の除去率を支配する孔の形成について,文献で議論されている2つの孔形成メカニズムを取り上げた.そしてこれらのメカニズムを反映したRO/NF膜の物理化学的特徴を評価することにより,H 3 BO 3 および水の膜透過性を支配するRO/NF膜の物理化学的特徴に関する理解を深めることを目的とした.8種類のポリアミド複合RO/NF膜を対象として実験を行った結果,pH 10.0におけるR-COO濃度はH 3 BO 3 の透過性および水の選択透過性と相関がなかった.その一方で,弱い相関ではあるが,pH 6.0におけるR-COO濃度はH 3 BO 3 の透過性および水の選択透過性と相関が得られた.この結果から,水およびH 3 BO 3 の膜透過性は,pH 6.0でR-COOHが解離するような比較的大きい孔の数により決定されると考えられた.また,ポリアミド活性層の重量が20 %減少する温度T20%はH 3 BO 3 の透過性および水の選択透過性と強い相関を示した.これは先述した結果を支持すると同時に,水およびH 3 BO 3 がaggregate poreを通ってポリアミド活性層を通過すること,そしてaggregate poreの数が少ないRO/NF膜はaggregate poreの孔径が小さく,より効果的にH 3 BO 3 の膜透過を抑制していることを示唆する結果であった.
ノート
  • 和嶋 隆昌
    2018 年72 巻6 号 p. 325-328
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/18
    ジャーナル フリー
    Ca-A型ゼオライトを用いた簡易な脱塩プロセスで,海水から農業用栽培溶液の作成を試みた.Ca-A型ゼオライトを詰めたカラムに海水を通液させて処理を施した結果,処理海水のpHは中性になり,海水中の高濃度のNa とCl がCa-A型ゼオライトの処理により半分以下に減少することで,処理海水の塩分濃度は約3分の1に減少した.カイワレダイコンの栽培試験を行ったところ,海水ではカイワレは発芽しなかったが,Ca-A型ゼオライトのカラムで処理した海水ではカイワレが栽培可能であることがわかった.これらのことより,Ca-A型ゼオライトのカラムにより簡易に海水の脱塩処理が可能であり,海水から農業利用可能な溶液が得られることがわかった.
  • 山上 和馬, 矢島 由莉佳, 若林 英行, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 河合(野間) 繁子, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    2018 年72 巻6 号 p. 329-331
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/18
    ジャーナル フリー
    グリシジルメタクリレートグラフト重合繊維にタンニン酸を固定した.25 %のタンニン酸含有率のタンニン酸固定繊維(TA繊維)を富士山湧き水からのバナジウム(V)の採取に用いた.1グラムのTA繊維を58μg-V/Lの濃度の富士山湧き水1リットルに回分式で24時間接触させると採取率は70 %であった.繊維に吸着したVは0.5 M塩酸を使って定量的に溶離できた.さらに,吸着と溶離を繰り返したとき,3回後でもV吸着量は一定であった.
Short Paper
寄書
リレーエッセイ(34)
feedback
Top