魚類の成育とともに, 海水適応反応にも関与していることが判明してきた魚類成長ホルモン (GH) について, まずブリ, シマアジ, ヒラメGHのcDNAクローニングを行い, 構造を解析した. 解読されたブリ, シマアジおよびヒラメの成熟GHは, それぞれアミノ酸187個, 188個および173個からなり, ヒラメGHはこれまで解析されたGHタンパク質の中で最小のものであった. これらのGHを含めて判明しているすべてのGHの構造を解析したところ, GHには五つの保存領域があり, GH活性発現に重要な役割を果たしていることが示唆された. これらの保存領域をGD1からGD5と名付けたが, 魚類GHにはGD5が特に強く保存されていたので, GD5は魚類GHの特異性と関連を持つことが示唆された. ヒラメGHに欠落している部分は, これらの保存された領域以外の部分であった. ブリGHとヒラメGHを大腸菌発現ベクターにて発現させたところ, 効率よくGHタンパク質を産生した. これを精製およびfoldingしてニジマス稚魚における成長促進活性を測定したところ, ブリGH, ヒラメGHともに高い生物活性を示した.
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