日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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70 巻, 5 号
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巻頭言
特集:「日本の魚醤」
解説
報文
  • 石川 匡子, 内田 詩乃, 佐藤 春香, 伊藤 俊彦, 渡辺 隆幸
    2016 年 70 巻 5 号 p. 308-316
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/27
    ジャーナル フリー
    市販魚醤を用い,品質ならびに呈味評価を行った.魚介類と食塩のみで製造する場合は,魚介類自体のタンパク質の自己消化のみで分解するため,長期熟成が必要であり,微生物繁殖抑制のため塩分濃度が高めに設定されていたが,遊離アミノ酸総量やグルタミン酸量も多いという特徴があった.魚介類に食塩と麹を添加する方法では,短期熟成が可能であり,塩分濃度が低く,麹により甘くクセが抑えられた香りという特徴があった.魚種や製法の違いは,アミノ酸量や有機酸量にも反映された.特に,グルタミン酸,アラニン,乳酸量は魚醤のうま味や甘味,酸味の強さとなって現れた.これらの味質は,お吸い物に用いた際に,まろやかさや好ましさに影響しており,魚醤の味質に合わせた最適添加量を求める必要性が示唆された.
  • 髙橋 博, 東 智浩, 菅原 祐也, 樫内 悦子
    2016 年 70 巻 5 号 p. 317-323
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/27
    ジャーナル フリー
    バイポーラー膜を用いる分離プロセスの開発を目的とし,電気透析槽内に酸性側のpHステップを形成する技術の開発を行った.実験装置は6室からなる回分循環型電気透析槽であり,陰イオン交換膜,バイポーラー膜,および3枚の陽イオン交換膜で仕切られている.各室に塩化ナトリウム水溶液を流して装置両端に電圧を印加すると,バイポーラー膜から水素イオンが生成し,その一部が陽イオン交換膜を透過して陰極側の各室に移動した.水素イオンの濃度は,各室の溶液中に存在する陰イオンの濃度とほぼ等しく,結果として酸性側のpH勾配が装置内に形成された.実験結果はNernst-Planckの式に基づくイオン交換膜内のイオンの透過速度,イオン交換膜と溶液間のイオン交換平衡,溶液の電気的中性条件,水素イオンの生成速度,さらには各化学種に関する物質収支を考慮に入れたモデルにより解析を行った.モデルによる解析結果は,電気透析槽内のpHステップの形成結果を良好に説明した.
Short Paper
リレーエッセイ(21)
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