イオン交換膜かん水の属する平衡系NaCl-KCl-MgCl
2-CaCl
2-H
2Oのかん水濃縮域における110°, 90°, 70°, 45°, および25℃の塩化カリウム, カーナライト, ビシヨフアイトおよびタキハイドライトなどの析出域を求める平衡試験を行ない, 次の結果をえた.
1) 塩化カリウム析出域: 液中の塩化マグネシウムと塩化カルシウムの重量比が5:1, 3:1, 1:1の3種の溶液について,(MgCl
2+CaCl
2) 濃度を横軸に, 塩化カリウム濃度を縦軸にとり, 各温度の塩化カリウム析出線を求めた結果,(MgCl
2+CaCl
2) 濃度が増すほど塩化カリウム濃度は減少し, 低温ほど直線的に減少する.また, 1:1の溶液は同一温度では (MgCl
2+CaCl
2) 濃度が増すほど, また高温ほど5:1, 3:1の溶液との差が大になる. また, Na
2Cl
2, K
2Cl
2,(MgCl
2+CaCl
2) を頂点とする正三角形の平衡図では, 3種の溶液は各温度ごとに1本の曲線で整理されることを認めた.
2) カーナライト析出域: K
2Cl
2, MgCl
2, CaCl
2を頂点とする正三角形上に各温度におけるカーナライト析出線を記載すると互にほぼ平行な直線となり, 高温ほどMgCl
2軸より離れる.
3) ビシヨフアイト, タキハイドライト析出域: MgCl
2軸と, これらの2種の塩類の各々と各温度におけるカーナライトとの共存線の問にあり, カーナライトとの共存線はMgCl
2軸に対して少し右下りの互に平行な直線で, 高温ほど析出域は広くなる.
ビシヨファイトとタキハイドライトの共存線については25℃以外は不明であるため, 塩化ナトリウムを除いた平衡系の値と液底体の分析値より. 各測定点の共存液底体を推定した.
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