日本海水学会誌
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25 巻, 2 号
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  • 松尾 哲男, 武田 明子
    1971 年 25 巻 2 号 p. 129-141
    発行日: 1971年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜かん水の属する平衡系NaCl-KCl-MgCl2-CaCl2-H2Oのかん水濃縮域における110°, 90°, 70°, 45°, および25℃の塩化カリウム, カーナライト, ビシヨフアイトおよびタキハイドライトなどの析出域を求める平衡試験を行ない, 次の結果をえた.
    1) 塩化カリウム析出域: 液中の塩化マグネシウムと塩化カルシウムの重量比が5:1, 3:1, 1:1の3種の溶液について,(MgCl2+CaCl2) 濃度を横軸に, 塩化カリウム濃度を縦軸にとり, 各温度の塩化カリウム析出線を求めた結果,(MgCl2+CaCl2) 濃度が増すほど塩化カリウム濃度は減少し, 低温ほど直線的に減少する.また, 1:1の溶液は同一温度では (MgCl2+CaCl2) 濃度が増すほど, また高温ほど5:1, 3:1の溶液との差が大になる. また, Na2Cl2, K2Cl2,(MgCl2+CaCl2) を頂点とする正三角形の平衡図では, 3種の溶液は各温度ごとに1本の曲線で整理されることを認めた.
    2) カーナライト析出域: K2Cl2, MgCl2, CaCl2を頂点とする正三角形上に各温度におけるカーナライト析出線を記載すると互にほぼ平行な直線となり, 高温ほどMgCl2軸より離れる.
    3) ビシヨフアイト, タキハイドライト析出域: MgCl2軸と, これらの2種の塩類の各々と各温度におけるカーナライトとの共存線の問にあり, カーナライトとの共存線はMgCl2軸に対して少し右下りの互に平行な直線で, 高温ほど析出域は広くなる.
    ビシヨファイトとタキハイドライトの共存線については25℃以外は不明であるため, 塩化ナトリウムを除いた平衡系の値と液底体の分析値より. 各測定点の共存液底体を推定した.
  • イオン交換膜かん水の濃縮に関する研究 (第5報)
    本山 正夫, 門田 稔, 岡 俊平
    1971 年 25 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1971年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    イオンかん水, 海かん水およびイオン・塩田混合かん水の濃縮過程を相律的に解析する場合の基礎資料として, 83゜および110℃の平衡値を前報のPolythermから読み取つて表にまとめた. またその数値をD'Ansの方法およびJaneckeの方法で図示して検討を行い, 次の結果を得た.
    1. 83℃の場合, 1変点VとWとを結んだ2変系ではNaCl, loeweiteおよびlangbeiniteが共存し, 一方loeweiteとglasgriteとは共存できない.
    2. 110℃の場合, langbeiniteの晶出領域はD'Ansの約2倍, loeweiteは約7倍の面積を有する.
    3. loeweite領域の2変系, 即ちIKおよびVYの長さから推定して, Y点は110℃より幾分高い温度範囲でも存在する.
    4. 83゜および110℃を通じて, D'AnsのNa2SO4領域はその大部分をd'ansiteが占める.
  • 天野 一雄, 及川 浩, 岡 俊平
    1971 年 25 巻 2 号 p. 147-157
    発行日: 1971年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 塩素イオンの吸着能の大きさは無定形含水酸化鉄, β-オキシ水和酸化鉄, α-オキシ水和酸化鉄の順で, 無定形の吸着能が一段とよく, また比較的安定性が高い,
    カリウムイオンの吸着は無定形含水酸化鉄のみに認められたが吸着量は少ない.
    2) 無定形含水酸化鉄では試料調製時の母液pH7の沈殿が最大の塩素イオンの吸着能を示し, それよりも母液pHが増加または減少するにしたがつて, 吸着能は劣つてくる.
    カリウムイオンの吸着は母液pHが低い試料ほどよい.
    α-オキシ水和酸化鉄では沈殿生成時の母液pHが小さいほど吸着能はよい.
    β-オキシ水和酸化鉄では加水分解温度が低いほど吸着能はよい.
    これらの試料調製条件の変動に基づく吸着能の変化は同一変態内では比較的小さい.
    3) α-およびβ-オキシ水和酸化鉄において, 母液pHまたは加水分解温度と吸着能および結晶子の大きさの間に相関関係が見られる. すなわち試料調製時の母液pHや加水分解温度が増すと結晶子は大きくなり, それにしたがつて吸着能は減少してくる.
    4) 沈殿の熟成時間が短いほど吸着能はよいが, あまり大きな差は認められなかつた. ある一定の熟成時間を経て結晶成長が終ると吸着能は一定になる.
    5) 沈殿の調製において, 添加アルカリ溶液としてアンモニア水を用いた方が水酸化ナトリウム溶液よりも吸着能の大きい試料が得られる. また沈殿の洗浄の点からも好ましい.
    6) この吸着は試料の緩衝性から考えてイオン交換吸着によるものと思われる.
  • 中嶋 義弘, 田原 浩一
    1971 年 25 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 1971年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    米国塩水局のデモンストレーシヨンプラントの, フラツシユ蒸発装置に関する運転データーを理論的に検討し, その装置内の温度を有効温度差分布として表わすことを試み, 次のような結論を得た.
    1) フラツシユ蒸発装置における沸点上昇は, そのプロセスの特性から可能なかぎり正確に計算する必要がある, 従来のデーターを総括した, 計算式 (1) 式でかなり正確に計算できる. 将来まとめられる式も, 実用上は (1) 式のような形で十分であると思われる. 多段フラツシユ蒸発装置の沸点上昇は一定とみなしてよい.
    2) 非平衡温度差の計算式として発表されている (3) 式は, あまり正確ではなく,(4) 式乃至これに近い形でまとめるのが望ましいと考えられる. 非平衡温度差は. 特に低温部において重大な影響がある.
    3) 総括伝熱係数の計算法について検討し, 理論値と実測値とを比較した. 非凝縮性ガスの排気を適切な方法で行なえば, 総括伝熱係数として4500kcal/m2hr ℃の値を得ることは, 実用的にも比較的容易であろう.
    4) このプラントは, 同伴飛沫の臨界レイノルズ数以下の条件で運転されており, デミスターはほとんど必要がないと思われる. これ以上のレイノルズ数の条件で蒸気を流動させる場合には, 適切なデミスターが必要になると思われる. このプラントにおける高温段の運転データーは, 約2倍の循環流速で運転できる可能性を示している. 低温段においては, デミスターを設置しなければ, より高流速の運転はかなり困難であろう.
  • 岡 俊平
    1971 年 25 巻 2 号 p. 163-175
    発行日: 1971年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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