日本海水学会誌
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46 巻, 4 号
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  • 豊倉 賢
    1992 年 46 巻 4 号 p. 212-215
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 村上 正祥
    1992 年 46 巻 4 号 p. 216-221
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    現在わが国の製塩工場では, もっぱら外側加熱型の蒸発缶 (結晶缶) が使われている. これらの結晶缶には, 缶内液の循環方向が蒸発室の中で下降流となるものと, 上昇流となるものの2方式がある. 従来, 一般的に採用されたのは下降流方式で, 生産塩の粒径はd50で320~420μm. これに対して, 上昇流方式は粗粒 (600~850μm程度) の塩を製造しやすいことから, 近年採用されることが多くなった.
    一方, 各製塩企業では「晶析」をテーマとしたOJT研修が盛んに進められており, 先日その成果の一端が披露された. その中に, 結晶缶内の循環量と生産塩粒度の関連を調べたデータがあり,「循環量を定格から下げてゆくと上昇流方式の場合は生産塩の粒径は大きくなり, 下降流方式では逆に小さくなる」となっている.
    結晶缶の型式によって, なぜ生産塩の粒径が変おるのかという点について考察した. まず, 結晶缶中での結晶の成長は主として蒸発室内で進行するとの考えに立って, 循環量はその蒸発室内 (缶胴部) の垂直方向の平均粒速で整理し, また塩粒子の粒径に対応する沈降速度を算定した. この両者から, 蒸発室内における塩粒子の挙動を考察することによって, 生産塩の粒径が変化する前述の現象を解明することができた. また, 上昇流方式と同じ特性を示す以前の標準型蒸発缶について, 缶内の流動と結晶成長の状況を考察した.
    これらの考察の結果, 結晶成長域内での液流を活用し分級効果を高めることによって, 目標とする粒径でかつ粒度の整った生産塩を得ることができると確信している。
  • 中村 道彦, 下村 富雄, 国屋 利明
    1992 年 46 巻 4 号 p. 222-228
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 粒度が大きくなったり小さくなったりを繰り返すサイクリング現象がみられたが, 供給かん水の濃度と量の変動を少なくすることによって, サイクリング現象を防止できた.
    2) Rosin-Rammler粒度が800μmから1,000μmを得る場合の核発生速度は, 6E+7N/m3/hから9E+7N/m3/hの範囲で, その際の線成長速度は0.04mm/hから0.09mm/hの範囲にあった.
    3) 液の循環量範囲が32m3/hから40m3/hであれば, 循環量はRosin-Rammler粒度, 核発生速度, 線成長速度に影響を与えなかった.
    4) 複数の結晶が付着しあった凝集晶は, 条件の不安定な運転初期の段階で多く認められ, 安定状態になるにつれて少なくなった. しかし, 供給かん水濃度や量の変動・スラリー濃度の変動等によって安定状態が破壊されると, 再び凝集晶の増加が認められた.
  • 佐久間 満, 山川 魏, 石川 雅博, 山西 敏裕
    1992 年 46 巻 4 号 p. 229-239
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    完全混合型晶析装置を用いて平均粒径1,100μm程度の食塩の晶析試験および逆円錐型育晶缶晶析装置では2,000μm程度の晶析試験を行い, 核化現象を明らかにした.
    操作線図で求めた成長速度, 核発生速度の値とHatchの式より求めた値とが略一致したことより, 缶内スラリーの濃度, 粒度分布, 析出速度 (蒸気量) と種晶を供給する蒸発缶のスラリーの濃度, 粒度分布をパソコンに入力し種晶の供給量を (5) 式を用いて計算して, 注入することによって, 粒径の不安定な変動の繰返しをある程度防止し安定した操作が可能となる.
    また, 結晶相互間の結合による凝集晶は, 蒸発缶スタートアップ時の非常に過飽和度の高い状態で発生していることが判明した.
    循環ポンプ回転数が缶内核発生速度に及ぼす影響は大きく, 周速度が13.2m/s以上で急激な核化が起きている. また, スラリー濃度が高ければポンプのインペラーによる核化が, 支配的になり, 最適スラリー濃度が存在するのがわかった. しかし, 缶内核発生速度は蒸気流量変動が生じても種晶供給量を操作することとにより,安 定した生産が可能である.
  • 江原 亮, 田辺 忠, 大坪 篤示
    1992 年 46 巻 4 号 p. 240-244
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    As the results of the heating study, it was found that large-size crystals are obtained at high production rate, by the reduction of circulating feed rate to evaporator and the increase in circulating feed rate to crystallizer. Under fixed feed rates, the effective nucleation rate showed a minimum at a particular production rate, suggesting that clusters (precursor of nucleus) are generated during the dissolution of fine crystals in evaporator and that the clusters, as well as secondary nuclei, are easily incorporated into growing crystals in crystallizer.
  • 小倉 功, 蔭山 透, 金谷 秀和
    1992 年 46 巻 4 号 p. 245-250
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Some operational conditions, especially a rotating speed of recirculating pump, were studied for the production of salt with average particle size of 650-850 μm by using the existing reverse circulating type of evaporating crystallizer. This facility was designed for the production of common salt and has been operating since 1972 successfully. At RUN-1 test the effect of the rotating speed of the recirculating pump, and at RUN-2 test the effect of the quantity of steam to be fed to the calandria (heat exchanger) were investigated respectively. Measured data were analyzed by the Rosin-Rammler Chart and the empirical operational Design Diagram developed by Toyokura et al. The factors affecting the particle size of salt and correlations between each factor were determined. The conclusion of the investigation was that the rate of nucleation depended on the rotating speed of the recirculating pump, the degree of supersaturation of the brine and the suspended salt concentration in the evaporating crystallizer. By using these results a stable production of a large particle size salt was achieved successfully at the existing evaporating crystallizer.
  • 山口 慶弘, 西岡 浩一, 武本 弘
    1992 年 46 巻 4 号 p. 251-259
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    今回の試験で得られた知見を要約すると次のようになる.
    1) 凝集晶の観測において, 凝集晶の観測誤差となる供試料の処理方法を検討した結果.
    (1) アルコール洗浄量と洗浄回数によって, 結晶の接着を緩和しさらに手でもみほぐすことにより凝集晶率測定の誤差は小さくなる.
    (2) 結晶成長に伴い, 凝集晶の判別ができなくなる.
    2) 大粒塩製造初期運転への応用
    (1) 定常状態である, No.2号結晶缶のスラリー濃度3水準運転で凝集晶率と懸濁結晶表面積, 成長速度, 生産速度に有意な相関性を得た.
    (2) 大粒塩製造初期運転において, 結晶表面積小, 生産速度大の場合従来方法と比べ結晶成長速度は約2倍となった. このことは凝集晶率の差に起因するものと考えられる.
    (3) 限られた条件下ではあるが, 実装置運転での, 凝集晶の発生確率xと懸濁結晶表面積xとの間につぎの関係式を得た.
    log y=-0.81log x+6.446
    この関係式は, 大粒塩製造初期運転において成立することがわかった.
    (4) 初期目標粒径到達時間の短縮, 不良粒径製品の減少により生産性の向上ができ, 実運転での成果を得た.
    今後は, 運転ならびに設備の関係上制約はあるが本試験結果をもとに生産性を高めニーズにあった多品種粒径製品に対応できる育晶条件を確立したいと考えている.
  • 西野 泰司, 林 晋一, 秋田 太真樹, 宮内 則和, 長浜 寛
    1992 年 46 巻 4 号 p. 260-267
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    貯蔵中に発生する塩のプロッキングは結晶の物性とも関係すると考えられるので, 一連の製塩装置の1号缶 (3重効用1効目) を用いてスケール防止と製品結晶の改質のための一連の試験を行った. 1号缶においては, 経験的に缶内液飛沫飛散のための缶壁付着によるソルチングアップ防止のため缶内液面を可能な限り低水位として運転していた. これは循環管内および出口付近でフラッシュ蒸発が起こり局部的な過飽和度上昇をもたらし過剰結晶核の発生が加熱缶チューブのスケーリングの原因となり, またスラリー容量減少と相まってより凝集晶を生じやすい条件であると考えられた. そこで, 液面を高水位としてフラッシュ蒸発による過剰結晶核の発生を防止することにより晶質と, スケーリングを改善し, さらに種晶添加により凝集の防止および粒径制御を行うという意図のもとに試験を行った. 缶壁付着防止については別の手段を講ずることにした. 結果は全般的にみて, 低水位運転と高水位運転を比較すると高水位運転の方が透明度の高い, 結晶稜線のはっきりした結晶が得られ破断強度も改善されて凝集晶防止効果が認められた, また, 高水位液面で種晶添加による粒径制御は明確な効果が得られなかったが種晶無添加と比較すると結晶成長速度がやや大きく核発生数はやや少なくN値がやや大きくなった. その結晶製品の破断強度の低下と代表粒径の増大がみられ添加種晶の一部が凝集晶に関与している可能性があったとも考えられ種晶の粒径と量の検討が必要である. 粒径制御に関しては循環量制御法も有効な手段と思われる. スケーリングは高水位液面での種晶添加のケースで回避された.
    現在ではソルチングアップもなく運転されている (加熱缶は試験後交換した). 今後は得られた知見から安定した粒径制御の対策をとりたい.
  • 池田 一清, 越智 信義, 山田 文彦, 迎 俊則
    1992 年 46 巻 4 号 p. 268-274
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    現在, 粒径制御の分野は, 晶析理論の導入により大幅に向上してきた. 装置仕様による, 所望粒径の制御性および成長・核化の機構がある程度解明できた.
    これらを要約すると次のようになる.
    (1) 逆循環方式
    正循環方式に比べ滞留時間が長いので, 相対的に粒径は大きくなる. 一方, 粒径制御では, 突沸による核化のリスクが極めて少ないことから, 温度過飽和度をできるだけ大きくとることで, 粒径は増大できる. しかし, 凝集晶に関しては, 未解決の部分を残しているので注意すべき点がある.
    (2) 正循環方式
    ある循環流量において, 生産速度を変化させても核化速度はほとんど同じで (表-2), この場合, 生産速度が大きいほど, 粒径および凝集晶は増加する傾向である. 一方, 循環流量を下げた場合, 過飽和度が増加し液面の突沸による核化の促進で粒径小となる. このときも, 凝集晶は増加するので注意しなければならない.
    実際には蒸気負荷および, 給液かん水濃度の変化による粒径サイクリング現象が存在し, 今後はこれらに対応する制御技術が要求される.
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