1993年12月に行われた黒部川出し平ダムからの排砂では, 排出された底泥により下流域の漁業に深刻な影響を与えた. そのため, 下流域漁業への影響を軽微に押さえる排砂方法に関する検討が必要となった, そのため, 黒部川出し平ダムからの排砂, およびダム湖堆積物による濁水が魚介類に与える影響を観察した. 魚種により濁水濃度と影響の関係は異なる, イワナ, ヤマメ, シロザケ, エゾアワビでは, 排砂の濁水が原因と思われる斃死は発生しなかった, イワナ, ヤマメ, シロザケについては, 河川の濁水濃度のピーク時 (SS濃度8,000mg/L) にはヘモグロビン値の上昇がみられたが, SS濃度の低下に伴って, 1日後には通常範囲内まで回復した. 湖底泥濁水に対して, マダイ, ブリは忌避し, SS濃度低下後には回帰する傾向がみられ, シロギス, クロソイは忌避する傾向はみられなかった.
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