水温躍層の形成と崩壊, 栄養塩濃度の変動及び渦鞭毛藻のブルームに関する調査を瀬戸内海の播磨灘南部において1995, 1996年の夏季に実施した.
栄養塩濃度は底層の水温躍層の形成と崩壊や台風の直撃によって制御されていた. 有光層中の日射が継続して不足したり, 栄養塩が不足すると珪藻の栄養細胞が減少し, 休眠期細胞が形成された.
Skeletonema costatumや
Chetoceros spp.のような珪藻が衰えた後, 水温躍層の崩壊によって底層から有光層へ栄養塩が給されると有害渦鞭毛藻
Gymnodinium mikimotoiが速やかに増加した.有害赤潮は1995, 1996年に養殖マダイ, カンパチの大量へい死を起こした.
底層の水温躍層の崩壊, 珪藻の休眠細胞の検出に関する情報及び気象情報から有害渦鞭毛藻による赤潮発生の短期的な予測が可能であると考えられた.
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