カリウムを含む高濃度水酸化ナトリウム水溶液中から, NaOH・3.5H
2Oを晶出させて母液中にカリウムを濃縮する方法の基礎的知見を得るたこめに, 摂氏目盛でそれぞれ2.45°, 3.45℃, 4.45℃, 5.35℃の初期過冷却度をもつ38.96%水酸化ナトリウム水溶液からNaOH・3.5H
2Oを晶出させ, その晶出速度の時間的変化ならびにその際の過冷却度, 析出結晶量の時間的変化を知り, それらに考察を加えた結果, 次のようなことが明らかとなった.
1) 晶出後, ある程度時間が経過すると, 晶出速度は最大値 (最大晶出速度) をとり, その後減少する. この最大晶出速度は, 初期過冷却度の増大とともに大きくなる.
2) 晶出速度式の過冷却度に関する次数nはn=-(2/3) {ΔTv
max.
Vmax./
Wvmax.× (dΔT/dt) v
max.} より求められる.
3) NaOH・3.5H
2Oの晶出速度式におけるnは, 生成する結晶核の晶出速度におよぼす影響が小さいとき, 1である.
4) 晶出過程において, 生成する結晶核の晶出速度におよぼす影響が無視され始めるようなある一定の過冷却度 (臨界過冷却度) が存在し, その過冷却度は初期過冷却度の約60%に相当する.
5) 生成する結晶粒子数は, 初期過冷却度に対して指数関数的に増加し, 初期過冷却度が1° (摂氏目盛) 大きくなると, 生成する結晶粒子数は2.6倍となる.
6) NaOH・3.5H
2Oの39wt.%水酸化ナトリウム水溶液からの晶出速度vは, 生成する結晶核の影響が無視されるとき, V= {γs/ (ργv)
2/3} KW
2/3N
1/3ΔTで表わされる.
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