海水の代表的スケールとして硫酸カルシウムスケールをとりあげ, その伝熱面への析出機構を回転円筒法により考察し, 以下の結論を得た.
1) ファウリング曲線は典型的な漸近型ファウリングの形態を示し, 流速の増加および過飽和度の減少に伴い漸近値が減少する傾向が実験的に明らかとなった. またファウリング層の成長機構を推定するために, 一般化したファウリングモデルの適用を行い, ファウリング曲線の特性パラメーターの流速への依存性を調べた. その結果, 硫酸カルシウムの成長は表面プロセスが支配的機構であることが示され, さらに同じ表面温度ではバルク液との温度差が大きいほど, より強固なファウリング層が形成される傾向が認められた.
2) ファウリング層の機械的洗浄法による効果を, 粒状物の混入により評価した. その結果, 除去速度は片対数紙上で流入粒子負荷量に対して直線的に減少することが実験的に示され, その勾配によって除去特性が評価できることを示した. また各温度条件下で形成したファウリング層の強度を初期除去速度で比較した結果, 表面温度が高いほど, また表面温度とバルク液温度との差が大きいほど強固なスケールが形成されるが, 表面温度により大きな依存性を示すことが実験的に明らかとなった.
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