日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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74 巻, 1 号
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巻頭言
特集「西日本の海水科学研究(9)」
解説
報文
  • 髙瀬 清美, 角田 出
    2020 年74 巻1 号 p. 27-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    魚類は糖利用能が低い.これには魚類筋肉の高いインスリン抵抗性が大きく関与すると考えられている.本研究では,16種類の生物資源を調査対象とし,それらの経口投与がキンギョ体側部(白筋)のインスリン抵抗性に及ぼす影響を,2-デオキシ-D-グルコース(2DG)の取り込み速度を指標として調べた.その結果,野生植物由来ミネラル,海藻由来ミネラル,紅参(コウジン),イノシトールの経口投与は,1~2 mIU/mLのヒトインスリン存在下において,白筋の2DG取り込み速度を対照群の2倍以上に高めることが分かった.すなわち,当該物質の経口投与が,魚類白筋のインスリン抵抗性を大きく改善し,魚類の糖利用能を高めたことを示唆する.
  • 松本 真和, 和田 善成, 高島 志和, 木村 太一, 亀井 真之介, 正岡 功士, 日秋 俊彦
    2020 年74 巻1 号 p. 36-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    製塩を核とした海水資源の有効利用プロセスを構築するために,製塩苦汁からのCaおよびMgの回収および高品位化法を検討した.塩の溶解度の観点から,製塩苦汁中の溶存CaおよびMgとCO2の反応晶析によるCaおよびMg炭酸塩の合成は,効果的な分離/回収法とみなせる.本研究では,製塩苦汁へのCO2ファインバブルの導入によって得られるCaおよびMg炭酸塩の生成領域を水溶液pHおよび温度(TS)で整理した.CO2ファインバブルの気–液界面では,表面電位特性およびCO2物質移動の促進に起因する局所的な高濃度場が創成できる.さらに,製塩苦汁のpHおよびTSを高めると,気–液界面での局所的なCa2+,Mg2+,およびCO32-濃度とバルク水溶液中のCaおよびMg炭酸塩の溶解度が変化するため,気–液界面近傍での局所過飽和に変化が生じ,析出するCaおよびMg炭酸塩の制御が可能となる.本稿では,pHが5.3-8.3,TSが278-333 Kの製塩苦汁に,平均気泡径が40 μmのCO2ファインバブルを60 min連続供給し,CaおよびMg炭酸塩を反応晶析させた.その結果,pHが5.3-6.8では,TSが278-298 KでCaMg(CO32が,TSが333 K以上でアラゴナイト型CaCO3が高選択的に結晶化した.また,pHが7.8以上では,TSが298 KでCaMg(CO32およびアラゴナイト型CaCO3と同時に副生成物としてMg(OH)2が得られた.
  • 寺田 淳, 三角 隆太, 上ノ山 周, 仁志 和彦
    2020 年74 巻1 号 p. 44-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    数値計算から得られた結晶のサイズ分布と局所的な過飽和度分布の関係を定性的に理解する方法を提案する.数値計算で得られた結果を装置設計や運転条件に応用するには,過飽和度などのチャネル内の物理量の分布のデータと結晶のサイズ分布の関連性を明らかにする必要がある.この研究では,Y字チャネル内でのKCl-エタノール系の貧溶媒晶析を例とし,結晶がチャネル内を移動する軌跡に着目して,3成分相図上に描かれた軌跡上の溶質,貧溶媒濃度の変化および軌跡上の局所の過飽和度の変化から,結晶のサイズ分布を定性的に説明できることを示した.この方法を使うことにより,シミュレーションの結果から適切な装置設計や運転条件を得ることが可能となると考える.
Short Paper
  • Saeko HARADA, Yuriko KAKIHANA, Mitsuru HIGA
    2020 年74 巻1 号 p. 50-51
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/01
    ジャーナル フリー
    In this study, we prepared novel PVA-based anion-exchange membranes with monovalent anion permselectivity by coating one of the membrane surfaces with an aqueous solution of PVA-based block copolymers. To determine the permselectivity between Cl ions and SO42- ions through the membrane, electrodialysis was carried out using a mixed NaCl and Na2SO4 solution. The permselectivity for Cl ions against SO42- ions through the membrane increased with increasing coating solution concentration while membrane resistance was almost independent of the coating solution concentration. Also, a coating layer having a higher amount of charge group showed higher permselectivity. These results indicate that our modification method can be used to prepare a membrane with high permselectivity for monovalent anions without changing its membrane resistance.
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