海の植物生産を支えるものは, 藻類と総称される高等植物と同様に酸素発生をともなう光合成を営む一群の生物である.酸素発生をともなう光合成による独立栄養の生活を営む生物-植物-が長い進化の時間海を場としてはぐくまれたことから海の植物は陸とは異なり系統学的にきわめて多様である. この多様性の理解が海の植物生産を知る上で欠かせないにもかかわらず, 多様な海の藻類は十分にわれわれの研究対象となっていない. それは, 藻類を実験室で生育させるに必要な人工海水の開発がおくれていることに最大の原因がある. このための人工海水の開発の現状と問題点をわれわれのいままでの研究を中心に論じた.
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