海洋温度差発電と海水淡水化装置とを組み合わせたハイブリッドサイクルの性能向上を目的とし, インテグレトハイブリッドOTECサイクル (I-H OTEC cycleまたは, IH cycleという) を提案し, 最小伝熱面積で, 最大の正味出力, 造水量を得る方法とその結果について述べた. また, JH cycleシステムの場合との比較を行い, 次のような結果を得た.
(1) 正味出力
PN当りの総伝熱面積
AT, すなわち, γ
minは, 式 (74) でほぼ近似できる.
(2) 温冷海水入口温度差 (
THI-
TCI) が25K以下の場合, IH cycleのγ
minは, JH cycleより小さくなる. 25K以上の場合, IH cycleのγ
minは, JH cycleより大きくなる. 温海水入口温度
THI=28℃, 冷海水入口温度I
TCI=5℃のとき, IH cycleのγ
minは, JH cycleの場合より約3%小さくなる.
(3) 正味出力
PN, 温冷海水ポンプ動力
LH,
LC, 真空ポンプ動力
LV, は, それぞれ, 式 (76)~(79) で, ほぼ近似できる.
(4) 温海水入口温度
THI=28℃, 冷海水入口温度
TCI=5℃のとき, IH cycleの温海水流量は, JH cycleの場合より約18%少なくなる.
IH cycleの冷海水流量は, 温海水入口温度
THI=28℃, 冷海水入口温度
TCI=5℃のとき, JH cycleより約66%小さくなる.
(5) 温海水入口温度
THI=28℃, 冷海水入口温度
TCI=5℃のとき, IH cycleの造水量は, JH cycleより約19%大きくなる. これは, フラッシュ蒸発室内の液温降下が大きくなるためである.
(6) 温冷海水入口温度差 (
THI-
TCI) が19~27℃のとき, JH cycleの場合の淡水化比は, 0.60~0.55%となる. IH cycleの場合の淡水化比は, 0.65~0.89%となる, すなわち, IH cycleの淡水化比は, JH cycleの場合と比較すると, 約8~38%大きくなる.
(7) 総伝熱面積
AT, 蒸発器伝熱面積
AE, 凝縮器熱伝面積
AC, 造水用凝縮器伝熱面積
AfCは, 式 (80)~(83) で, ほぼ近似できる.
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