日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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53 巻, 2 号
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  • 志々目 友博
    1999 年53 巻2 号 p. 70-77
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 淑夫
    1999 年53 巻2 号 p. 78-83
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 緒方 正名, 藤澤 邦康
    1999 年53 巻2 号 p. 84-94
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 石油成分の生物モニタリング: 水生生物への移行を調べる生物暴露モニタリング (生物移行モニタリング) と, 石油成分の生物体内での作用を調べる影響モニタリングがある. 生物へ移行する石油成分は, 単環芳香族化合物, 有機硫黄化合物などの石油に特異的に含まれる物質を対象に生物試料による環境モニタリングに適した指標生物を用いて石油の汚染状況をモーするべきである.
    2) 油臭魚: その発生は, 瀬戸内海等の石油コンビナート付近海域で見られた. 油臭を引き起こす石油成分は, 単環芳香族炭化水素, オレフィン等があげられ, 水島海域では, トルエンを同定している.
    3) 水生生物影響: 石油流出事故での影響は, 潮間帯の水生生物を中心にみられ, 油が海岸を被覆することよる貝類, 藻類の被害が多く, 次いで甲殻類, その他に鳥類, 哺乳類の被害例が多かった. 影響には, 物理学的影響, 生化学的影響, 病理組織生物学的影響として表れる.
    4) 毒性と感受性: 石油の種類による毒性は, A重油>原油>廃油>C重油の順に有毒性が高い. 一方, 油に対する生物種の感受性は, 卵・稚仔>甲殻類底生無脊椎動物>魚類>腹足類>二枚貝の順に高い.
    5) 油処理剤: 現在の乳化分散剤はエステル型であり, 旧型のエーテル型に比べて毒性は低い. 油処理剤混合油の毒性は, 石油単独より強くなる場合がある. 油処理剤の使用は, 現場の状況を適切に判断してから使用するべきである.
    6) 水島重油流出事故: この事故では, 東部の瀬戸内海を重油で汚染した. 漁業生物への影響は, 養殖ノリ, ワカメ, 養殖ハマチ等のへい死, その他の水生生物は, 珪藻の大増殖, タマキビ等潮間帯生物のへい死が認められた. 魚介類着臭は, 岡山, 香川県下でカレイ等から検出された. 重油除去作業者の健康調査によると, 作業直後に呼吸器症状, 皮膚症状がみられた. また, 精密検査を要する結膜炎, 咽頭炎患者が診断され, 高血圧の者も見いだされた.
    7) ナホトカ号重油流出事故: この事故では, 船首部分が福井県三国町海岸に漂流座礁した. 漂流重油は, 富山県を除く秋田県より島根県に至る日本海沿岸府県を汚染し, 沿岸の潮間帯生物, 水鳥のへい死が報告された. ナホトカ号から流出した流出油と日本海沿岸各地に漂着した漂着油との比較の結果, 揮発性成分及び低分子の多環芳香族炭化水素類が減少している傾向がみられ, 低分子多環芳香族炭化水素類の蒸発・揮散による減少, 海水中に溶解することによっても減少する事が示唆された. また, 重油除去作業者に健康障害が起こっている事から, 重油除去作業者に対する診療, 同時に健康調査,環境調査が行なわれた. これらに基づき, 安全な回収作業の提言, 健康障害の予防対策の検討を行ない, 医療対策指針を作成した.
  • 山上 正明
    1999 年53 巻2 号 p. 95-98
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 鵜飼 健司, 水野 隆夫, 豊倉 賢
    1999 年53 巻2 号 p. 99-106
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    炭酸ナトリウム水溶液中に塩化カルシウム結晶を添加する事によって生成する炭酸カルシウム結晶について, 塩化カルシウム結晶の溶解熱に着目した検討を行った. 本反応系においては, 添加結晶の溶解熱が生成する炭酸カルシウム結晶の多形現象に影響を及ぼしており, 同一添加量の条件においては溶解熱量が最も大きい無水塩を添加した場合に, 最安定形のカルサイト形炭酸カルシウムを選択的に生成することができた. この無水塩結晶を添加する条件においては, 298Kから328Kの操作温度範囲においてカルサイトが選択的に生成し, 操作温度298Kの条件においては, カルサイトの生成個数が添加量の1.3乗に比例することを見いだした. また, 撹拝回転数による影響についての検討を行った.
  • 柳瀬 聡, 大井 隆夫
    1999 年53 巻2 号 p. 107-114
    発行日: 1999年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    イオン交換系におけるリチウムイオンの水和状態を半経験的分子軌道法PM3tmによって計算した. 溶液中の構造モデルとしてブリーの3~6水和イオン, および樹脂中の構造モデルとしてベンゼンスルポン酸陰イオンに3~6水和リチウムイオンが配位したモデルの最適化構造を求め, それらリチウム化学種の生成熱を計算した. その結果, 樹脂中の構造モデルでは, 溶液相中のモデルに比べて, 水和結合の距離の平均値γLi-Oが大きくなるとともに, 水和による安定化エネルギーが小さくなることが示された. 樹脂中の4水和イオンの構造モデルでは, 生成熱の値の近い2種の水和状態が得られた. 各最適化構造の生成熱の比較から, 樹脂相に存在するリチウムイオンの水和数の分布が, 溶液相にある場合と比較して水和数の小さくなる方向へ片寄っていることが示唆された. これらの結果は, 樹脂相におけるリチウムイオンの水和が, 溶液相に比べて弱くなっていることを示しており, イオン交換系において観測されているリチウム同位体効果の傾向と一致した.
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