(1) ペースト法イオン交換膜の特性値を測定し, この値からイオン交換膜法海水濃縮における濃縮特性値を推定し, 前報の濃縮実験結果と比較検討した.
(2) イオン交換膜の電気抵抗, 輸率, 電気浸透水, 塩および水の透析係数を, 塩の種類, 溶液濃度, 溶液温度, 電流密度, 外液攪拌状態, 膜の両側の溶液の濃度差などを因子として測定した.
(3) 輸率は電流密度によつて大きな変化はなく, 0.5N NaCl 4N NaClの系で, 陽イオン交換膜0.974, 陰イオン交換膜0.989となつた. 電気浸透水は溶液濃度の低下, 電流密度の上昇により増加し, 溶液温度の1次式で示すことができた. さらに, 塩の種類によつても変化した. 塩および水の透析係数は溶液濃度, 塩の種類によつて変化し, 溶液温度の1次式で示すことができた.
(4) 各測定値を用いて膜法海水濃縮における所要電圧, 電流効率, 濃縮液濃度, 濃縮液量を電流密度と溶液温度を因子として計算で求めた.
濃縮液量, 濃縮液濃度は実験値とほぼ一致した. 電流効率の絶対値も良い一致を示したが, 濃縮条件による傾向は, 必ずしも一致しなかつた. 所要電圧は一致する範囲もあつたが, 濃度分極の大きくなる濃縮条件では, 実験値が急激に高くなつた.
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