海水中のバナジウムの蛍光X線分析において, 有機沈殿剤のDDTCと無機共沈剤を併用するとバナジウムは定量的に沈殿する. そこで種々の重金属共沈剤のpH3~5における共沈効果について検討した結果.
1) マンガン (II) およびクロム (III) には共沈効果がまったく認められなかった.
2) ニッケル (II), 銅 (II) および亜鉛 (II) 共沈剤を用いた場合は, 沈殿を放置熟成すると, バナジウムのX線強度も共沈剤のX線強度も放置熟成時間の経過に伴い次第に低下する傾向が認められた.
3) マンガン (VII) 共沈剤を用いた場合には, 沈殿を放置熟成するとバナジウムのX線強度は低下しないが, マンガンのX線強度は低下する.
4) クロム (VI), 鉄 (II), 鉄 (III) およびコバルト (II) 共沈剤を用いた場合には, 沈殿を放置熟成してもバナジウムのX線強度も共沈剤のX線強度も変化しなかった.
5) クロム (VI), 鉄 (II), 鉄 (III) またはコバルト (II) 共沈剤を用いて海水中のバナジウムを分析した結果, 海水中に含まれる1μg/
l程度のバナジウムも検量線法で精度よく定量できることがわかった.
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