活性層との親和性は汚染物質の逆浸透膜/ナノろ過膜(RO/NF膜)透過性に影響を与える重要な因子である.本研究の目的は,ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectrometry, RBS)を用いて汚染物質の水-ポリアミド活性層分配係数(
KPA-w)を求めることで,汚染物質のポリアミド系複合RO/NF膜の活性層との親和性を定量的に評価する手法を開発することである.ESNA1-LF NF膜の表面にポリエステル高分岐ポリマー層を形成し,汚染物質のポリエステル高分岐ポリマー-ポリアミド分配係数(
KPA-PE)をRBSで求めた.そして,
KPA-PEと拡散セルを用いて求めた水-ポリエステル高分岐ポリマー分配係数(
KPE-w)を掛け合わせることで汚染物質の水-ポリアミド分配係数(
KPA-w)を求めた.この手法を用いて求めた中性汚染物質の
KPA-wは1より大きかった.この結果から,中性汚染物質のRO/NF膜への分配を考える際には,物理的なサイズ排除に加えて汚染物質とポリアミドとの化学的な親和性も考慮する必要があることが実証できた.
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