日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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70 巻, 2 号
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巻頭言
特集:「海底資源」
概論
解説
報文
  • 藤居 東奈, 野田 寧
    2016 年 70 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/27
    ジャーナル フリー
    塩試料中の水分を正確に定量する方法としてカールフィッシャー滴定を検討した.これまで塩試料の水分を正確に定量する方法はなく,指標として乾燥減量や加熱減量が用いられている.カールフィッシャー滴定は,一般的な水分の定量方法であるが,塩試料がカールフィッシャー試薬に溶解しないため,水分を正確に定量できなかった.そこで,カールフィッシャー試薬への水分の抽出方法を検討した.塩試料を溶解する溶媒を検討したところ,エチレングリコール40 mLとメタノール100 mLの混合用溶液が最も速く溶解した.そこで,エチレングリコール40 mLをメタノールが主成分であるカールフィッシャー試薬100 mLに添加した混合溶液を用いることとした.試料にあわせて二種類の試料採取器を使用した.本法を実試料へ適用することで妥当性を確認し,塩試料中の水分を正確に定量することが可能となった.今後,塩試料中の水分の様々な分析方法の検討に大きく進展がみられるものと考えている.
  • 鈴木 祐麻, David G. CAHILL, Benito J. MARIÑAS
    2016 年 70 巻 2 号 p. 102-109
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/27
    ジャーナル フリー
    活性層との親和性は汚染物質の逆浸透膜/ナノろ過膜(RO/NF膜)透過性に影響を与える重要な因子である.本研究の目的は,ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectrometry, RBS)を用いて汚染物質の水-ポリアミド活性層分配係数(KPA-w)を求めることで,汚染物質のポリアミド系複合RO/NF膜の活性層との親和性を定量的に評価する手法を開発することである.ESNA1-LF NF膜の表面にポリエステル高分岐ポリマー層を形成し,汚染物質のポリエステル高分岐ポリマー-ポリアミド分配係数(KPA-PE)をRBSで求めた.そして,KPA-PEと拡散セルを用いて求めた水-ポリエステル高分岐ポリマー分配係数(KPE-w)を掛け合わせることで汚染物質の水-ポリアミド分配係数(KPA-w)を求めた.この手法を用いて求めた中性汚染物質のKPA-wは1より大きかった.この結果から,中性汚染物質のRO/NF膜への分配を考える際には,物理的なサイズ排除に加えて汚染物質とポリアミドとの化学的な親和性も考慮する必要があることが実証できた.
  • 後藤 駿一, 河野 通尭, 片桐 瑞基, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 河合(野間) 繁子, 梅野 太輔, 斎藤 恭一, 森本 泰臣, 菊池 ...
    2016 年 70 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/09/27
    ジャーナル フリー
    放射線グラフト重合法によって,エポキシ基を有するビニルモノマー(グリシジルメタクリレート)を市販の6-ナイロン繊維にグラフト重合した.その後,グラフト鎖中のエポキシ基の一部を,海水から放射性ストロンチウムを除去できるイミノ二酢酸基に転化し,イミノ二酢酸型キレート繊維(IDA繊維)を作製した.人工海水中で,3種類のアルカリ土類金属(ストロンチウム,カルシウム,およびマグネシウム)の繊維への吸着平衡関係は3成分系のLangmuir型吸着等温式で表わされることがわかった.閉鎖海域の海水へIDA繊維を,一度にではなく,分割して投入・浸漬するストロンチウム除去方法を本研究で提案した.この分割投入によって,同じストロンチウム除去率を得るのに必要な繊維の量を削減できることを回分実験から実証した.さらに,分割投入の回数に伴う3種類のアルカリ土類金属の平衡濃度の変化は,上記の3成分系のLangmuir型吸着等温式と物質収支式とから算出される計算値とよく一致した.
Short Paper
リレーエッセイ(18)
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