日本海水学会誌
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46 巻, 3 号
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  • 桑原 連, 佐伯 有常, 中島 真一
    1992 年46 巻3 号 p. 135-149
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    飼育水量を節約した循環濾過式飼育法を採用している各地の水族館について, 水質, 水槽および濾過槽の規模, 飼育状況を調査し, それらのデータに表された魚類の代謝に基づく硝酸態窒素の蓄積, 窒素とリンの比などに関して天然海水と比較して論じた.
    次いで, 魚類の分泌排泄するアンモニアを硝化する微生物の浄化能力を支配する濾材量に関して, 佐伯のbalanced aquarium理論および濾材と浄化能に関する実験結果を基に, 検討, 整理した.
    これらの結果から, 循環濾過式飼育法における魚類飼育量に対する濾材必要量, 硝酸態窒素の蓄積を防ぐのに必要な補給水量, 魚類の酸素消費量に見合った酸素補給量などの算定法を考案し, 循環濾過式飼育水槽の設計・計算法を示した.
  • 塩の付着母液成分の熱的変化 (第1報)
    新野 靖, 西村 ひとみ, 有田 正俊
    1992 年46 巻3 号 p. 150-157
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    塩の付着母液成分の乾燥時の組成とその熱的変化を明確にし, 測定温度の差による乾燥減量の差の要因を明らかにするとともに, 転移温度の測定結果から乾燥減量測定温度条件の検討を行い,以下の結果を得た.
    (1) 乾燥減量測定に影響するおもな水和物として, イオンかん水系ではカーナライト, タキハイドライトおよび塩化マグネシウム六水和物が, 天日かん水系ではカーナライト, 塩化マグネシウム六水和物および硫酸カルシウム二水和物が認められた.
    (2) カーナライトの転移開始温度は, 約95℃および約145℃, タキハイドライトは約135℃, 塩化マグネシウム六水和物は約110℃および約160℃5硫酸カルシウム二水和物は約105℃および108~115℃であった.
    (3) ISOの110℃と「塩試験方法」の140℃は, 塩類水和物の転移温度に近接していた.
    (4) 110℃と140℃の間には, タキハイドライトの転移および塩化マグネシウム水和物の熱分解の開始温度があり, これらの減量が両温度での測定値の差の要因であることが認められた.
    (5) 120~130℃および170~200℃が,(1) に示した塩類水和物の転移がなく, 比較的安定した測定温度範囲と考えられた.
    以上の結果は, 現在の乾燥減量の測定温度は問題点を含んでいることを示している. 乾燥減量は, 分析結果および現場での品質管理においても重要な項目であり, これらへの影響を考慮し, 乾燥時間を含めた条件の検討が今後必要と思われる.
    また, 水和物の転移温度については, 現在分析法等の進歩にともない詳細な検討が可能になっており, 以前の測定値と差があるものが多く, 今後, 海塩試料に関する水和物の熱的変化についてさらに検討する予定である.
  • 坂本 佳六, 塩田 益稔
    1992 年46 巻3 号 p. 158-170
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    現在のイオン製塩苦汁量の生産が, かん水のNaCl純塩率93%以上の上昇の結果として, 減少の一途をたどっている. それにもかかわらず, 苦汁工場にて多量の粗塩化カリが回収されている. しかしその用途は必ずしも, カリ本来の化学特性を有効に生かしたものではない. 高度化した硫酸カリ肥料の生産実績をもつものではあるが, 肥料向けでなく, より高度の付加価値をもつ工業製品志向という願望のもとに炭酸カリを製造する試験を行った. 炭酸カリ製造法のEngelprecht法を苦汁工場に適合, 改善, 修正した. Engelprecht法使用の塩基性マグネシウムの代わりに, 水酸化マグネシウムケーキを使用すること, 炭酸ガスの高濃度のもの代替に, 工場排煙ガスの低濃度のものを使用すること, 反応促進のため, 少量の苛性カリを添加すること. がEngel-precht法の修正項目である. 相律を基幹とした製造理念に徹した試験方法のラボラトリー予備試験をして, さらに模擬中間工業試験を行った.
    中間工業試験において, 反応吸収液に懸吊濁液中のMgO濃度はMgO 2%程度である. 排煙ガスCO2濃度が12%と希薄なために, MgO濃度が高いと, 吸収液が糊化する. 反応速度促進のため吸収器中にラシヒリングを補填すること, 吸収器を水冷すること, 35℃が最高温の限度である. ガス流速, 1.0~1.2m/s, 吸収液対ガスの倍数約1,000~800程度, 希薄なCO2 Gas排煙ガスを使用して, 良質のEngel salt製造可能を確認した. KOH液製造にはジイーメンス式電解槽模型を用いた. このEngel salt製造法は排煙ガスの脱硫にも役立つ, 生成SO4は製品中に移行せず, 母液中に全部残存する, 模擬中間工業試験の規模は現場の炉の規模の1/101であった. Engel saltの組成, 最終製品のK2CO3の組成は次のとおりEngel salt K Mg Cl SO4 K収率
    15.8 9.5 1.4 0.03 48.3%
    炭酸カリ K2CO3 KCl KHCO3 K2O Engel saltからのK収率
    86.5 0.1 2.2 60.0% 75.0%
    工業採算可能製造規模として, 重油使用量1日当り約7t, 生産炭酸カリ量4.7t, 月産118tと推測する.
  • 西村 ひとみ, 有田 正俊, 新野 靖
    1992 年46 巻3 号 p. 171-174
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    海水, かん水および塩試料等のマグネシウムの迅速分析法の一つとして酵素法の適用を検討し, 以下の結果を得た.
    1) 検量線はMg100mg/lまで直線性が得られた.
    2) 測定時間は3分で十分であった.
    3) マグネシウム量に対して塩化ナトリウム量は100から1,000倍, カルシウム量は同量から8倍, カリウム量は2から10倍の濃度範囲内では測定に影響しないことを確認した.
    4) 同日・日差再現性とも良好であった.
    5) キレート滴定法との相関は非常に良好であった.
    これらの結果から本試験に用いた酵素試薬は手分析による海水, かん水および塩試料等のマグネシウム分析に十分適用できることを確認した.
  • コスティック デニス・S
    1992 年46 巻3 号 p. 175-198
    発行日: 1992年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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