脱着液から炭酸リチウムを製造する全工程のフローシートをFig.-8に示した.
炭酸リチウムの純度および収率を高めるために, 1) アルカリ処理, 2) 濃縮処理, 3) 晶析処理, 4) 洗浄処理を行い, それらの処理条件を明らかにした.
アルカリ処理においてpH12以上で不純物の二価金属元素を沈でんさせた. マンガン, マグネシウムはほぼ定量的にろ別除去することができた. カルシウムの除去率は92%程度であった.
次いで, 濃縮処理において, 濃縮率80%程度までに加熱濃縮してリチウム濃度8,500mg・dm
-3以上の濃厚溶液を調製した. このとき, 残存カルシウムは再び析出し定量的にろ別除去することができた.
濃厚リチウム溶液に炭酸ナトリウムを1.2モル加えて, 炭酸リチウムを晶析させた. これをろ別し, ただちに少量の熱水 (20cm
3・g
-1)を用いて洗浄処理を行った.
これらの処理条件により, 脱着液から市販一級品と同等の炭酸リチウムを収率75%程度で製造することができた.
実用的には, このプロセスで使用する酸, アルカリ, 炭酸塩については廃工業薬品の使用が経済的であり, その場合, 生成炭酸リチウムの品位への影響について別途検討する必要があると考えている. また, 炭酸リチウム晶析残液からのリチウムの回収については, 溶媒抽出による分離・回収法の検討を進めている.
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