多段フラツシユ蒸発法海水淡水化装置から排出されるかん水 (フラツシユかん水) を電気透析法によつて濃縮した場合の有利性を検討するために, 大型装置 (有効膜面積: 72dm
2) により濃度を2倍に調製した海水の高温高電流透析を実施し, 得られた成績を通常の海水透析の成績と比較した結果, 次のような点が明らかになつた.
(1) 高温高濃度液透析における濃縮液濃度, 濃縮液量, NaCl生産量は同一電流密度では海水透析の成績と大差ない, しかし, フラツシユかん水透析では海水透析の場合よりも高電流透析がが可能なので, フラツシユかん水透析におけるこれらの成績は海水透析における値よりも増加することが予想される.
(2) 高温高濃度液透析におけるセル電圧, 透析電力量は同一電流密度では海水透析における値に比べて大幅に低下する. しかし, フラツシユかん水透析では高電流透析を行なえば, これらの値は上昇してほぼ海水透析における値と同程度か, あるいはそれよりも幾分小さい値をとることがが予想される.
(3) スケール析出の傾向を検討するために濃縮液中の硫酸カルシムムイオン積および炭酸カルシウムイオン積を測定したがが, これらの数値は飽和溶解度積または析出限界値よりもかなめ低く, 膜の選択性が劣化しなければスケール析出は起り難いことが予想される.
(4) 透析上の技術的問題点として膜周縁部の割れ, 膜のしわの発生について検討し, 対策を立てた.
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