この海水淡水化装置の前処理装置はきわめて簡単なもので, その運転費も安価である. 急速濾過装置は, 薬品を用いずに運転されており, 赤汐発生等のきわめて条件の悪い状況下でも, 電気透析装置を完壁にご保護しうることを実証した. 電気透析装置は, 週1回の作業員の点検のみできわめて順調に稼動してきた. 停電等の外部変動に対し, 全く自動的に停止・再起動を行うことができる. このプラントの生産水の回収率は50~60%であり, 逆浸透法に比べきわめて回収率が高い. 16カ月の運転期間中, 化学薬品による洗浄は1回も実施されなかった. また, イオン交換膜の交換比率はこの間1%にもみたず, きわめて安定であることがわかった. 適正な保守点検計画により, イオン交換膜寿命および装置寿命は, 満足すべきものとなることが実証された. 野島において, 電気透析法が特に小規模の場合, 他の海水淡水化法に比して数々の点ですぐれていることが実証されたものと考える.
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