65歳以上の高齢者悪性リンパ腫症例に対する化学療法に recombinant human granulocyte colony-stimulating factor (rhG-CSF) を併用し, 治療成績及び副作用などを検討した. 対象症例は13例で, 男性5例, 女性8例, 年齢中央値74歳であった. 組織型は, ホジキン病1例, 非ホジキンリンパ腫12例, 病期分類はII期2例, III期3例, IV期8例であった. 治療方法はCOP-BLAM療法8例, COP-BLAM III療法2例, IMV-triple P療法2例, ACVP-16療法1例であった. rhG-CSFは原則として2サイクル目以降より使用開始し, 好中球数1,000/μ
l以下となった時点で, 1.5μg/kg/dayの投与を開始し, 好中球数10,000/μ
lあるいは白血球数20,000/μ
lとなるまで投与した.
G-CSF非使用時すなわち化学療法第1サイクル目の好中球数最低値は367.3±231.6/μ
lで, G-CSF使用時の好中球数最低値は併用第1サイクル目 (化学療法第2サイクル目) 754.6±112.1/μ
l, 併用第2サイクル目 (化学療法第3サイクル目) 709.6±116.4/μ
lとG-CSF使用時の方が非使用時に比し危険率5%にて有意に好中球数最低値の上昇を見た. また, 好中球数1,000/μ
l以下の期間, 37.5℃以上の発熱期間, 最低値より好中球数の回復する期間は, G-CSF使用時は非使用時に比し有意に短縮していた.
また, 副作用は骨痛1例, 発熱1例, 肝機能障害1例, LDH上昇1例, ALP上昇2例に認めた.
以上よりG-CSFは高齢者の悪性リンパ腫の治療に対し有用な補動療法であり, 感染症の合併症を低下させると期待される. しかし, 重篤なものはないにしても副作用は若年者に比し多いと思われ, 高齢者における投与量, 投与期間などは今後検討すべきものと思われた.
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