高リポ蛋白血症の適切な治療の為には, それぞれのリポ蛋白の代謝様相を理解する必要がある. ことに, 近年, 超低比重リポ蛋白 (VLDL) のコレステロール (C) 及びトリグリセライド (TG) の低下, 低比重リポ蛋白 (LDL) のCの低下及び高比重リポ蛋白 (HDL) のCの増加が, それぞれ抗動脈硬化性に働くものと考えられるようになった.
今回, 各種高脂血症11例のVLDLの異化過程を, 他のリポ蛋白の代謝との関連で dextran sulfate (MDS)投与による異化促進の状況下において検討した.
その結果, VLDLのTGの低下は, MDS (300mg) 静脈投与後で著しく, その際, 同リポ蛋白のCの低下を伴った. VLDL蛋白の減少も軽度に認めるので, VLDL-TG/VLDL蛋白は増加を示す例が多い. MDS 3.6g経口投与3時間後でも, VLDL-TGの減少を認めた例は, 同様にVLDL-Cの減少を伴っている. また, VLDL-TGの減少とLDL-Cの減少との間にも, 正相関を認め, VLDLの異化促進は, LDLにも及ぶことになる.
VLDLの異化の際, core 脂質の減少を認めやすく, おそらくVLDLの小型化を, MDSによって生ずるものと思われる.
この際, 更に, HDL-Cの増加を認める例も多く, 11例中に8例に及んでいる.
以上より, MDS投与により, VLDLの異化を促進させた場合のリポ蛋白の変動は, VLDL-TGに著しく認められ, 更に, VLDL-C, LDL-Cの減少と相関を示した. また, HDL-Cの増加を認める例が多かった.
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