日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
18 巻, 6 号
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  • 重政 千秋, 岡村 縁, 吉田 明雄, 斧山 純子, 渡辺 勝孝, 真柴 裕人, 安部 喬樹
    1981 年 18 巻 6 号 p. 403-409
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    80歳以上の健常高齢者11例 (男性5例, 女性6例) を対象として, 早朝空腹時のT3, T4, T3-摂取率 (サイロテスト-3値), TSH, PRLそしてGHを測定し, ひき続いてTRHに対するTSH, PRLおよびGHの分泌反応を検討した (21~35歳の健常若年者男女各20例を対照とした).
    1. T3は132±29.5ng/dl, T4は8.6±1.21μg/dlそしてサイロテスト-3値は37.5±2.65%であった. FT1は3.24±0.52を示した. T4, サイロテスト-3およびFT1は若年者と差はなかったが, T3は統計学的に有意ではないが若年者に比べて低い傾向にあった.
    2. TSH基礎値は2.7±1.35μU/mlを示し, 若年者に比べ有意ではないが低い傾向にあった. TRHに対するTSHは5例が無ないし低反応を, 4例は頂値正常だが回復の遅延を認めた. TSH頂値とFT1との間には有意な関連を認めなかった.
    3. PRL基礎値は11.0±4.2ng/mlで, 若年者と同レベルであった. TRHに対するPRL分泌反応は, TSHが低ないし無反応を示したうちの2例に低反応を認めた. TSH反応が低反応を示しながらPRL反応が保たれている例が3例に認められた.
    4. TRHに対するGHはT3が低値であった1例に異常分泌反応を認めた.
    以上の結果からTRHに対するTSH, PRL反応は加齢にともなって低下し, その分泌低下はPRLに比べてTSHで強い可能性が示唆される.
  • 和田 一成, 三木 秀生, 奥田 史雄, 楠川 禮造
    1981 年 18 巻 6 号 p. 410-416
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Lipoproptein 代謝の研究において, apolipoprotein 異常を特徴とする疾患が注目されている. もし, 患者を対象に apolipoprotein 分析をおこなうことで病態の特性を知ることができれば興味深い. 最近, 比較的簡便で臨床応用に便利と思われる Isoelectric Focusing によるヒトの Very Low Density Lipoprotein のapoprotein 分析がおこなわれているが, その定量性に問題なしとはいえない.
    著者らは Polyacrylamide gel を支持体として Isoelectric Focusing をおこない, ヒトの Very Low Density Lipoprotein apoprotein を分析して, Densitometry による定量性について検討した. ついで, これを臨床に応用して, Hyperlipidemia における特徴についてしらべた.
    1) 8×0.7cmガラスチューブ, 7.3% Polyacrylamide gel (8M Urea, 1.63% Ampholine pH 3.5~7.0) によって Isoelectric Focusing をおこなった場合, Very Low Density Lipoprotein apoprotein 総量が100μg前後で最も良い定量性を示した. 再現性の検討で, CVは7.4%以内であった. 脱色操作として, 少くとも4週間暗室保存すると良い結果が得られる.
    2) Familial Chylomicronemia の兄弟3例中2例において apo E-IVをみとめた. apo E-IVは, 健常者および Type IV Hyperlipidemia 27例では1例のみであった. apo E-IVは基質側の Lipoprotein Lipase 活性阻害物質であるかもしれない.
    3) Hyperlipidemia のない Xanthelasma Polpebrae で, apo E-II/E-III比の増加 (0.61±0.14) がみられ, Utermann らの apo E-NDに似た型を呈した. Douste-Blazy らのいうごとく, Type IIIのヘテロ接合体かもしれない.
    4) Type IV Hyperlipidemia の1例に apo E-IVをみた以外, 健常者および Type IVとも apo C, apo Epeptides に差をみとめなかった.
  • 中井 瑠美子, 岡野 一年, 原沢 道美
    1981 年 18 巻 6 号 p. 417-424
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    17~90歳までの健康男女計68名を対象として, 血中T4, T3, r-T3, TSH, TBGおよびFT41の加齢による変動についてとくに性差の面から検討し, 以下の成績をえた.
    1) 加齢により血中T4値は, 男子で低下の傾向を示したが, 女子では不変であった.
    2) 血中T3値は, 加齢により男女ともに有意に低下した.
    3) 血中T3値と血中T4値との間に男女ともに有意の正の相関をみとめた.
    4) 血中r-T3値は, 男女ともに加齢にともない不変であり, 血中T3値との間に有意の相関を認めなかった.
    5) 血中TSH値は, 加齢とともに上昇傾向を示し, 女子では正常範囲ではあるが有意に上昇した.
    6) 血中TBG値は, 加齢により男子で不変であるが, 女子では低下の傾向がみられた.
    7) 血中T4値/血中TBG値は, 加齢により男子で不変であるが, 女子で有意に上昇した.
    8) FT41は, 加齢により男子で有意の低下を示したが, 女子では不変であった.
    以上の成績より, 甲状腺機能の指標としての血中T4, T3, r-T3, TSH, TBG, FT41およびT4/TBG比の加齢にともなう変動は男女で多少異なり, エストロジェンその他の性ホルモンなどの関与も示唆される. 甲状腺機能を判定する場合, 年齢や性差を考慮に入れる必要性があると考えられる.
  • 芳賀 博, 七田 恵子, 永井 晴美, 柴田 博, 松崎 俊久, 籏野 脩一
    1981 年 18 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老人ホーム健診時検査所見と5年半後の生命予後との関連性を検討した.
    対象は, 都立養護老人ホーム利用者のうち定期健診を受診した男子713名, 女子1,064名であった. 健診受診率は, 98.5%, 健診時平均年齢は, 男子73.7歳, 女子76.4歳であった.
    検査所見と生命予後との関連を分析するために年齢標準化相対死亡比による方法と重回帰分析による方法を用いた.
    1) 死亡率は, 男女とも加齢とともに有意に増加し, 男子では, 全体の38% (274名), 女子では, 28% (300名) であった. また, いずれの年代でも男子の死亡率は女子のそれより有意に高かった.
    2) 年齢標準化相対死亡比による分析で, 男女の自発的労作 (清掃, 食事当番, 内職から成る) の程度が低い群, 女子ではさらに, 低A/G群, 心電図異常群および尿蛋白 (+) 以上群における相対死亡比は有意に高く, これらの要因は, 男子においても同様の傾向であった. 血圧は高いほど, 皮脂厚は少ないほど男女とも相対死亡比が高い傾向を認めた. しかし, コレステロールについては, その影響が明らかでなかった.
    3) 重回帰分析では, 男女の年齢・自発的労作, 女子のA/G・皮脂厚・心電図判定で予後と有の関連を示した.
  • 若杉 隆伸, 坂井 健志, 渡辺 彰, 多々見 良三, 上田 幸生, 上田 良成, 亀谷 富夫, 羽場 利博, 小泉 順二, 宮元 進, 馬 ...
    1981 年 18 巻 6 号 p. 432-440
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    ヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症患者33例 (男19例, 女14例, 53.2±13.7歳) に塩酸コレスチポール10~15g/日を48週間投与し, 血清及び各リポ蛋白分画中の脂質の変化を検討した. 血清コレステロールは投与前351±63mg/dlより48週後279±55mg/dlへ有意 (p<0.001) に低下した. 4週後より48週後までの各時点における低下率は22~17%であった. 血清リン脂質 (投与前302mg/dl, 投与後254~283mg/dl)及びβ-リポ蛋白 (投与前678mg/dl, 投与後514~576mg/dl) も同様に有意の低下を示した. 血清トリグリセライドには有意の変化はなかった. 沈澱法にて測定した高比重リポ蛋白コレステロールは, 投与前36.2±9.4mg/dlより48週後43.0±8.7mg/dlへ有意に上昇した. 超遠心法により超低比重・低比重及び高比重リポ蛋白に分け, 各分画の脂質の変動をみたところ, 低比重リポ蛋白分画のコレステロールが投与前274±68mg/dlより, 24週後192±54mg/dl, 48週後183±50mg/dlへ有意 (p<0.001) に低下していた. 同分画のトリグリセライド及びリン脂質も低下した. 超低比重リポ蛋白のトリグリセライドは投与前51±59mg/dl, 24週後55±54mg/dl, 48週後66±62mg/dlと上昇したが有意差はなかった. 高比重リポ蛋白の脂質には有意の変化はなかった. 投与期間中に黄色腫が消失した例, 狭心症の改善した例があった. 重篤な副作用はなく, 自覚的には便秘・腹部膨満感を認めた. GOT・GPT及びAl-pの上昇した例が5例あったが, そのうち4例では一過性の変化であった.
    塩酸コレスチポールはヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症の治療に有用であると思われた.
  • 今井 幸充, 本間 昭, 芦田 浩, 長谷川 和夫
    1981 年 18 巻 6 号 p. 441-449
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    初老期痴呆および老年痴呆と診断された80名を対象に, CTスキャン上の脳萎縮と知的機能低下および痴呆の程度との関連を明らかにすることを本研究で試みた.
    CTスキャン上の脳萎縮の評価は, CTの画像データから application computer を用いて処理し, 頭蓋内腔面積に対する脳髄液腔面積の占る割合い (脳髄液腔面積比) を算出しておこなった. 対象とした画像データは, 側脳室前角・後角を通るスライスと側脳室体部を通るスライス, および脳実質のみを通り頭蓋腔総面積が60cm2から80cm2の3枚のスライスを選んだ.
    老化性痴呆の知的機能の評価として, 長谷川式簡易痴呆スケール, Bender Gestalt test, コース立方体組合せテストを施行した. これらの心理テスト得点と脳髄液腔面積比との相関を求めた. また, 金子の痴呆の程度の分類に従がい80名の患者を, 高度, 中等度, 軽度痴呆群に分け, 各群における脳髄液腔面積比の平均値の比較, また各心理テスト得点の平均値の比較をおこなった.
    結果は, 側脳室レベルの2枚の画像データから求めた脳髄液腔面積比と, 長谷川式簡易痴呆スケール, コース立方体組み合せテスト得点との間に有意な相関が得られたが, すべてが決して高い相関係数ではなかった. また, 痴呆の程度と脳髄液腔面積比とは, 痴呆が進むに従がい脳髄液腔面積比が増大する傾向を示したが, 推計学的にはほとんど有意差は得られなかった. しかし, 痴呆の程度と各心理テスト得点間には有意差が得られた.
    よって, CTスキャンは老化性痴呆患者のスクリーニング検査として有用であるが, CT上の脳萎縮と知的機能低下および痴呆の程度との間には, 厳密な関連はみられないことが示された.
  • 深山 牧子, 村井 善郎, 三輪 哲義, 永田 ゆみ子, 中尾 純子, 加藤 洋一, 森 真由美, 白倉 卓夫
    1981 年 18 巻 6 号 p. 450-455
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    脳梗塞発作後, 経腸栄養法による管理を行い, 7カ月後に葉酸欠乏による大球性貧血を呈した症例を経験したので報告する. 症例は86歳女性. 意識障害, 右不全マヒ, 運動失語のため入院, 神経学的所見. 頭部CTスキャンなどから脳血管障害と診断され, 加療を受けていた. 入院時, 血色素値は12.4g/dlであり, 末梢血液検査において形態学的異常は認められなかった. 摂食量が不十分であるため一日量1,545Cal (蛋白質69.6g, 糖質44.2g, 脂質182g, 葉酸60μg) の経腸栄養による管理が開始された. 7カ月後, 末梢血液検査において大球性高色素性貧血が認められるようになり, 骨髄穿刺液塗沫標本では巨赤芽球性変化がみられた. 血清葉酸値0.90ng/ml, 血清ビタミンB12値440pg/ml, 血清鉄値118μg/mlと, 血清葉酸値の低下が認められ, 経腸栄養食中の含量不足がその原因と考えられた. 一日量30mgの葉酸製剤を投与したところ, 2カ月後に血色素値は, 8.3g/dlまで上昇した.
    この症例を含め, 同様の経腸栄養食管理を受けていた6例に対し血液学的検討を行った. 6例は平均年齢78±10歳 (57~87歳), 脳血管障害後遺症のため, 17.3±8.0ケ月間の経腸栄養管理を受けており, 血清葉酸値は0.93±0.14ng/mlと明らかな低値を示していた. しかし, 経腸栄養管理を受ける前に比し, 推計学的に有意な血色素値の低下は認められていない. これらの症例に対し, 葉酸製剤一日量30mgを投与したところ, 有意な血色素値の上昇を認めた.
  • 柴田 博, 須山 靖男, 松崎 俊久
    1981 年 18 巻 6 号 p. 456-462
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    戸田市 (人口78,115) における住民検診受診者, 25歳以上の男1,615名, 女2,844名の空腹時の High Density Lipoprotein (HDL) コレステロールを測定した. 関連因子を偏相関を用いて検討した. HDLコレステロールは, 沈降法にデキストラン硫酸Mg++を用い, 上澄のコレステロールの測定は酵素法で行った.
    得た結果は以下の如くである.
    1) われわれの用いた方法によるHDLコレステロールの値は, ヘパリンMn++, Liebermann-Burchard 法で測定した値より低値であった.
    2) 度数分布は, 男女ともやや右に偏しており, 最頻度は, 男は40~49mg/dlの区間, 女は50~59mg/dlの区間であった.
    3) HDLコレステロール値は, 男女とも, 年齢による差を示さなかった. 女の値 (52.1±13.0mg/dl) は男の値 (48.2±14.2mg/dl) より有意に高かった.
    4) 偏相関において, 血清総コレステロールとアルコール摂取量は, HDLコレステロールと有意な正の相関を示した. 肥満度 (Quetelet's index), 血清中性脂肪, タバコ喫煙本数は有意な負の相関を示した. 空腹時血糖は男で弱いしかし有意な正の相関を示し, 女では相関を示さなかった. 以上の因子に年齢を加えた7変量のHDLコレステロールに対する寄与率は, 男で28%, 女で30%であった.
  • 血小板凝集能からの検討
    谷口 直樹, 山内 一信, 近藤 照夫, 横田 充弘, 外畑 巌
    1981 年 18 巻 6 号 p. 463-468
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    aspirin は抗血小板薬として従来より各種血栓症の治療に使用されている. 近年 aspirin の大量投与は prostacyclin 合成を阻害し, 血栓生成に作用すると指摘され, その投与量が再検討されつつある. 本研究の目的は aspirin の種々の単回および連日投与における血小板凝集能抑制効果を検討することより, その至適投与量を決定することである. 対象は虚血性心疾患, 弁膜症および大動脈炎症候群などの心疾患患者71名であり, 健常人13名を対照とした. aspirin 1日80, 160, 330, 660および990mg連日投与群における4μM ADP最大凝集率には有意差は認められず, いずれの群の凝集率も aspirin 投与を受けていない健常群のそれに比して低値を示した. aspirin 160mg以上の単回投与では投与後1時間以内に凝集能抑制効果が出現した. 単回投与の凝集能抑制効果持続日数の平均値は330mg投与では4日, 660mgでは5.5日, 1320mgでは6日であった. aspirin による胃腸障害, 出血等の副作用の出現頻度は dose dependent であることを考慮すると, 本薬を長く投与する必要がある場合, 可及的少量が望ましい. ADP凝集抑制効果の観点からは1日量80mgの連日投与または160mgの隔日投与が至適投与法と考えられた.
  • 老年者における検討
    久村 正也, 村尾 誠
    1981 年 18 巻 6 号 p. 469-475
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者101例を対象に, 上部消化管内視鏡検査に伴う被験者の生体反応の変化を調べ, 考察を加えた. 被験者の呼吸数, 収縮期・拡張期血圧, 心拍数はいづれも検査中に有意に増加し, とくに拡張期血圧は検査終了後も高値の持続傾向を示した. 心電図では検査により心筋虚血性変化の出現あるいは悪化, 各種不整脈の出没などを認めたが, これらの変化は主として, もともと循環器疾患を合併している被験者に多発する傾向があった. 胃内腔への送気による電気的心軸の変化は著明ではなかった. 血中コーチゾル値は検査によって有意に増加し, 検査が被験者に与えるストレスの大きさが示唆された. 血中コーチゾル値の上昇を示さなかった1症例は, 検査後7病日目に心不全で死亡した.
    老年者に対する内視鏡検査に際しては, 偶発症防止のためにも, 被験者のもつ合併疾患, とくに循環器疾患に充分な注意が必要である.
  • 津田 忠昭, 辻本 真人, 大田 喜一郎, 大畑 雅洋
    1981 年 18 巻 6 号 p. 476-483
    発行日: 1981/11/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者リンパ球では, T cell を刺激するとされているPHAおよび Con-Aに対する幼若化反応が, 低値を示すとする報告が多い. しかし, B cell の幼若化反応については十分検索されていない. 我々は70歳以上の老年者リンパ球について, PHAおよび Con-A刺激下に, 種々の時間培養し, その幼若化反応を調べた. 次に, PWMおよび Staphylococcus aureus Cowan I株菌体を用いて, 老年者B cell の幼若化能についても検索した.
    末梢血リンパ球をPHA, Con-AおよびPWMで刺激して, 24時間から8日間培養し, 3H-uridine および3H-thymidine の取り込みを測定した. 老年者ではPHAおよび Con-Aに対する幼若化反応は有意の低値を示した. しかし, PWMに対する幼若化反応は, 老年者と若年者で, 有意差がなかった. 次に, B cell の幼若化能を検索するために, ノイラミニダーゼ処理羊赤血球との rosette 形成により, T cell とB cell を分離し, T cell をマイトマイシン (MMC) で処理して, MMC処理T cell+B cell をPWM刺激下に4日間培養し, 3H-thymidine の取り込みを測定した. 若年者MMC処理T cell+若年者B cell と比較して, 若年者MMC処理T cell+老年者B cell では有意の低値を示した. また, 老年者MMC処理T cell+若年者B cell と比較して, 老年者MMC処理T cell+老年者B cell でも有意の低値を示した. 末梢血リンパ球を, B cell のみを刺激するとされている Staphylococcus aureus Cowan I株菌体で刺激して, 4日間培養し, 3H-thymidine の取り込みを測定した. 老年者リンパ球は若年者リンパ球と比較して有意の低値を示した. 今回の検索で, B cell 分画にはB cell と monocyte が含まれているため, 老年者では, B cell 自身の機能障害あるいは monocyte の障害があると考えられる. 以上, mitogen に対する幼若化反応の検索より, 考年者では,T cell の機能障害の他に, B cell あるいは monocyte にも機能障害があると示唆された.
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