日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
44 巻, 1 号
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
第48回日本老年医学会学術集会記録〈特別講演〉
第48回日本老年医学会学術集会記録〈Meet the Expert〉
第48回日本老年医学会学術集会記録〈シンポジウムIII:専門領域における老年医学〉
第48回日本老年医学会学術集会記録〈Aging Science Forum:高齢医学における未来医療〉
原著
  • 吉田 祐子, 金 憲経, 岩佐 一, 權 珍嬉, 杉浦 美穂, 古名 丈人, 吉田 英世, 鈴木 隆雄
    2007 年44 巻1 号 p. 83-89
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    目的 都市部在住高齢者を対象に実施した健診受診者における尿失禁の有無および尿失禁に関連する特性について明らかにすることを目的とした.方法 対象は2002年度に70歳以上高齢者を対象に,老年症候群予防を目的として実施した包括的健診(「お達者健診」)の受診者1,786人のうち,尿失禁に関するデータに不備のないケース1,783人(男性768人,女性1,015人)とした.聞き取り調査の結果から,尿失禁がある場合を尿失禁群,それ以外を対照群とし,二群間の諸特性(社会的特性,既往症,身体機能等)について比較した.また,尿失禁に関連する特性の探索のため多重ロジスティック回帰分析を行った.結果 尿失禁がある者は340人(全体の19.1%)であり,男性103人(男性の13.4%),女性237人(女性の23.3%)であった.尿失禁群と対照群を比較したところ,男女ともに尿失禁群で歩行速度が遅く(通常歩行・最大歩行;男女ともにP<0.001),ファンクショナルリーチが低かった(男性P<0.001,女性P<0.01).さらに男性では,対照群に比べ尿失禁群で,握力(P<0.01),膝伸展筋力(P<0.01)が低かった.多重ロジスティック回帰分析の結果,男性では歩行速度が遅い(Odds Ratio(OR)=0.19, 95% Confidence Intervals(CI)0.08∼0.48),アルブミンが低い(OR=0.40, 95% CI 0.16∼0.99),女性では歩行速度が遅い(OR=0.29, 95% CI 0.15∼0.56),BMIが高い(OR=1.09, 95% CI 1.04∼1.14),うつ傾向がある(OR=3.06, 95% CI 1.40∼6.69),運動習慣がない(OR=0.70, 95% CI 0.50∼0.98)という特性が尿失禁があることと強い関連を示した.結論 尿失禁を持つ高齢者の特性として,男女ともに,身体機能が低かった.また,その他の特性として,男性では栄養状態が低いこと,女性では,肥満傾向が高く,うつ傾向があり,身体活動が低いという特性を有することが示された.
  • 平山 俊一, 菊池 令子, 井上 慎一郎, 塚原 大輔, 末光 有美, 小林 義雄, 杉山 陽一, 長谷川 浩, 神崎 恒一, 井上 剛輔, ...
    2007 年44 巻1 号 p. 90-94
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    目的 高齢患者は外来では24時間クレアチニンクリアランスの測定が困難であり,服用薬物数も多いため,クレアチニンクリアランス実測値をできるだけ正確に反映する推定式を利用することは臨床上重要である.対象 各種基礎疾患を有する85歳以上の超高齢者67名を含む入院高齢者143名(男性73名 女性70名 平均年齢82.9±8.6歳).方法 4種のクレアチニンクリアランス推定式から得られた推定値と24時間クレアチニンクリアランスの実測値との相関を比較検討した.結果と結論 全体として今回の検討では超高齢者においてもCockcroft and Gaultの式による推定値が最もよい相関を示した.85歳以上の女性超高齢者において実測値と推定式の相関が低く,推定式の改定についても今後の検討課題と思われる.
  • 榎本 麗子, 菊谷 武, 鈴木 章, 稲葉 繁
    2007 年44 巻1 号 p. 95-101
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    目的 食べる機能の障害は栄養状態や身体機能に影響を及ぼすことから,生命予後にまで影響を与えるとされている.中でも,認知機能の低下した高齢者は,先行期を中心とした食べる機能の障害が多く認められると考えられる.今後,認知機能の低下した高齢者の増加が予想される中で,摂食・嚥下機能の先行期障害と生命予後との関係を明らかにすることは重要であると考え,本研究を行った.方法 対象は,某介護老人福祉施設に入居する98名(平均年齢86.3±5.9歳)である.これらのうち,施設内および入院先で入院時より1週以内に死亡した者を「死亡」とし,死亡日時と死因の調査を行った.また予後因子として以下の11因子を調査した.1)基礎疾患,2)日常生活動作(以下ADLと略す),3)先行期障害,4)嚥下機能,5)食事介助,6)6カ月間の体重減少率,7)Body Mass Index(以下BMIと略す),8)Mini Nutritional Assessment(以下MNAと略す),9)咬合状態,10)年齢,11)性別.これら11因子を,Kaplan-Meier生存曲線の理論にもとづき,各因子の陽性者と陰性者における生存日数の有意差をLog-rank法にて検討した.次に非線形多変量解析法であるCOXの比例ハザードモデルを用いて回帰分析を行い,寄与率の高い因子を抽出した.結果 ADL(p<0.05),先行期障害(p<0.01),嚥下機能(p<0.01),食事介助(p<0.05),BMI(p<0.01),MNA(p<0.05)の6因子においてリスクの有無により生存日数に有意差が認められた.またハザードモデルによる解析では先行期障害,嚥下機能,BMIの3因子がハザード比も高く,生命予後の短縮に関与していることが示された(先行期障害:ハザード比2.85, 95%信頼区間1.04∼7.83,嚥下機能:ハザード比2.90, 95%信頼区間1.06∼7.91, BMI:ハザード比2.54, 95%信頼区間1.00∼6.44).結論 本研究の結果から,先行期障害,嚥下機能,BMIはいずれも比例ハザード比も高く,生命予後の短縮に強く関与していることが示唆された.
  • 梅垣 宏行, 鈴木 裕介, 葛谷 雅文, 井口 昭久
    2007 年44 巻1 号 p. 102-106
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    目的 認知症診療において,専門医療機関とプライマリーケア医との連携が必要である.今回我々は,開業医が多くを占める医師会の会員に対して,認知症患者の紹介についての考え方についてのアンケート調査をおこなった.方法 認知症患者の専門医療機関である大学病院からの紹介への受け入れと専門医療機関への紹介の理由について名古屋市医師会のA会員全員(1,776名)に郵送によって送付し,回答はファックスで回収した.有効回答率は39.7%(701名)であった.結果 大学病院からの認知症患者の紹介については,40.5%の医師会員が「専門外のため」に紹介を希望しなかった.特に内科系を標榜していない医療機関の場合,68.8%の施設が専門外のために認知症患者の紹介を希望しなかった.しかしながら,内科系を標榜する会員に限った場合は,26.3%と有意に紹介を希望しない会員の比率が少なかった.内科系の会員のなかで,精神科,心療内科,神経内科などを標榜科にあげている会員とあげていない会員の間では,違いを認めなかった.複数回答で選択を求めた専門医療機関への認知症患者の紹介理由としては,「原因疾患の診断」,「治療方針の決定」を7割以上の医療機関があげた.また,「問題行動への対応」,「ご家族への予後や対応法についての説明」は,それぞれ,55.1%,57.4%と半分以上の医療機関が紹介したい理由としてあげた.一方で,「継続診療」を希望する医療機関が25%と比較的少なかった.結論 医師会のA会員へのアンケート調査によって,いわゆるプライマリーケア医は,認知症患者について,専門医療機関には診断,治療方針決定などの専門性を生かした役割を期待していることがわかった.しかしながら,専門医療機関側からの認知症患者の紹介についてはやや消極的であり,認知症診療や介護などについての研修の機会や専門医療機関のバックアップ体制の充実,認知症診療に対する医療経済的な支援が必要であると考えられた.
  • 高瀬 佳苗
    2007 年44 巻1 号 p. 107-116
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    目的 自己効力および結果期待は,人の行動に影響を与えている心理的要因である.その自己効力とは,ある行動が成功裏に遂行できるという信念である.また,結果期待とはその行動には結果が伴うという確信である.この2つの心理的要因は,高齢者の健康増進のための運動遂行に対して理論的実践的に重要かつ有用である.しかし,これまで自己効力および結果期待と運動遂行との関係は十分に検討されていない.この研究では,高齢者の健康増進のための運動遂行に対する自己効力および結果期待の予測性について検証した.方法 この研究は,質問紙を用いたプロスペクティブ・スタディであった.質問紙調査は,基礎調査から3カ月の間隔で合計4回行った.この調査の対象者は,運動教室に参加を申し込んだ高齢者43人であった.結果 自己効力と3カ月後の運動遂行との間には比較的強い関係が見られた(r=0.375∼r=0.412).また,結果期待と3カ月後,6カ月後,そして9カ月後の運動遂行との間には比較的強い関係があった(r=0.349∼r=0.665).結論 本研究より,自己効力と結果期待は高齢者の健康増進の運動遂行を予測する要因である.
症例報告
  • 平尾 健太郎, 黄川田 雅之, 乙黒 源英, 佐藤 友彦, 桜井 博文, 羽生 春夫, 岩本 俊彦
    2007 年44 巻1 号 p. 117-121
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.2005年8月上旬より誘因なく悪心,嘔吐,全身倦怠感を認め,症状持続するため8月15日近医に入院となった.消化器系の精査をしたが明らかな原因はなく,血液検査でも白血球分画にて好酸球の増多以外は異常を認めなかった.その後,徐々に抑うつ症状が強くなったため抗うつ薬を処方され,以後低ナトリウム血症の進行と軽度の見当識障害も出現したため,8月28日精査目的のため当科転院となった.血中Cortisol, ACTHがともに低値であり,各種負荷テストではACTH, CRH負荷テストがともに無反応であったことからACTH単独欠損症と診断した.副腎皮質ホルモンの補充療法を行い,投与開始後に速やかに症状ならびに低ナトリウム血症は改善した.消化器症状,全身倦怠感,抑うつ症状といった非特異的症状を認めた場合,高齢者においても本疾患を常に念頭に置く必要があると考えられた.
  • 冨田 仁美, 川本 龍一
    2007 年44 巻1 号 p. 122-125
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/03
    ジャーナル フリー
    症例は79歳女性.入院9カ月前より意欲低下あり,入院1カ月前より抑うつ状態にて抗うつ薬を投与され経過観察されていたが,尿・便失禁をするようになった.入院2日前より経口摂取不良となり,当科入院.頭部CTにて,右前頭葉に広範囲に低吸収域を認め,MRIでは径3cmの不均一ながら強く造影される腫瘤を認め,周囲には浮腫を伴っていた.入院1カ月後,脳腫瘍全摘術が施行された.組織診断では転移性脳腫瘍が疑われ,全身の精査を施行されたが(大腸内視鏡検査は拒否された.),原発巣の発見には至らず経過されていた.脳腫瘍摘出から約5カ月後,下血し,大腸内視鏡検査にて直腸に腫瘍が認められ,Hartman手術を施行された.病理学的診断は低分化腺癌で,先に摘出された脳腫瘍の組織像にも同様の所見がみられ,直腸癌の脳転移として矛盾しない所見であった.大腸癌の孤立性脳転移は肝・肺転移に比較して稀である.文献的考察を加えて報告する.
Letter to the Editor
日本老年医学会地方会記録
feedback
Top