日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
34 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 日野原 重明, 柏木 哲夫, 末舛 恵一, 村井 淳志, 鈴木 荘一
    1997 年 34 巻 1 号 p. 1-22
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 久保田 一雄, 田村 耕成, 武 仁, 倉林 均, 白倉 卓夫
    1997 年 34 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    平成元年1月から同7年6月までの6年6カ月間に当院に入院した急性心筋梗塞患者31例 (旅行者15例, 草津在住者16例) 及び脳梗塞患者40例 (旅行者15例, 草津在住者25例) について, その発症における温泉浴の関与を検討した. 発症前24時間以内に温泉浴を行った急性心筋梗塞患者15例 (旅行者9例, 草津在住者6例) 中12例 (旅行者6例, 草津在住者6例) は温泉浴開始後3時間以内の発症, その内8例 (旅行者4例, 草津在住者4例) は1時間以内の発症であった. また, 発症前24時間以内に温泉浴を行った脳梗塞患者27例 (旅行者11例, 草津在住者16例) 中15例 (旅行者9例, 草津在住者6例) は温泉浴開始後3時間以内の発症, その内10例 (旅行者6例, 草津在住者4例) は1時間以内の発症であった. なお, 入浴中の発症は急性心筋梗塞2例 (旅行者1例, 草津在住者1例), 脳梗塞2例 (旅行者1例, 草津在住者1例) であった. 急性心筋梗塞の時刻別発症頻度と温泉浴開始後発症までの時間には旅行者と草津在住者で大きな差異は見られなかった. 脳梗塞の時刻別発症頻度は旅行者で6時から12時まで, 草津在住者で18時から24時までの時間帯でやや少ない傾向が認められ, 温泉浴開始後発症までの時間は草津在住者で3時間以上が多かった. ほとんどの症例で1~4の危険因子 (高血圧症, 高脂血症, 高尿酸血症, 糖尿病, 喫煙, その他の既往疾患) が認められたが, 旅行者と草津在住者, 温泉浴の有無の比較では明らかな差異は見られなかった. 温泉浴開始後短時間内にこれら血栓性疾患が発症する要因として, 血圧, 心拍数, 血液粘度, 線溶活性並びに血小板機能などの一過性の変化が推定される. また, 私達は既に20時の温泉浴が夜間の血圧をより低下させ, さらに翌早朝の血液粘度の上昇をより急激にすることを報告したが, 真夜中や午前中の発症にはそのような機序の関与も考えられる.
  • 各種合併症での比較
    高川 芳勅, 増田 敦, 島本 和明, Osamu Iimura
    1997 年 34 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者における高血圧薬物治療では, 各種合併症の頻度が高くなることから降圧薬選択に関してより慎重さが要求される. そこで老年者高血圧薬物療法の実態を明らかにすべく当科とその関連病院においてケースカード調査を行い主な降圧薬の使用頻度について合併症との関わりを検討した.
    全体で2,897例のデータが集積され, これを65歳以上の老年者群 (1,475例) と非老年者群 (1,422例) に分け各種降圧薬分類ごとに使用頻度を算出した. 両群を一括した検討ではCa拮抗薬が76%, β遮断薬が31%, ACE阻害薬が25%, 利尿薬が18%に投与されていた. 老年者群では非老年者群に比し, β遮断薬, ACE阻害薬の使用頻度は少なく, 逆に利尿薬の使用例が多かった. 同群における使用頻度はCa拮抗薬, β遮断薬, 利尿薬, ACE阻害薬の順であった. 単剤投与例のみで各薬剤の使用頻度を検討したところ, 非老年者群ではCa拮抗薬, β遮断薬, ACE阻害薬, 利尿薬の順であったが, 老年者群ではCa拮抗薬, 利尿薬, ACE阻害薬, β遮断薬の順となり, 後者では現状でも利尿薬が高率に第一選択薬とされている可能性が窺われた. 虚血性心疾患, 糖尿病, 脳卒中の合併率は老年者群で非老年者群に比して高く, これら合併症別の使用頻度においても, 年齢に関わらずCa拮抗薬が第1位を占めていたが, 第2位は虚血性心疾患合併群ではβ遮断薬, 脳卒中合併群ではACE阻害薬であり, 糖尿病合併群では老年者群でACE阻害薬, 非老年者群でβ遮断薬と合併症により相違が認められた.
    以上, Ca拮抗薬は年齢群別, あるいは合併症の有無や内容に関わらず他薬剤の2倍以上の高率で使用されていたが, 他の薬剤は年齢, 合併症により使い分けがなされていることが明らかになった. また第一選択薬としては, Ca拮抗薬に次いで, 非老年者群ではβ遮断薬, 老年者群では利尿薬が高頻度に選択されている可能性が示唆された.
  • 新津 望, 加藤 元浩, 志越 顕, 梅田 正法
    1997 年 34 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Doxorubicin (DXR) を含む化学療法を施行した高齢者造血器悪性腫瘍53例に対し, 心プールシンチグラフィー (左室駆出率; LVEF), 123I-MIBG心筋SPECT (washout rate; WR), 123I-BMIPP 心筋SPECT (extent, severity score), ホルター心電図 (心室性期外収縮; PVC) を施行した. 1) 高齢者では, 治療前よりWR及び extent, severity score が高値の症例が見られた. 2) WRはDXR総投与量と相関を認め, 心交感神経障害の早期の指標となると考えられた. 3) LVEFは extent, severity score と相関を認めたが, WR及びPVCの頻度とは相関しなかった. 4) WRはPVCの頻度と相関を認めた. 以上より高齢者では治療前より心機能の低下している症例が認められ, 特にDXR総投与量が250~300mg/m2以上になると心交感神経機能障害, 心ミトコンドリア障害が出現し, 350mg/m2以上になるとLVEFは50%以下となる症例が増加するため, 多角的な心筋障害の検査を行いDXRの投与量を検討する必要があると考えられた.
  • 小橋 吉博, 川根 博司, 松島 敏春, 沖本 二郎, 副島 林造
    1997 年 34 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    当院で1984年に在宅酸素療法 (HOT) が導入されて以降, 1995年9月までに155例の慢性呼吸不全患者に施行されてきた. 今回私共は, このHOT施行患者155例の基礎疾患, 検査所見 (血液ガス, 肺機能検査), 転帰に関して検討した. そしてさらに, この155例の患者群を70歳以上の高齢者群と70歳未満の患者群に大きく二分して, 両者間でも比較検討した. 対象の内訳は男性96例, 女性59例, 70歳以上の高齢者群が82例に対し, 70歳未満の患者群は73例であった. HOT開始時の平均年齢は68.6歳で, 高齢者群で男性の比率が高かった. 基礎疾患は慢性閉塞性肺疾患54例 (肺気腫43例, びまん性汎細気管支炎5例, 気管支喘息4例, 慢性気管支炎3例), 肺癌33例, 陳旧性肺結核29例, 肺線維症27例で, 高齢者群で慢性閉塞性肺疾患 (特に肺気腫) が多くみられたのに対し, 70歳未満では肺線維症, 肺癌の症例が多くみられた. 観察期間は1カ月未満から10年で, うち82例が死亡, 31例で現在も生存, 32例は転院, 10例は追跡不能であった. またHOT導入時の動脈血ガス, 肺機能に関しては両群間で有意差はなく, 転帰に関しても差はみられなかった. 当大学病院でHOTが導入され10年以上経過したが, HOT開始後10年以上健在の患者もおり, HOT導入後の動脈血酸素分圧の改善度, そして特に肺癌患者で残された期間の自宅での療養希望で満足度が十分であったことからすると quality of life からして, HOTは意義ある治療法と考える.
  • 寺本 信嗣, 福地 義之助, 松瀬 健, 笹平 直樹, 江頭 正人, 須藤 英一, 片山 弘文, 大賀 栄次郎, 鳥羽 研二, 大内 尉義
    1997 年 34 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    骨格筋障害にともなって, その細胞成分クレアチンキナーゼ (CK) などが, 血清中に放出される横紋筋融解症は老年者では比較的稀と考えられる. 我々は, Streptococcus pneumoniae (S. pneumoniae) によると考えられる老年者肺炎患者において横紋筋融解を認めた2症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告した. 症例1は, 71歳, 女性で基礎疾患として気管支拡張症があり, 肺炎, 食欲不振で入院した. 喀痰よりS. pneumoniae のみを検出し, 抗生剤によって軽快した. 入院時, CK551 (IU/L) と高値を示したが, 心電図異常はなく, 他の血清逸脱酵素は正常でCK分画はMM型が100%であった. 症例2は, 84歳, 男性で発熱, 食欲不振, 咳嗽で入院し, 喀痰よりS. pneumoniae のみが検出され肺炎と診断し抗生剤投与によって軽快した. 入院時検査所見にて, CKの著明な上昇 (1,552IU/L) と心電図にST-T変化を認め, 心筋梗塞が疑われたが, 心エコー上, 明らかな異常は認めなかった. CK分画はMM型100%で, 他の血清酵素は軽度の上昇を示したのみで, CK上昇は骨格筋由来と考えられた. CKの異常上昇も肺炎治療後は正常となった. また, 横紋筋融解を生ずる薬剤の投与は経過中なかった. いずれも, 腎機能に異常なく, 臨床経過は良好であった. 今回の横紋筋融解の原因がS. pneumoniae 肺炎であるとは断定できないが, 文献的にも肺炎にともなう横紋筋融解はS. pneumoniae 肺炎での報告が最も多いことから, 加齢や疾病によって腎機能が低下しやすい老年者S. pneumoniae 肺炎では, 一度はCK測定を行って横紋筋融解の有無を検討しておくことの意義は少なくないと考えられる.
  • 永島 淳一, 賀來 俊, 千葉 一夫, 上田 慶二
    1997 年 34 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    67歳女性. 胸部不快感を主訴に受診. 検査の結果, 心室性期外収縮 (以下VPC) 14,700拍/日 (single, monofocal), 上室性期外収縮 (以下SVPC) 298拍/日を認めたため, クラスIa, Ib, IV群抗不整脈剤を投与したが, いずれも効果が認められず, Ic群の酢酸フレカイニドを投与した. 服用1週後より副作用が疑われたので, 血中濃度のモニタリングをしたところ, 568ng/mlと過量投与が示唆されたため減量を図り, 副作用の軽減ならびに抗不整脈作用の有効性を保つことができた. 抗不整脈薬の適正な投与設計にとって, 血中濃度のモニタリングが有用な手段になり得ると考えられた.
  • 蟹江 治郎, 河野 和彦, 山本 孝之, 赤津 裕康, 井口 昭久
    1997 年 34 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    経鼻胃管栄養および胃瘻栄養管理では, 胃食道逆流により, 逆流性食道炎による吐血と嚥下性肺炎を繰り返していた82歳の男性に, 経胃瘻的空腸栄養チューブによる管理を行った. その結果, 経腸栄養剤が空腸内に直接投与されることにより胃食道逆流が減少し, 逆流性食道炎および嚥下性肺炎の反復がみられなくなった. さらに, 嘔吐, 痴呆による自己抜去そして不穏等も認められなくなり管理が非常に容易となり在宅管理へ移行し得た.
  • 片山 均, 小原 克彦, 伊賀瀬 道也, 間口 元文, 福岡 富和, 大蔵 隆文, 北見 裕, 日和田 邦男
    1997 年 34 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性. 主訴は繰り返す発熱. 平成6年10月末より38℃前後の発熱及び軽度後頭部痛が出現した. 近医でウイルス性髄膜炎と診断され治療を受けたが, その後も数日間隔で同様の発熱が出現し, 頭痛及び神経症状を伴うため平成7年4月, 当科に入院した. 血液検査で炎症所見はなく, 悪性腫瘍, 膠原病も否定された. 髄液検査では単核球優位の細胞数増加と軽度の蛋白増加所見が持続した. 発熱時には髄液中のIL-6, TNF-α, PGE2が高値を示し, 無熱時には神経所見と共に低下~消失した. 高齢発症の Mollaret 髄膜炎は報告が少なく, 発熱時に髄液中サイトカインが高値を示した興味ある1例であった.
  • 田辺 寿一, 毛利 博, 大久保 隆男
    1997 年 34 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢者微分化型低形成性白血病の症例を2例経験したので報告する. 症例1: 78歳女性. 1995年10月初旬より全身倦怠感出現したため, 10月17日当院受診. RBC233万/μl, Ht22.2%, Hb7.0g/dl, WBC900/μl, Plt19.9万/μl. 末梢血に芽球を2%認めた. 骨髄は低形成で芽球を89%認めた. 芽球は光顕ミエロペルオキシダーゼ陰性. 表面マーカー分析ではCD2-, CD3-, CD10-, CD19-, CD20-, CD13+, CD33-, CD14-. 電顕MPO陽性. 症例2: 78歳男性. 平成7年11月12日一過性脳虚血発作にて当院救急外来受診. RBC103万/μl, Ht12.0%, Hb4.3g/dl, WBC1,900/μl, Plt2.1万/μl. 末梢血には芽球は認めず. 骨髄は低形成で芽球を38%認めた. 芽球は光顕ミエロペルオキシダーゼ陰性. 芽球表面マーカーはCD2-, CD3-, CD10-, CD19-, CD20-, CD13+, CD33+, CD14-. 2例とも微分化型急性白血病 (AML-MO) の際に認められる芽球性状を有しており, 低形成性微分化型急性骨髄性白血病と診断したが, 両例とも高齢者であり, 輸血を中心とした対症療法のみで, 6カ月以上外来にて経過観察中である. 予後不良と思われる高齢者微分化型低形成白血病の経過として, 示唆に富む症例と思われた.
  • 1997 年 34 巻 1 号 p. 75-89
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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