日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
25 巻, 3 号
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  • 石崎 高志, 鳥羽 研二, 佐古 伊康, 荻原 俊男, 下村 克朗, 山本 吉蔵, 野呂 俊夫, 江藤 文夫, 鎌田 ケイ子
    1988 年 25 巻 3 号 p. 217-266
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 島本 順子, 島本 博幸, 中村 英雄
    1988 年 25 巻 3 号 p. 267-272
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    高齢者本態性高血圧症入院患者30名 (年齢77.6±6.1歳, 男9, 女21) を対象とし, 4週間の観察期に続いてプロプラノロール徐放剤 (インデラルLA(R)) 60mgを1日1回朝食後に12週間連続経口投与し, 投与前後における血圧変化, 血漿プロプラノロール濃度, 24時間連続記録心電図から平均分時心拍数, 最低分時心拍数, さらに血漿レニン活性について検討した. 1) 血圧は収縮期, 拡張期共に有意に低下した. 2) プロプラノロール徐放剤初回投与時に血漿プロプラノロール濃度を経時的に測定したところ, 投与5時間後に41.5±37.7ng/mlとピークとなり, 24時間後も28.6±30.5ng/mlであった. また投与12週目の血漿プロプラノロール濃度は投与前値61.8±50.5ng/ml, 5時間値99.8±66.7ng/mlとなり高値で個人差も大であった. 3) 平均及び最低分時心拍数は共に有意に減少したが, 最低分時心拍数の減少は平均分時心拍数に比して軽度であった. 4) 収縮期血圧変化と12週目5時間後血漿プロプラノロール濃度とはr=0.645の粗な相関を認めたが, 血漿レニン活性前値並びに変化と降圧との間には有意な相関を認めなかった. 5) 副作用は6例に認められ, 5例は気管支肺炎併発, 1例は徐脈性不整脈のため投薬中止とした. 高齢者高血圧に対するプロプラノロール徐放剤投与に際しては血漿プロプラノロール濃度の高値, 個人差を考慮し注意深い観察が必要で, 慎重に投薬されるべきと考えられた.
  • 萎縮度計測の有用性と臨床評価との相関
    河野 和彦, 遠藤 英俊, 山本 孝之, 葛谷 文男
    1988 年 25 巻 3 号 p. 273-281
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    単純頭部CTスキャンは, 多くの医療施設において普及してきた. その画像から痴呆患者の脳室の拡大や皮質萎縮の程度を計測する試みが数多くなされてきたが, 痴呆の程度との相関性に関して一致した意見が得られるには至っていない. 今回, 痴呆専門病棟を持つ二施設において, CTスキャンの運用開始から3年間の間に入院し, 初老期, 老年期痴呆の診断を受けた357症例と非痴呆老人100例の頭部CT所見を解析した結果, 次の結論を得た. すなわち, 非痴呆老人では脳萎縮度が年齢に相関するが, 痴呆患者では相関せず, 病的萎縮が生理的な影響を十分に上まわっていたこと, 第二に女性の加齢による萎縮は男性より顕著で, 病的萎縮の際にもさらに大幅に萎縮が強まることが観察された. 第三に, 計測値のみからはアルツハイマー型老年痴呆と脳血管性痴呆の両型に差がないこと, 第四に, アルツハイマー型老年痴呆の脳萎縮には, 脳血管障害による脳萎縮のような個人差が少なく, 臨床評価と脳萎縮度との間に良好な相関が得られ, しかも運動, 知的機能に加えて, 感情機能も平行して侵されることが明らかにされた.
  • 河崎 博, 嶋田 裕之, 朝長 正徳
    1988 年 25 巻 3 号 p. 282-291
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者の交感神経節に生じる Lewy 小体の出現頻度を調べると共に, 電顕的所見を中心とした形態学的検索を行った. 対象はパーキンソン病1例を含む314剖検例の上頸, 星状及び腹腔神経節である. Lewy 小体は41例で3神経節のうち何れかの神経節に認められた. その出現例は60歳のパーキンソン病像を除けば全例70歳以上であった. 出現頻度は70歳台14%, 80歳台15%, 90歳以上12%と, 70歳以上ではほぼ一定の頻度でみられた.
    光顕的には神経突起内に生じた楕円形或は棍棒状を呈する Lewy 小体が主体をしめ, 神経細胞胞体内のものは少数であった. また, core と halo の層構造を呈するもの以外に一様に弱酸性に染まるものが多く観察され, 両者は互いに移行していた. その他に円形ないし楕円形で強酸性に染まる Lewy 小体も観察された.
    電顕的には Lewy 小体の halo 部分は線維状構造物と小顆粒状構造物からなり, core ではこれらが塊状に集積したと思われる高電子密度顆粒からなっており, その中心では均一無構造を呈した. 一様に弱酸性を呈した Lewy 小体の構成成分は上記 halo 部分とほぼ同様で, 中心ほどそれらが密になる傾向があった. 全体に強酸性に染まる Lewy 小体は core と同様な高電子密度顆粒からなっていた.
    以上の所見から次のような結論を得た1) 交感神経節ではパーキンソン病がなくても, 70歳以上の老年者においては約15%の割合で Lewy 小体が出現する. 2) 交感神経節の Lewy 小体は主に神経突起内に出現し, そのために楕円形や棍棒状を呈するものが多い. 3) 従来 Lewy body related swelling (Forno) と言われていたものは Lewy 小体に他ならない. 4) 電顕的には Lewy 小体は基本的に線維状構造物と小顆粒状構造物からなり, これらが集積沈着し高電子密度の core を形成する生成過程が推測された.
  • 武田 俊平, 山田 進, 小野 修一, 松沢 大樹
    1988 年 25 巻 3 号 p. 292-295
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    X線CT上, 大脳及び脳梁に病変がなく, かつ, 痴呆を認めない男110人, 女92人 (年齢2歳から78歳) について, 磁気共鳴映像法 (MRI) により, 頭部正中矢状断層像のT1強調画像を得, 脳梁と大脳の断面積及び脳梁膝部, 体部, 膨大部の最大幅の加齢性変化を調べた. 脳梁の断面積は有意の加齢性変化を示し, 男は40歳代にピーク (584±99mm2) に, 女は20歳代にピーク (640±85mm2) に達した. 脳梁の断面積を大脳の断面積で割った百分率である脳梁指数は女が男より常に有意に高値を示した. 脳梁膝部, 体部, 膨大部の最大幅は有意の加齢性変化を示した. 脳梁膝部の最大幅は, 男では30歳代にピーク (11.2±2.2mm) に, 女では20歳代にピーク (10.6±2.5mm) に達した. 脳梁体部の最大幅は, 男では30歳代にピーク (5.8±1.2mm) に, 女では30歳代にピーク (6.2±1.2mm) に達した. 脳梁膨大部の最大幅は, 男では40歳代にピーク (11.9±2.1mm) に, 女では20歳代にピーク (12.9±3.0mm) に達した.
  • 鷲見 勝博, 渡辺 丈真, 小林 章雄, 竹島 伸生, 鈴木 雅裕, 村松 常司, 前田 清, 加藤 孝之
    1988 年 25 巻 3 号 p. 296-300
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    30歳から69歳までの健康な男95名, 女85名について, 安静立位での重心動揺距離, 動揺波形のパワースペクトルを検討し, 以下の結果を得た. しかし, 60歳代については例数が少ないことから, さらに検討する必要があるものと考えられた.
    1) 安静立位での重心動揺距離は, 30歳代から40歳代にかけては大きな変化を示さず, 50歳代以降, ことに60歳代で増大する特徴を示した.
    2) 閉眼/開眼比は, 男の60歳代, 女の50歳代以上で低下する傾向がみられ, 高年齢群では, 姿勢制御への視覚系の寄与が小さくなることがうかがわれた.
    3) 重心動揺波形のパワースペクトルにおける開眼と閉眼との差は, 0.109Hz以下でもっとも大きく, 視覚系の調節は, この周波数帯域に表われていると考えられた. また, 開眼時の0.109Hz以下の成分割合は, 60歳代で低下する傾向を示し, 高年齢群における, 視覚による姿勢制御機能の低下は周波数の面からも示された.
  • 佐々木 一裕
    1988 年 25 巻 3 号 p. 301-308
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    脳血管性痴呆の中で, 多発小梗塞や白質の脱髄を主病変とする例 (以下, 多発小梗塞痴呆例36例) の成因について対照例 (37例) および痴呆を有しない限局性脳梗塞例 (32例) と比較しつつ, ヘモグロビン酸素解離能 (P50) とそれに影響を与える赤血球2,3-DPG (DPG) を検討した.
    (1) DPG濃度とHb濃度の間には負の相関がみられた. 多発小梗塞痴呆例では, 対照例とは有意の差は認めなかったが, 限局性脳梗塞例に比べ, DPG濃度が低い例が多く (p<0.05), 特にヘモグロビン濃度低値例ではDPG濃度が上昇しない例が多くみられた. (2) P50とHb濃度の間には負の相関がみられたが, 多発小梗塞痴呆例では, Hbに対するP50が低い例が対照例 (p<0.01) および限局性脳梗塞例 (p<0.01) に比べ, 有意に多くみられた. (3) P50とDPG濃度の間には, 正の相関がみられた. 多発小梗塞痴呆例では, DPG濃度の割にP50が上昇していない例が対照例と比較して多い傾向にあり, 限局性脳梗塞例 (p<0.05) に比べ有意に多かった.
    以上の検討結果より多発小梗塞痴呆例では, 主として, 2,3-DPG低下による酸素解離能 (P50) 低下がみられ, このような異常は脳微小循環における酸素供給能に影響を及ぼし, 多発小梗塞痴呆の重要な原因のひとつである可能性が示唆された.
  • 島本 順子, 島本 博幸, 中村 英雄
    1988 年 25 巻 3 号 p. 309-315
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    横断性脊髄障害を初発症状とし, Gottron's sign を呈した高齢者全身性エリテマトーデス (以下SLE) の1例を経験した. 症例は70歳女性で, 両下肢筋力低下に引続く横断性脊髄症状を認め, その後, 四肢関節痛, 両側指関節背側面の扁平隆起性紅色丘疹 (Gottron's sign), 顔面の discoid 疹の出現と共に, 抗核抗体陽性となり中枢神経障害を伴うSLEと確診した. 頭部CT, MRIにて脳多発性小梗塞像を認めたが, 延髄, 頚髄に異常を認めなかった. 自験例はSLEによる血管障害が原因したと考えられる横断性脊髄障害を示し, また皮膚筋炎に特異的であるとされている Gottron's sign を認めておりSLEの臨床症状として示唆に富む症例と考えられた.
  • 1988 年 25 巻 3 号 p. 316-343
    発行日: 1988/05/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
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