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目的】本研究は, 都市部在宅中高年者を対象として, 7年間の観察期間中における主観的幸福感と生命予後の関連について性別に検討することを目的とした.【
方法】10年間にわたる長期縦断研究 (TMIG-LISA心理班) 参加コホートのうち, 2,447名 (男性1,034名, 女性1,413名) を分析対象とした. 1993年から2000年まで7年間の観察期間中における生存時間 (単位: 年) を算出し生命予後の指標とした. 主観的幸福感 (PGCモラール総得点), 年齢, 教育年数, 一年間の入院有無, 治療中の生活習慣病有無, 同居者有無を1993年時点で測定・聴取した.【
結果】2000年時点における生存状況の確認を行ったところ, 生存2,006名, 死亡183名, 中途脱落258名であった. 主観的幸福感の平均値は, 男性12.3±3.2点, 女性11.9±3.5点であった. 年齢, 教育年数, 一年間の入院有無, 治療中の生活習慣病有無, 同居者有無を調整した共分散分析を行ったところ, 性差は有意でなかった. 主観的幸福感の関連要因について主観的幸福感を目的変数とする重回帰分析により性別に検討したところ, 男女ともに教育年数, 治療中の生活習慣病有無, 一年間の入院有無, 同居者有無において有意な関連が認められ, さらに男性において年齢で有意な関連が認められた. 主観的幸福感と生命予後の関連について, 年齢, 教育年数, 一年間の入院有無, 治療中の生活習慣病有無同居者有無を調整した Cox 比例ハザードモデルにより性別に検討したところ, 男女ともに, 主観的幸福感と生命予後に有意な関連が認められ, 主観的幸福感が低いほど生命予後が不良であった.【
結論】中高年期において, 主観的幸福感は生命予後の予測因子として有効であることが示唆された.
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