日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
36 巻, 1 号
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  • 三好 功峰
    1999 年36 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 日高 一郎, 山本 義春
    1999 年36 巻1 号 p. 8-15
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    「確率共振 (Stochastic Resonance; SR) とは, 非線形なシステムに, あるレベルのノイズを加えたとき, 微少な入力信号に対する応答が最適化されるという現象であり, 近年, 物理学, 工学, 生理学等の広範な自然科学の分野で非常に注目されている. とりわけ神経系におけるSRは, 閾値以下の信号を検出可能にするという点で極めて画期的であり, 1個のニューロンやニューラル・ネットワークの数理モデルにSRを見いだす理論研究, あるいは, 実験動物の神経素子に実際にノイズを加えたり, ヒトの視覚-認知系, 皮膚感覚-認知系におけるSRを調べる実証的研究が行われてきた. また, 生体には1/fβ型 (特にβ=1) のスペクトル構造を持つ信号が遍在していることが知られているが, SRのノイズ項にさまざまなβをもつノイズを適用してシミュレートしたところ, 実際の生体信号と同様の有色雑音 (β=1) を負荷した方が, スペクトルが一様で時間相関のない白色雑音 (β=0) を用いるよりも低いノイズ強度で至適応答に達したという研究結果が報告されており, このことは生体1/fゆらぎの機能的意義をSRによって説明できる可能性を示唆するものである. SRにおいては, ノイズは信号を攪乱するものではなく, 逆に信号の検出力を高める媒体であるとみなせることから, 適切なノイズを外部から人工的に負荷することによって, 加齢や疾病によって低下した感覚機能を回復/向上できるかもしれない.
  • 久山町研究から
    藤島 正敏
    1999 年36 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 野本 亀久雄
    1999 年36 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 井口 昭久
    1999 年36 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 川本 龍一, 岡本 憲省, 山田 明弘, 小国 孝
    1999 年36 巻1 号 p. 35-39
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    近年, 老人人口およびそれに伴う長期臥床患者や独居老人の増加に伴い, 在宅ケアの必要性が急速に高まっている. そうした中, 在宅ケアにおける患者 (以下被介護者) の健康に関する把握は従来よりなされているが, それを看る介護者の健康に関わる環境要因の把握は未だ十分ではない. 核家族化や介護者自身の高齢化が目立つ状況下, 介護者の負担をいかに軽減できるかも在宅ケアを進めていく上で重要な要因と考えられる. そこで介護者の負担度と主観的幸福感を調査し, それに及ぼす影響因子について検討した. 対象は, 当院で訪問診療・看護を受けている高齢者あるいは長期臥床患者の家族で, 1年以上常に患者の介護にあたっている介護者20名である. 方法では, 介護者については年齢, 性別, 被介護者との続柄や人間関係, 副介護者・職業・趣味活動の有無, 健康状況, 介護期間, さらに抑うつスコア, 社会的支援度, 介護負担度, 主観的幸福感を調査し, 被介護者については年齢, 基礎疾患, ADLの程度を調査した. その結果, 介護者の負担度については, 介護者側では女性ほど (p<0.05), 被介護者との人間関係や自身の健康状況が良くないほど (各々p<0.05), また手段的支援ネットワークや情緒的支援ネットワークでの点数が低いほど (各々p<0.005, p<0.05) 大きくなり, 被介護者側では年齢が高いほど (p<0.05), ADLでは離床が困難であるほど (p<0.05) 大きかった. 介護者の主観的幸福感については, 副介護者がいるほど (p<0.005), 手段的支援ネットワークや情緒的支援ネットワークでの点数が高いほど (各々p<0.05) 大きくなり, ADLでは情報の理解が可能であるほど (p<0.05) 小さかった. 本調査により, 介護者の負担度を軽減し, 主観的幸福感を失わずに介護を続けていくには, その手段的・情緒的支援ネットワークの充実を計ることの重要性が示唆された.
  • 鈴木 隆雄, 吉田 英世, 石崎 達郎, 湯川 晴美, 渡辺 修一郎, 熊谷 修, 新開 省二, 柴田 博, 中村 哲郎, 細井 孝之, 安 ...
    1999 年36 巻1 号 p. 40-44
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    我が国の高齢化社会を背景として急増している大腿骨頸部骨折を予防する目的で, 最近欧米で開発され利用されている大腿骨頸部骨折予防装具について, その装着率や脱落理由などの基本的研究を行なった.
    対象となったのは秋田県山間部農村に住む在宅高齢者 (70歳以上) で, 過去1年間に転倒した経験を有する女性20名である. この対象者にデンマーク製の硬質ポリプロピレン製パットの入った装具 (9名) とフィンランド製の軟質強化ゴム製パットの入った装具 (11名) の2種類を用いて, 平成9年9月から平成10年3月まで6カ月間追跡調査を行なった.
    結果として, 硬質装具は第1週で1/3が脱落し, 6カ月後ではその装着率は44%であった. 一方, 軟質装具の脱落率は比較的低く, 最終的に73%が装着を維持していた. 脱落理由として, 初期では「排尿時に間に合わない」が多く, 後期では寒い時の「下着の重ね着時に窮屈」などであった. 装着継続群と脱落群との差としては年齢や握力などがあげられたが, 20名という少ない人数では明確な差異は抽出しえなかった.
    今回の研究から, 予防装具は最初に充分な説明と動機付けの得られることが重要であり, その後のより細かな指導と動機を維持するならば (硬質, 軟質を問わず) 比較的高い装着率を維持することが可能であり, 高齢者の転倒による大腿骨頸部骨折を予防することが充分可能であると考えられた.
  • 松下 哲, 稲松 孝思, 橋本 肇, 高橋 龍太郎, 高橋 忠雄, 森 真由美, 木田 厚瑞, 小沢 利男
    1999 年36 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    外来通院患者について, 希望する終末場所, 不治の病で余命3カ月と仮定した場合の延命医療, 告知, 早期癌の場合の告知, 配偶者が終末期の場合に配偶者へ告知するかどうか, 脳が重度に障害され嚥下障害があり自分の意思を表明できない状態に陥った場合 (自己決定不能状態) の水分栄養補給, 痛み, 呼吸困難のケア, そのような場合に肺炎や出血, 腸閉塞が起こった場合の治療についてアンケート調査を行った. 562人, 73.4歳±8.6歳 (平均±標準偏差), 男女比1:1.7より回答を得た. 終末期での病名告知は60%が希望し, 病状の説明まで加えると78%に上った. 余命日数の告知希望率は53%に減少した. 早期がんで根治可能な場合の病名告知希望率は65%にとどまった. 配偶者が終末期にある場合, 配偶者への告知希望率は42%に低下した. 自分自身の告知の希望は高いが, 家族には告知しない態度が老人差別や偏見とならんで臨床の現場での告知率を下げていると思われる. 終末場所の希望は自宅64%, 病院24%であった. 終末の医療では, 自然の寿命に任せて欲しいは80%, 延命医療に徹するは9.3%であった. 自己決定不能状態になったときの水分栄養補給は経管栄養8.7% (胃ろう2.7%, 経鼻管6.0%), 点滴39%, 何もしないは42%で, 経管栄養の選択は延命医療と同じ程度に低い. 痛みのケアは麻薬使用40%で, 麻薬は中毒という恐れが強いため希望が低いと思われる. 終末期の輸血30%, 手術37%と実際行うことが少ないものの選択はかなりあるが, 酸素吸入56%, 抗生物質投与37%, 気管切開・人工呼吸器使用11%の選択を見ると, 自然にという意識が伺える. 緩和ケアの実際の認識は不充分だが, 終末期のケアに関して共通してみられる選択は病状の説明, 自宅で, 自然にであり, ケアの提供者はこの希望に沿った告知やケアの在り方を研究し, 情報を開示していくことが求められる.
  • 名倉 英一, 南 三郎, 永田 紘一郎, 森下 剛久, 竹山 英夫, 佐尾 浩, 鈴木 久三, 直江 知樹, 横幕 省三, 水野 晴光, 村 ...
    1999 年36 巻1 号 p. 52-58
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    頻度が少ない高齢者の急性リンパ性白血病 (以下ALLと略す) の病態と治療の現状および問題点を検討するため, 1990~95年に名古屋地区12施設で経験した60歳以上のALL20例を調査解析した. 症例の年齢分布は60歳台12例, 70歳台4例, 80歳台4例 (中央値67歳) で, 男性12例女性8例であった. 表面抗原は検索例17例中, B細胞系13例, T細胞系2例, 幹細胞系1例, 判定不能1例と76%がB細胞系であり, 染色体は結果が判断できた15例中, Ph染色体を4例 (27%, うち3例はその他の異常も認めた), その他の異常6例で, 正常染色体の症例は5例 (33%) であった. また, 10例に診断時に合併症を認め, うち2例は治療に影響を与えた.
    治療は全例に施行され, 寛解導入療法は, vincristine (以下VCRと略す) +Adriamycin (以下ADMと略す) +cyclophosphamide+mitoxantrone+L-asparaginase+prednisolone (以下PSLと略す) 4例, ADM+VCR+PSL 4例, VCR+PSL 4例, その他8例であった. 全体の寛解率55%で, 年代別では, 60歳台58%, 70歳台50%, 80歳台50%であった. 生存期間中央値は, 全体では205日で, 60~74歳 (15例) は276日と75~88歳 (5例) の121日より延長傾向を認めた (generalized Wilcoxon test, p=0.307). 主治医が判定した治療の強さは強力治療3例, 標準治療6例, 減量治療9例であったが, 減量治療の割合は年代が上がるにつれて有意に増加し (p<0.01), 75歳以上の症例はすべて減量治療であった.
    以上の結果, 高齢者ALLではB細胞系とL2の割合が増加し, 診断時に合併症が多く, 予後は非高齢成人に比べ不良であり, とりわけ, 75歳以上の高齢者ALLは強力な治療の遂行が困難であった.
  • 大下 智彦, 千田 宏司, 上田 清悟, 坂井 誠, 桑島 巖, 大川 真一郎, 江崎 行芳, 高元 俊彦
    1999 年36 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    特発性右房拡張症は, 器質的原因なく右房の著明な拡張をきたす稀な疾患である. 本症は, 先天性心疾患とされ, 高齢者例の報告は少ない. 我々は, 88歳まで生存した特発性右房拡張症の男性例を経験した. 75歳時, 心不全を発症し, 心房細動を指摘された. 77歳時, 部分的心房停止に伴う徐脈の為, ペースメーカー植込み術施行. 心エコー図にて右房優位の著明な両心房拡張を認め特発性右房拡張症と診断. 中等度の三尖弁逆流症と僧帽弁逆流症も認められた. その後, 右心不全を繰り返し, 88歳時, 低栄養と貧血を呈し入院. 心胸郭比は80%. 高カロリー輸液と輸血を施行するも心不全と肺炎を併発し死亡. 剖検にて, 心重量は460g. 右房優位の高度の両心房拡張と右房壁の著明な菲薄化, 右房拡張に伴う三尖弁輪拡張, 軽度の両心室拡張を認め, 房室弁にはリウマチ性変化や逸脱の原因となる所見を認めず, 特発性右房拡張症に合致する所見であった. 我々の検索した限りでは80歳をこえる特発性右房拡張症の報告例はみられず, 本症例は最高齢と考えられる.
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