日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
23 巻, 1 号
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  • 津志田 藤二郎, 西条 了康, 竹尾 忠一
    1976 年 23 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    茶生葉の長期貯蔵法としてCA貯蔵の試験を前回2)より行っているが,今回はCA貯蔵後の化学成分の変動を明らかにすることを目的として研究を進めた。用いた調整ガスは炭酸ガス濃度が5%であり,酸素濃度は10%, 5%, 2%(それぞれA区, B区, C区)の三種であり対照としては空気を用いた。
    貯蔵葉の呼吸状態を酸素と炭酸ガスの収支から推定したが,呼吸商の大きい二つのピークが対照区を除いた各区で, 4日目と7日目に認められた。このピークの大きさはC区, B区, A区の順であり,酸素濃度の低い区ほど高かった。また貯蔵後8日目よりエチレンを測定したが,エチレンの発生量は対照区が最も多く, A区, B区, C区の順であった。さらに貯蔵日数の長くなるにつれて発生量が多くなり,対照区には14日目で4.05μl/kg/hr.となった。
    タンニン,カフェインは貯蔵することにより変動がほとんど認められず,二週間後にタンニンがやや減少した程度であった。アスコルビン酸は貯蔵することにより激しく減少したが,特に還元型アスコルビン酸の減少が著しかった。各試験区間では酸素濃度の高い区ほど減少が著しかった。アミノ酸についてはグルタミン酸,アスパラギン酸,グルタミン,アスパラギン,テアニンの5種類の分析を行ったが,これらのアミノ酸の増減には一定の傾向が認められなかった。(しかし各試験区間の差異をみると対照区では他の三区よりアミノ酸の増減幅がやや大きい傾向を示した。終りにのぞみ,アミノ酸の自動分析について種々の御配慮をいただいた静岡県茶業試験場化学研究室,小野田技官に謝意を表する。
  • (第4報)米国および中国産大豆の粒度とタンパク質・炭水化物および灰分含量
    平 春枝, 平 宏和
    1976 年 23 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 米国産および中国産大豆を粒度別に3段階(大・中・小)に篩別し,タンパク質・炭水化物および灰分含量におよぼす試料および粒度の影響を検討した。
    (2) 両国産間において,タンパク質含量に有意差は認められないが,炭水化物含量は中国産が米国産に比ベて4.7%(粒度1), 6.6%(粒度2), 7.3%(粒度3)高く,灰分含量は米国産が中国産に比べて6.1%(粒度1),7.4%(粒度2), 11.4%(粒度3)高く,いずれも有意差が認められた。
    (3) 粒度低下によりタンパク質含量の低下と炭水化物含量の増加が認められたが,灰分含量には著しい差が認められなかった。すなわち,粒度1と3を比べると,タンパク質では米国産で1.5%,中国産で4.5%の低下,炭水化物では米国産で5.7%,中国産で7.4%の増加が認められた。
    (4) 品種(試料)および粒度がタンパク質・炭水化物および灰分含量におよぼす影響を分散分析により検討すると,品種(試料)の影響が両国産のタンパク質・炭水化物・灰分に認められ,一方,粒度の影響が中国産のタンパク質・炭水化物において強く認められた。
    (5) 成分間の相関は,タンパク質と脂質含量間に負相関が米国産において,タンパク質と炭水化物含量間に負相関が中国産において,それぞれ認められた。また,脂質と炭水化物含量間に負相関が中国産において認められた。
    終わりに臨み,試料の分与を賜わったアメリカ大豆協会および太洋物産株式会社に謝意を表します。
  • (第1報)アミロース含量の異なるトウモロコシデンプンの性質に及ぼすγ線照射の影響
    渡邊 幸雄, 綾野 雄幸, 小原 哲二郎
    1976 年 23 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市販の5種類のデンプン(アミロメイズVII,アミロメイズV,普通トウモロコシ,モチトウモロコシおよび馬鈴薯デンプン)に2万~100万radのγ線を照射し,その試料についてアミログラフィー,比粘度,ヨウ素呈色度,還元力, pH,酸度,カルボニル数およびβ-アミラーゼ分解率を測定し,次の結果を得た。
    (1) デンプンにγ線を照射すると崩壊を受けることが,照射線量の増加に伴うアミログラム粘度および比粘度の低下,ヨウ素呈色度の減少,還元糖値の増加から見られた。また酸化も受けることがpHの低下,滴定酸度およびカルボニル数の増加から見られた。以上のように性質変化は用いたすべてのデンプンで見られたが, 2種類のアミロメイズデンプンは他のデンプンよりも照射による変化が少なかった。これらの性質変化のうち粘度特性が最も低線量(5万rad)で変化したが,他の性質変化は20万rad以上からであった。
    (2) 普通トウモロコシ,モチトウモロコシおよび馬鈴薯デンプンのβ-アミラーゼ分解率は100万radの照射時でわずかに向上する傾向を示したが,アミロメイズVIIおよびアミロメイズVデンプンでは逆に分解率の低下が見られた。この分解率の低下はアミロース含量の高いアミロメイズVIIデンプンで大きかった。
    終りに本実験を行なうにあたり,試料デンプンを提供くださった豊年製油株式会社および日本化薬株式会社に深謝します。γ線照射に御協力いただいた理化学研究所の岡沢精茂博士,アミログラフィーの測定に御便宜いただいたお茶の水女子大学福場博保教授に深謝します。また本報告をまとめるにあたり,御助言をいただいた食品総合研究所の貝沼圭二博士に深謝します。
  • (第3報)インライン搾汁方式で得た各種カンキツ精油の成分について
    伊福 靖, 前田 久夫, 沢村 正義
    1976 年 23 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    インライン搾汁機による搾汁時に多量に排出される搾汁粕の洗浄液から,連続的に遠心分離して得られる精油の成分を知る目的から,温州ミカン,夏柑,カボスの精油を採取し,物理化学恒数の測定,ガスクロマトグラフ分析を行い,次の結果を得た。
    (1) 温州ミカン,夏柑,カボスとも比重,屈折率には大きな差異はみられなかった。旋光度はカボスが最も低く,酸価は夏柑が高く,カボスが最も低かった。アルデヒド含量はカボスが多く,夏柑と温州ミカンは同程度であった。
    (2) PEG-6,000を用いたカラムで,150℃の恒温式と70℃~170℃の昇温式で高沸点成分と全体成分に分けて分離したが,3種に共通した主要成分は, D-limo-nene, γ-terpinene, myrcene, α-pineneなどであり,テルペン系炭化水素が96~97%の高率を占めた。とくに夏柑ではγ-terpinene, linaloo1が多く,カボスはmyrcene, linaloo1, n-decylaldehyde, n-decylalcoholなどが多く検出された。
    (3) 温州ミカンの精油から25,夏柑から27,カボスからは27の成分を検出し,組成比を従来の報告と比較したが,それぞれの数値は実験的規模で行われた分析値と近似しており,今後,インライン搾汁機の利用により良質の精油を連続的に採取しうる見通しを得た。
    終りにあたり終始,御指導,御助言,御校閲を賜わった九州大学芥田教授,筬島助教授ならびに発表を許可していただいた横矢乾会長に深謝します。
  • (第2報)部分分解の効果について
    青木 宏, 松浦 英子
    1976 年 23 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    脱脂大豆から調製した分離タンパクを用い,その乳化特性におよぼすタンパク質部分分解の効果を検討して以下の結果を得た。
    (1) プロテアーゼ(長瀬:ビオプラーゼ)による部分分解では,基質に対する酵素量0.05%, pH63, 45℃処理により,あまり苦味を呈さない分解物を得た。このもののpH4.5におげる乳化安定性は,未分解タンパクに比べて明らかにすぐれていた。
    (2) 0.05N塩酸による95℃, 5-48時間分解で,ほとんど苦味のない分解物を得た。このもののpH4.5における乳化力および乳化安定性はともに未分解タンパクのpH7における値をしのぐ高い性能を示した。
    (3) 酵素量が基質に対して0.3%の場合,および塩酸濃度が2-3Nの場合は,得られる分解物の乳化特性値が一定せず,またいずれも強い苦味を示した。
    上記の条件,特に希酸による部分分解が,とくに中性から弱酸性領域における大豆タンパクの乳化特性をいちぢるしく向上させる事実は,分解物を食品加工に利用する面から注目すべきものと考えられる。
    終りに,大豆をお分け頂いた味の素株式会社に対し感謝の意を表します。
  • 青木 宏, 梅沢 美千代
    1976 年 23 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    n-パラフィンを炭素源として培養したCandida属酵母の乾燥粉末を用い,それから抽出される各タンパク区分の乳化力(EC)および乳化安定性(ES)を測定し,次の結果を得た。
    (1)水抽出液のEC, ESは,タンパク質の等電点領域(pH4.5付近)で低下することなく,酸性からアルカり性に向ってゆるやかに増加した。また,抽出液の加熱処理および乳化時の食塩濃度によって,水抽出液のEC, ESはほとんど影響を受けなかった。
    (2) 0.125Nアルカリ溶液による常温抽出液から等電点沈殿させたタンパクのEC, ESは,等電点領域でやや低下するが,全体的に酸性からアルカリ性に向って増加した。乳化時のタンパク濃度とともにECは減少し,ESは増加した。この挙動は熱アルカリ抽出タンパクにおいても同様に認められた。乳化時の食塩濃度によってEC, ESとも著しい変化を示さず,やや低下する傾向が認められた。
    (3) 0.125Nアルカリ溶液による85℃抽出液,およびこれからpH4.5で沈殿するタンパクを除いた上澄液のEC, ESは,ともに等電点領域においてピークを示した。一方,等電点沈殿タンパクのEC, ESは,等電点領域において最低値を示した。
    (4) 本酵母タンパクの乳化特性は,大豆タンパクに比べて同等以上の水準にあり,とくに中性から弱酸性にかけて相対的に高い値を示すことが食品利用の観点から注目された。
    終りに,本実験を行なうに当って御指導,御鞭撻を賜った東大名誉教授山田浩一先生,および試料をお分け頂いた鐘淵化学工業株式会社に対し,深く感謝の意を表します。
  • 国府田 佳弘, 小宮 俊幸
    1976 年 23 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    加熱押出し法によって小麦粉を加工するときの基本的特性をフローテスタを用いて定量的に追求し,次の結果を得た。
    (1) 薄力粉は加圧力150kg/cm2のときに138℃近辺から流動を開始し, 170℃を越えると多孔質の組織を持ち始め190℃を越えると流出物は麸状となる。加圧力200kg/cm2のときは温度に伴う膨化率の上昇がこれよりも明確で, 190℃を越えると膨化率は減少する。(Fig. 3(a),(b))
    (2)強力粉の場合には膨化率は前二者よりも低く,膨化率の極値も現れない。(Fig. 3(c))
    (3) 膨化率は見かけの粘度と密接な関係があり,その両者の関係は次式によって示される。
    (薄力粉)
    (強力粉)
  • 1976 年 23 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1976/01/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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