日本海水学会誌
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28 巻, 6 号
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  • 海水中の汚染物質の気液平衡関係 (第2報)
    白田 利勝
    1975 年 28 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    海水中の汚染物質としてフェノール系物質をとりあげ, フェノール, o-クレゾール, m-クレゾール, チモール, α-ナフトールの5種の物質に対して種々の条件下で気液平衡関係を測定した.
    これらの物質と水系の気液平衡関係は, 溶液のpHによってはあまり大きな影響を受けないが, 海水塩分濃度の影響は著しく, 塩分濃度が増加すると気液平衡比 (K値) も増加する傾向がみられた.これは塩析効果によって生じたものと思われる. また系の沸点 (系圧力) が高くなるにつれK値も漸増する傾向がとらえられた.
    これらのフェノール系物質の蒸気相への濃縮の度合は次のようにこなった. チモール>o-クレゾール>m-クレゾール>フェノール>α-ナフトール
    この傾向は3,000ton/dayの添加実験の結果と完全に合致した.
    フェノール-水系, α-ナフトール-水系に関して単蒸留実験を行ないその結果を気液平衡関係データと比較しでみたところ同様の傾向が得られた.また気液平衡関係の結果とRayleighの式を用いて単蒸留計算を行ない単蒸留実験の結果とくらべてみたところ両者はよい一致をみせた. このことより単蒸留計算の手法を連続的に用いれば, 実際の蒸発法海水淡水化装置内での汚染物質の挙動が推測されるものと思われる.
  • 宮武 修, 藤井 哲, 田中 俊昭, 中岡 勉
    1975 年 28 巻 6 号 p. 386-396
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    多段フラッシュ蒸発装置内のフラッシュ蒸発における非平衡温度差に関して, 従来提出されている実測値および経験式を, フラッシュ室長を考慮する意味で, 液のフラッシュ室内平均滞留時間を導入して比較した.3.45m以上の比較的長いフラッシュ室長をもつ空段に対する実測値は変形したBLH社の経験式Eq.(6') と最も良好な相関を示したが, 2.13m以下の短いフラッシュ室長の空段に対する実測値は経験式Eq.(6') と相関しなかった.このことは, 空段においてフラッシュ室長が短くなると, 室内における入口領域と出口領域の流れが干渉するようになって液面近傍で逆流が生じ, 流入液噴流は逆流してくる蒸発の完了した冷たい液を巻き込み, 温度低下して下流域で液表面に到達するので弱い蒸発しか起きず, さらに熱い液が室底部を次段へ貫通するようになることに起因する. したがって短い室長の場合には, 蒸発促進器の設置が不可欠である.
    各種の蒸発促進器の効果を比較した結果, 乱れを起こす型式よりも, 熱い流入液をそのまま液表面近傍に送り出す型式の蒸発促進器が効果的であることがわかった.
    比較的長い室長のフラッシュ室内に蒸発促進器を設置しても, 非平衡温度差の低下は顕著でないが, 室長の短いフラッシュ室内に蒸発促進器を設置すると, 非平衡温度差は室長の比較的長い空段の場合に得られるそれと同程度まで低下するので, 蒸発促進器の設置により所要フラッシュ室長は大幅に減少する.
  • 遣沢 哲夫
    1975 年 28 巻 6 号 p. 397-400
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    フラッシュ蒸発法海水淡水化によって海水から得られる淡水の水質を, 東京工業試験所臨海研究施設にある39段高流速長管式蒸発装置の生成淡水についてしらべた. この淡水は固形分量の非常に少ない蒸留水であって電気伝導度は2~4μである.装置材料金属の溶出により鉄・銅・亜鉛をそれぞれ数十ppbのオーダーで含有する. また原料海水が汚濁している場合はアンモニアおよびCOD成分の混入するおそれがある.
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