尿酸を Uricase で酸化する際, 尿酸濃度に応じて消費される酸素の消費速度をポーラログラフ式酸素電極でとらえるベツクマングルコース分析計による血清尿酸の測定法について検討を行ない, 次のような結果を得た.
1) 検量線は尿酸値12mg/dlまでは原点を通る直線となるが, それ以上の濃度では多少下向く傾向を示した.
2) 同時測定 (n=10) による測定精度は尿酸の正常値血清でC.V.=±3.0%, 高値血清でC.V.=±2.2%であった. 日差変動 (n=10) はプール血清でC.V.=±3.6%と良好な精密度を示した.
3) 回収率は97.4~101.3%で, その平均は99.5%となった.
4) ブドウ糖, システイン, フエノールは影響を示さないが, アスコルビン酸100mg/dlは尿酸として1.3mg/dlの正誤差を, ホルムアルデヒド10mg/dlは0.4mg/dlの負誤差を示した.
5) 反応温度は30~40℃の範囲では温度の変化による測定値への影響を認めなかった.
6) Uricase を主成分とする酵素試薬は少なくとも5回は使用可能であった.
7) 患者血清80検体の本法とリンタングステン酸法との相関係数 (γ) は0.950, Uricase catalase 比色法との相関係数 (γ) は0.910と良好な相関を示した. 測定値は Uricase catalase 比色法5.3mg/dl, 本法5.4mg/d
l, リンタングステン酸法6.0mg/dlであった. 患者尿40検体の本法とリンタングステン酸法との相関係数 (γ) は0.946, Uricase catalase 比色法との相関係数 (γ) は0.918と良好な相関を示した. 測定値は Uricase catalase 比色法57.7mg/dl, 本法60.0mg/dl, リンタングステン酸法73.9mg/dlであった.
以上の成績より, 本法は微量の試料で, 尿酸の真値を, 再現性よく, 迅速, 簡便に測定することができるので,現時点においてもっとも優れた血清尿酸の測定法の1つと考えられる.
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