本研究の目的は, われわれが新しく考案した介護負担度評価尺度 (Assessment of the Burden on Caregivers: ABC-16) の信頼性と妥当性を検討することである.
対象は在宅介護家族82名 (男21, 女61, 平均年齢61±13歳) で, 失語, 運動麻痺などの身体症状を有する脳卒中後リハビリテーション患者の主たる家族介護者51名 (平均年齢63±11歳, 第1群) と, 慢性統合失調症を有する精神科リハビリテーション患者を介護する主たる家族31名 (平均年齢58±14歳, 第2群) から成る.
ABC-16は, 4つの領域 (患者負担尺度, 生活負担尺度, 経済負担尺度, 健康負担尺度), 8つの下位尺度, 計16項目から構成されている3件法の非特異的自己記入式テストである.
ABC-16の内的整合性 (α係数) は, α=0.854を示し, 4つの各領域において相互に有意の相関が見られた (P<0.0001). 因子分析により, 5つの潜在因子が得られ, ABC-16を構成している4領域との比較検討を行った. 重回帰分析を用いた構成概念妥当性の検討では, ABC-16総計は, 夜間の介護 (P=0.045) と有意の関連が得られた.
ABC-16総計の平均は14.66±7.87 (患者負担尺度4.10±2.36, 生活負担尺度4.21±2.54, 経済負担尺度2.93±2.65, 健康負担尺度3.43±2.32) で, 第1群と第2群間で差のある傾向が見られた.
ABC-16は, 高い信頼性と妥当性を有する介護負担評価尺度で, かつ, 実施が簡便で迅速であるというスクリーニングテストとしてもっとも重要な有用性のあることが示唆された.
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