日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
42 巻, 2 号
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  • 中村 茂樹, 宮崎 義継, 河野 茂
    2005 年 42 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高齢者は加齢に伴う臓器機能, 生理機能, 免疫能の低下に加え, 糖尿病や心, 脳血管障害など多彩な基礎疾患を有するため感染症に罹患する機会が多く, しかも難治になりやすい. 特に肺炎は加齢に従ってその頻度が増加し, 90歳以上の高齢者では死因の第一位を占める. 高齢者は一般成人と比較し, 加齢による腎機能の低下と心拍出量の減少, 血清アルブミン低下に伴う遊離型薬物の増加, チトクロームP450による肝薬物代謝の低下などのため薬物動態 (PK/PD) が異なる. そのため高齢者の感染症に対し抗菌薬を使用する際は基礎疾患や発症の病態, 使用薬剤による副作用や相互作用などを十分考慮する必要がある. 抗菌薬の副作用は特にグリコペプチド系薬による腎障害, アミノ配糖体による腎障害, 第VIII脳神経障害, テトラサイクリン系薬の肝障害や造血器障害に注意が必要である. さらにキノロン系薬とNSAIDsを併用した場合やカルバペネム系抗菌薬は, けいれんを生じることがある. 高齢者肺炎は呼吸器, 免疫系統の加齢による低下に加え, 脳梗塞などの中枢神経疾患や胃摘出術などの既往によっても大きく影響を受ける. 高齢者では成人のような発熱, 咳嗽, 喀痰といった肺炎の典型的な臨床症状を呈さない場合も多く診断の遅れ重症化することもある. 治療は市中肺炎ガイドライン, あるいは院内肺炎ガイドラインに準じて抗菌薬を選択することが望ましい. 高齢者では特に誤燕性肺炎, MRSA感染症の頻度が高く, さらに基礎疾患としてCOPDを有している場合が一般成人と比較して多いことも特徴である. また高齢者感染症は難治性で, 反復しやすい. このため, まず感染症を予防することが重要であり, そのためには生活環境の衛生状態を改善し, インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン接種を積極的に行うことが基本であると思われる.
  • 坂本 快郎, 市村 隆也, 水流添 周, 中尾 光善
    2005 年 42 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    老化はヒトを含む全ての生物に共通した生命現象であるとともに, 多くの疾患や病態の発生と関わっている. 近年, DNAメチル化とクロマチンをはじめとするエピジェネティクスの研究が進展して,細胞の老化現象とも密接に関わることが明らかになってきた. 加齢とともにDNAメチル化パターンが徐々に変化する事実からも, 癌や自己免疫疾患, 代謝病, 神経疾患等の発症機序との相関性が注目されている. DNAメチル化検査は技術的に確立されており, 癌の早期診断, 治療薬剤の選択や予後因子に適用されている. さらに, エピジェネティクスを標的とする薬剤開発 (エピジェネティック治療) が提唱されており, 疾患の予防や治療に貢献できる可能性が高まりつつある.
  • 基礎老化研究の応用を考える
    後藤 佐多良
    2005 年 42 巻 2 号 p. 144-151
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 横野 浩一
    2005 年 42 巻 2 号 p. 152-154
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 三木 哲郎
    2005 年 42 巻 2 号 p. 155-157
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 村上 晶
    2005 年 42 巻 2 号 p. 158-159
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 天野 恵子
    2005 年 42 巻 2 号 p. 160-163
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 奥宮 清人, 和田 泰三, 石根 昌幸, 藤澤 道子, 西永 正典, 土居 義典, 小澤 利男, 松林 公蔵
    2005 年 42 巻 2 号 p. 164-166
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    日本の3町における包括的機能を比較し, 基本的ADL悪化の危険因子を縦断的に比較検討した. 3町の地域住民全体の横断比較によるライフスタイルやCGAのパターンは, 様々であった. 日常生活機能 (ADL) の関連要因の縦断的検討では, 年齢, 女性, うつ, 転倒, 仕事, 運動習慣, 主観的QOLなどが, 関連していたが, 地域差もみられた.
  • 松林 公蔵
    2005 年 42 巻 2 号 p. 167-169
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 飯島 節
    2005 年 42 巻 2 号 p. 170-173
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    The elderly with dementia show distinct characteristics and different remaining abilities even in advanced disease. For improvement of the quality of care for the elderly, it is essential to evaluate their remaining abilities. Mini-communication Test, Braiding Test and Vitality Index have been developed to evaluate the abilities remaining in the elderly with severe dementia. The reliability, validity and usefulness of these new methods were discussed.
  • 西永 正典, 高田 淳, 奥宮 清人, 松林 公蔵, 小澤 利男, 土居 義典
    2005 年 42 巻 2 号 p. 174-176
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 鳥羽 研二
    2005 年 42 巻 2 号 p. 177-180
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 新田 順子, 熊本 圭吾, 荒井 由美子
    2005 年 42 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    本研究は, 訪問看護サービスを利用している要介護者を介護する家族介護者の現状を把握することを目的とした. 京都府南部の14の訪問看護ステーションにおいて, 介護保険により訪問看護サービスを利用していた589名に対し, 訪問看護師が訪問調査を行い, 併せて, その介護者に対し, 留置法による自記式質問紙調査を行った. 412組から回答があり, 無効票などを除外した398名を分析対象とした.
    介護者のうち, 不適切処遇の経験があると回答した者が34.9%, 在宅介護の継続が困難であると判断した者が39.7%を占めた. 介護者の不適切処遇の経験との関連が認められた項目は, 寝たきり度, 聴覚障害の有無, 問題行動, 続柄 (実子か否か), 介護負担, 介護への対処能力 (介護のやり方でまごつくこと) であった. また, 在宅介護の継続可能性の判断との関連が認められた項目は, 介護者の年齢, 続柄 (配偶者か否か), 介護負担, 介護への対処能力 (介護のやり方でまごつくこと, サービスを上手く利用できること) であった.
    不適切処遇の経験のある介護者が介護している利用者には, 問題行動が多い, 聴覚障害があるなど, 介護者の思うに任せない状況にあることが示唆された. 一方, 在宅介護の継続が困難であると判断した介護者は, 高齢の夫婦世帯が多く, 健康状態や経済状態の見通しがつかない者が多いと考えられた.
  • 在宅介護に対するホームヘルパーの役割
    福永 秀敏
    2005 年 42 巻 2 号 p. 186-188
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 田村 俊世
    2005 年 42 巻 2 号 p. 189-191
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    要介護者の負担軽減のための支援機器は数多く開発・市販されている, ここでは, 特に痴呆高齢者の介護負担を軽減する機器について述べる. 痴呆高齢者の転倒・転落防止, 俳徊や問題行動を防ぐ癒しのための支援機器, 要介護者と介護者のコミュニケーションを支援する擬似会話システムについて解説する.
    高齢者介護のための支援機器の役割は, 介護者の快適化・省力化, 労働の省力化, 施設における人件費の抑制, 介護者・要介護者のQOLの向上などがあげられる. 支援機器の普及, 開発は, 主として介護保険貸与対象品目を中心に盛んに行われている. さらにロボット技術を応用した支援機器も散見される. ここでは, 痴呆高齢者に対する介護者の負担軽減のための支援機器について述べる. 痴呆高齢者のQOLの向上は, すなわち, 介護者のQOLにもつながる. われわれの研究をもとに, 転倒転落の防止, 俳徊防止, 癒し, コミュニケーション支援などをとりあげ, 現状を紹介する.
  • 丸山 将浩, 丹治 治子, 荒井 啓行, 佐々木 英忠
    2005 年 42 巻 2 号 p. 192-194
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 荒井 由美子
    2005 年 42 巻 2 号 p. 195-198
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • 板橋区超高齢者悉皆訪問調査の結果から【第1報】
    権藤 恭之, 古名 丈人, 小林 江里香, 稲垣 宏樹, 杉浦 美穂, 増井 幸恵, 岩佐 一, 阿部 勉, 藺牟 田洋美, 本間 昭, 鈴 ...
    2005 年 42 巻 2 号 p. 199-208
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    85歳以上の超高齢者は将来的に人口増が見込まれるが, その身体機能, 認知機能, 日常生活機能, 社会的活動状態, 心理的状態に関しては明らかではないことが多い. 本研究は超高齢者の実態を把握することを目的とした. 東京都板橋区I地区に在住の85歳以上高齢者を対象に悉皆調査を実施した. 独居の場合は本人のみ, 同居者がいる場合は本人および同居家族を調査対象とした. 住民基本台帳に記載の住所に居住する対象者311名中235名から調査協力が得られた. 参加率は75.6%であった. 調査参加者を何らかの介護が必要な群と介護が必要ない群に分け, 視聴覚機能, 病歴, バーセル指標, MMSE, 老研式活動能力指標, 握力, 主観的健康感, 主観的幸福感を比較した. 結果から, 地域在住超高齢者の42%が何らかの介護を必要としていることが明らかになった. また, 介護を必要としていない場合でも, バーセル指標による日常生活動作では, 完全自立であるものは70%であり, 超高齢期で虚弱者が増加している実態が明らかになった. さらに, 介護が必要な群は, 介護が必要ない群に比べて, ほとんどの指標で機能低下が確認されたが, 主観的幸福感では両群間で違いが確認されなかった.
    これらの結果は超高齢期では, 日常生活機能や身体機能の低下が亢進する一方, それらの低下に対する心理的適応が進んでいることを示唆しており, この適応プロセスを明らかにし, 心理的適応を助長・支援することが, 身体的虚弱が進行する超高齢者の Well-being の向上に重要な要因であると考えられた.
  • 飯田 紀彦, 小橋 紀之, 岡村 武彦, 長尾 喜一郎
    2005 年 42 巻 2 号 p. 209-213
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, われわれが新しく考案した介護負担度評価尺度 (Assessment of the Burden on Caregivers: ABC-16) の信頼性と妥当性を検討することである.
    対象は在宅介護家族82名 (男21, 女61, 平均年齢61±13歳) で, 失語, 運動麻痺などの身体症状を有する脳卒中後リハビリテーション患者の主たる家族介護者51名 (平均年齢63±11歳, 第1群) と, 慢性統合失調症を有する精神科リハビリテーション患者を介護する主たる家族31名 (平均年齢58±14歳, 第2群) から成る.
    ABC-16は, 4つの領域 (患者負担尺度, 生活負担尺度, 経済負担尺度, 健康負担尺度), 8つの下位尺度, 計16項目から構成されている3件法の非特異的自己記入式テストである.
    ABC-16の内的整合性 (α係数) は, α=0.854を示し, 4つの各領域において相互に有意の相関が見られた (P<0.0001). 因子分析により, 5つの潜在因子が得られ, ABC-16を構成している4領域との比較検討を行った. 重回帰分析を用いた構成概念妥当性の検討では, ABC-16総計は, 夜間の介護 (P=0.045) と有意の関連が得られた.
    ABC-16総計の平均は14.66±7.87 (患者負担尺度4.10±2.36, 生活負担尺度4.21±2.54, 経済負担尺度2.93±2.65, 健康負担尺度3.43±2.32) で, 第1群と第2群間で差のある傾向が見られた.
    ABC-16は, 高い信頼性と妥当性を有する介護負担評価尺度で, かつ, 実施が簡便で迅速であるというスクリーニングテストとしてもっとも重要な有用性のあることが示唆された.
  • 板橋区超高齢者悉皆訪問調査から【第2報】
    岩佐 一, 権藤 恭之, 古名 丈人, 小林 江里香, 稲垣 宏樹, 杉浦 美穂, 増井 幸恵, 阿部 勉, 藺牟 田洋美, 本間 昭, 鈴 ...
    2005 年 42 巻 2 号 p. 214-220
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    本研究は, 都市部に在宅する超高齢者を対象として実施した悉皆訪問調査の結果を用い, 身体的に自立した超高齢者における認知機能の特徴について, 後期高齢者との比較から明らかにすることを目的とした. 東京都板橋区在宅の後期高齢者513名および超高齢者168名を分析の対象とした. 認知機能は Mini-Mental State Examination (MMSE) を用いて評価し, 後期高齢者と超高齢者間における年齢差について検討した. MMSEの追加項目として,「遅延再生」で誤答した単語について再認判断を求める「遅延再認」をあわせて実施した. 教育歴, 視覚機能・聴覚機能の自己評価を共変量とする共分散分析を用いて, MMSE総得点およびMMSE下位項目得点の年齢差を男女別に検討した. MMSE総得点の平均値は, 後期高齢者男性, 超高齢者男性ではそれぞれ27.53±2.84点, 25.88±3.35点, 後期高齢者女性, 超高齢者女性ではそれぞれ27.77±2.45点, 24.98±4.32点であった. MMSE総得点では男女とも年齢差が認められ, 超高齢者の成績が後期高齢者のそれよりも低かった. このことから後期高齢期以降も全体として顕著な認知機能の低下が生じることが推測された. MMSE下位項目のうち,「即時再生」,「連続減算」,「遅延再生」において男女ともに年齢差が認められた. さらに女性では,「時間見当識」,「場所見当識」,「遅延再認」,「文章産出」,「図形模写」においても年齢差が認められた. これらは, 後期高齢期以降における加齢変化を評価するうえで有効な指標であることが示唆された.「単語逆唱」,「物品呼称」,「文章復唱」,「口頭命令」,「書字命令」, は男女ともに年齢差が認められなかった.
  • 日本語版 Zarit 介護負担尺度 (J-ZBI) を用いて
    鷲尾 昌一, 斎藤 重幸, 荒井 由美子, 高木 覚, 大西 浩文, 磯部 健, 竹内 宏, 大畑 純一, 森 満, 島本 和明
    2005 年 42 巻 2 号 p. 221-228
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    要介護高齢者が在宅生活を継続するためには, 家族介護者の負担を軽減し, 介護者の介護疲れによる入院や入所を防ぐことが大切である. 北海道東部のT町において, 家族による介護を受けている高齢者とその家族介護者を対象に日本語版 Zarit 介護負担尺度 (J-ZBI) を使用し, 介護負担に関する調査を行った. 保健師が各家庭を訪問し, 留め置き法と聞き取りの併用で調査を行った. 家族による介護を受けている高齢者とその主介護者72組のうち, 51組から協力が得られた. J-ZBIの得点により, 高負担群24組と低負担群27組にわけ, 比較検討した. 介護負担の高い介護者は低い介護者に比べ, 痴呆に伴う問題行動の多い高齢者を介護しており, 目が離せない時間が長く, 高齢者をひとりおいて外出できる時間が短かった. 高齢者の要介護度やADL, 実際の身体介護の時間は両群間で差を認めなかった. 以上より, 介護による肉体的な疲労よりも, 拘束されているという精神的な疲労のほうが高い介護負担と関連しており, 介護者のリフレッシュのための時間が必要と考えられた. また, 介護負担の高い介護者も低い介護者も介護保険によるサービスを限度額の3~4割しか, 利用しておらず, 利用者にとってもっと使いやすいサービスの提供が必要と考えられた.
  • EOQOLによる高齢骨粗鬆症QOL評価
    堀内 敏行, 小林 義雄, 細井 孝之, 石橋 英明, 山本 精三, 矢富 直美
    2005 年 42 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    50歳以上での骨粗鬆症患者のQOL評価表は存在しても, 65歳以上での高齢者に限った骨粗鬆症QOL評価表は存在しない. 骨粗鬆症患者におけるQOL尺度を作成し, 脊椎圧迫骨折の急性期および慢性期において患者に施行しその信頼性, 妥当性の検討を行った. 方法は, 骨粗鬆症患者のQOLを評価するため, JOQOL評価票とは異なる高齢者用のQOL評価表を作成した (EOQOL). EOQOLの作成方法は,骨折患者のフォーカスグループからキーワードを抽出し, 痛み, 動作の制限, 気分や不安などの心理的影響, 生活行動の制約, 生きがいへの影響の各側面を評価する項目で構成した. 急性期の骨粗鬆症患者30名と慢性期の患者101名に対して面接調査を行い信頼性, 妥当性について解析した. 結果は, 各下位尺度の信頼性を示す Crohnbach のα係数は, いずれの下位尺度についてもα係数の値が0.7以上の十分な信頼性が確認された. また, 妥当性検討の一環として, 急性期の患者と慢性期の患者の各得点の平均値を比較をしたところ, 感情的な気分や不安については2群の間には有意な差異は見られなかったが, 痛み, 動作の制限, 移動の制限, 生理的行動の制限, 義務的行動の制限, 余暇的行動の制限, 生活の満足度の各下位尺度において, 両群に統計的有意差が見られた (p<0.05). これらの結果は, 2群の患者の医療場面や生活場面における行動の差異と合致するものであり, 我々が作成した高齢者骨粗鬆症患者のQOLの評価が妥当性を持っていることが示された. 今後この高齢者骨粗鬆症に特異的QOL評価表を用いて骨折数, 骨折部位とQOLの関係の検討, また治療効果の縦断調査にも応用したい.
  • 松浦 貴彦, 宮尾 益理子, 水野 有三
    2005 年 42 巻 2 号 p. 235-240
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は93歳男性. 10年程前より2型糖尿病にて近医通院中. HbA1cは10~12%, Crは2mg/dL前後で経過. 高齢を理由にインスリンは導入されず glibenclamide, voglibose 内服. 2003年2月よりglibenclamide, buformin 内服に変更. 2002年5月, 下腿浮腫のため furosemide 内服開始し, 改善ないため2003年3月 spironolactone を追加. 2003年5月より食事摂取不良が出現, 5/29呼吸困難, 意識障害にて当院入院. 入院時は血糖87mg/dl, HbA1c 12.5%, 腎不全 (BUN 75mg/dl, Cre 3.9mg/dl) と高乳酸血症 (253.1mg/dl), 著明な代謝性アシドーシス (pH6.97, AG=45.3mmol/l, room air) を認めた. 乳酸アシドーシスと腎不全に対し, 炭酸水素ナトリウム剤と補液にて全身管理を行い救命し得た. 内服薬は全て中止し, インスリン導入し糖尿病コントロールは良好となったが, 今回の入院により著明なADLの低下を認め, 在宅での療養は困難と判断し, 結果的には転院となった. 本症例は高齢者糖尿病における適切な薬剤選択を考えるため示唆に富む症例と考え, ビグアナイド剤使用の危険性も踏まえ報告する.
  • 越坂 理也, 前澤 善朗, 河村 治清, 小林 一貴, 藤本 昌紀, 浅海 直, 橋本 尚武, 森 聖二郎, 横手 幸太郎
    2005 年 42 巻 2 号 p. 241-244
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    症例は72歳の男性. 14年前, 検診にて糖尿病を指摘され, 以後, 経口血糖降下剤によりHbA1c 6.5%前後と良好にコントロールされていた. 今回, 腎障害が進展し, 溢水のため入院となった. 腎不全, ネフローゼ症候群をみとめ腎症IV期と診断されたが, 網膜症は福田分類A-0, また神経症もアキレス腱反射の消失のみであった. 一般的に網膜症と腎症の進展には相関が認められ, 本例のように, 網膜症の進展が全く認められなかったにもかかわらず高度の腎症を呈する例は稀である. その原因ならびに糖尿病性腎症の診断的妥当性について検討した成績を報告する.
  • 2005 年 42 巻 2 号 p. 245-257
    発行日: 2005/03/25
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
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