日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
50 巻, 6 号
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目次
第55回日本老年医学会学術集会記録
パネルディスカッション4:高齢者医療とうつ
  • 伊藤 弘人, 福田 耕嗣, 服部 英幸
    2013 年 50 巻 6 号 p. 740-743
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    メンタルヘルスが政策的観点から注目されている.精神疾患は,がん,脳卒中,急性心筋梗塞および糖尿病に続き,医療計画上の5疾病目に2013年4月から追加された.都道府県では,地域医療計画を推進していくこととなる.身体疾患と精神疾患との合併の増加により,患者情報は精神科医療と非精神科医療の関係者で共有され,保健医療制度のなかでのコーディネーションが推進される必要がある.統合されたシステムにおいて,メンタルヘルスの理解が深まることにより,精神科医療へのアクセスの改善が期待できる.がん,循環器病,糖尿病,成育医療,長寿医療および精神・神経疾患を所管する6つの国立高度専門医療研究センターでは,2012年度から「うつ」のスクリーニングと管理に焦点をあてた共同ケア開発プロジェクトを開始した.メンタルヘルスケアを一般保健医療に統合するこの取り組みは,身体疾患を有する高齢患者のメンタルヘルスの改善に寄与するであろう.
  • 峯山 智佳, 野田 光彦
    2013 年 50 巻 6 号 p. 744-747
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
  • 横山 広行
    2013 年 50 巻 6 号 p. 748-751
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
  • 村田 美穂, 岡本 智子
    2013 年 50 巻 6 号 p. 752-754
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    The frequency of depression in patients with Parkinson's disease is approximately 30-40%. Depression has a significantly negative impact on the QOL in Parkinson's disease patients. It leads to the worsening of tremors and frozen gait without disease progression and decreases the patient's motivation to participate in rehabilitation. The distinguishing feature of depression in patients with Parkinson's disease is that guilt, self-blame and suicidal ideation are rarely seen compared to that observed in patients with major depression. Depression can occur in the pre-motor, diagnostic and advanced stages of Parkinson's disease. In particular, patients with wearing-off symptoms are apt to develop anxiety. As for treatment, it is very important to optimize dopamine replacement therapy. Antiparkinsonian drugs may have beneficial effects not only on the motor symptoms of the disease, but also the patient's mood. Cognitive behavioral therapy (CBT) and peer counseling may also be beneficial.
  • 千田 一嘉
    2013 年 50 巻 6 号 p. 755-758
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
  • 服部 英幸
    2013 年 50 巻 6 号 p. 759-761
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    高齢者におけるうつと認知症を論じるにあたり,虚血高齢者の精神症状という立場から論じた.虚弱高齢者は身体的な論点が多いが,精神症状を呈することも多く,臨床場面での扱いを必要としている.精神症状としてはうつ症状と認知機能低下の頻度が高く,虚弱が進行するリスクにもなっている.けれども虚弱高齢者の精神症状はそれだけにとどまらず,意欲低下,不安なども高頻度に認められる.これらの症状は身体疾患,生活機能と密接に関連しており,複合的な観点から治療にあたる必要がある.
会長企画Aging Science Forum:ヒトから学ぶ老化機構
フォーカス1:サルコペニア研究の展望
  • 杉本 研
    2013 年 50 巻 6 号 p. 766-769
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は,高齢者の転倒につながる病態として,その成因解明や予防法確立が注目されている.しかし,成因解明のための研究に適した動物モデルが少なく,また動物の高齢化に時間を要するなどの問題点がある.一方,生活習慣病の存在がサルコペニアを加速させることを示唆する報告から,生活習慣病モデル動物がサルコペニア研究に応用できる可能性がある.FBNF1ラットや自然発症高血圧ラット(SHR)に高脂肪高炭水化物食を負荷することで,サルコペニアに典型的な表現型や分子生物学的変化が,高齢化を待たずとも得られることがこれまでの検討で示されている.全身性炎症のモデルや遺伝子改変モデルは,筋量低下は呈するものの,サルコペニアに特徴的な速筋成分優位な量的減少が認められない.ヒトサルコペニアの表現型を示す動物モデルの確立は重要課題であるが,食事負荷したFBNF1やSHRは,その候補となり得ると考えられる.また,運動後の骨格筋から産生されるサイトカイン(マイオカイン)が注目されており,マイオカインが筋修復能を促進し筋肥大を誘導することから,マイオカイン産生調節がサルコペニア予防の新たなターゲットとなる可能性が考えられる.
  • 池添 冬芽
    2013 年 50 巻 6 号 p. 770-772
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
  • 小原 克彦
    2013 年 50 巻 6 号 p. 773-775
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
フォーカス2:アンチエイジングのサイエンス(抗加齢ドック)
  • 伊賀瀬 道也
    2013 年 50 巻 6 号 p. 776-779
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    超高齢化社会を迎えるわが国では,寝たきり患者を少しでも減らすことが高騰する各種医療費に歯止めをかけることにつながると考えられる.具体的には要介護の原因疾患である脳血管疾患,認知症,転倒・骨折,関節疾患,心疾患などの発症予防をおこなうことが重要であると考えられる.われわれが展開する抗加齢予防医療センターでは,おもに壮年者・高齢者を対象に動脈硬化度の診断(血管年齢の評価)や認知機能(軽度認知障害を含む)を評価するアンチエイジングドックをおこない,個人のデータに基づいた生活指導や治療介入(オーダーメイド医療)を実践するとともに研究同意を得られた受診者のデータを解析して寝たきり予防に寄与する新知見を発信している.
  • 米井 嘉一
    2013 年 50 巻 6 号 p. 780-783
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    目的:アンチエイジング検診は,機能年齢の評価を行い,機能年齢の老化予防・若返りを目指す.今回,日常生活動作(ADL)の異なる高齢者集団の検診結果の比較解析を試みた.方法:対象は自立生活群:京都市有隣地区の自立生活者43名(68.9±6.3歳),要支援群:介護事業所に通う要支援者31名(77.8±7.2歳),要介護群:介護老人保健施設入所中の要介護者19名(年齢83.7±6.8歳)とした.アンチエイジング検診として筋量測定(Physion MD),高次脳機能検査(Wisconsin card sorting test),指尖加速度脈波計(SDP-100:フクダ),骨強度検査(A-1000:横河,AOS-100NW:アロカ),血清IGF-I,DHEA-s測定を行った.Age Management Check(銀河工房,名古屋)を用いて機能年齢およびΔ年齢(機能年齢-実年齢)を算出,各群で比較検討した.結果:機能年齢は,自立生活群で筋年齢55.5±7.0歳,血管年齢65.4±8.5歳,神経年齢63.6±14.8歳,ホルモン年齢70.4±7.6歳,骨年齢60.2±14.6歳であった.歩数管理型ウォーキング指導により1,506歩/日の歩数増加を認め,0.5年で体重,BMI,ウエスト周囲径,血糖,DHEA-sの有意な改善を認めた.機能年齢提示により,参加者の目的意識が高まり,コンプライス高く,脱落率は2.5年で20%以内であった.要支援群,要介護群ではそれぞれ筋年齢58.8±3.3歳,61.9±4.0歳,血管年齢75.5±12.6歳,71.8±11.1歳,神経年齢86.5±8.8歳,88.5±5.8,骨年齢81.0±12.0歳,75.7±12.3であった.Δ年齢の3群比較でADL低下とともにΔ神経年齢が高まる傾向を認めた.結論:ADL低下要因として神経機能の低下が示唆された.アンチエイジング検診はコストパーフォーマンスに優れ高齢者にも受け入れ易いことから,すべての高齢者に推奨したい.
  • 西崎 泰弘, 山田 千積, 茂出木 成幸, 黒田 恵美子, 桑平 一郎, 谷野 隆三郎, 久保 明, 石井 直明
    2013 年 50 巻 6 号 p. 784-787
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
原著
  • 稲葉 康子, 大渕 修一, 新井 武志, 柴 喜崇, 岡 浩一朗, 渡辺 修一郎, 木村 憲, 長澤 弘
    2013 年 50 巻 6 号 p. 788-796
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,地域在住高齢者に対する運動介入が,1年後の運動行動に与える影響についてランダム化比較試験を用いて検証した.方法:対象は,65歳以上の地域在住高齢者117人(男性52人,女性65人)で,3カ月間の運動介入群と,講話による健康教室群とし,対象者を無作為に2群に割り付けた.評価は,トランスセオレティカル・モデルの運動行動の変容ステージ(以下,ステージ),身体諸機能(筋力,柔軟性,歩行速度など),身体活動セルフ・エフィカシー,老研式活動能力指標を介入前と介入終了から1年後の2時点で実施した.対象者は,運動トレーニング群60人,健康教室群57人であった.結果:介入前のステージ分布は,両群に有意差は認められなかった.2時点でのステージ変化で,「進行」は両群共に10人,「逆戻り」では運動介入群6人,健康教室群11人で運動介入群の「逆戻り」が有意に少なかった(P<.01).ロジスティック回帰分析の結果,ステージの「進行」には,介入前後のTimed up & go変化量(AOR=2.7,95%CI 1.0~1.3)と長座位体前屈変化量(AOR 2.7,95%CI 1.3~5.8)が,「逆戻り」には,グループ(AOR=4.6,95%CI=1.1~18.8)と介入前後の身体活動セルフ・エフィカシーの歩行項目の変化量(AOR 1.5;95%CI 1.0~2.3)および重量物挙上項目の変化量(AOR 0.68;95%CI 0.5~0.9)が抽出された.結論:本研究の結果,2時点のステージ変化で運動介入群は1年後のステージの逆戻りが有意に少ないことが示され,運動介入に参加することが運動習慣の維持に有効であることが示された.また,1年後の運動習慣を維持するためには,運動介入に参加し身体機能やセルフ・エフィカシーを向上させることが重要である.
  • 長谷川 潤, 榎 裕美, 井澤 幸子, 廣瀬 貴久, 葛谷 雅文
    2013 年 50 巻 6 号 p. 797-803
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    目的:高齢社会の進行に伴い,高齢者の死亡者数の増加が想定されており,それに伴って死亡(看取り)場所についての議論もなされている.自宅死を規定する因子についての検討は,これまでいくつか報告されているが,いまだ明確な結論は出ていない.今回在宅要介護高齢者の死亡場所,死因について調査を行い,特に自宅死にかかわる因子について検討を行った.方法:自宅療養中の要介護高齢者を対象とした前向きコホート研究(NLS-FE)の参加者1,875名(65歳以上,平均年齢80.6歳,男性632名,女性1,243名)とその主介護者を3年間追跡し,死亡場所,死因について検討した.結果:3年間の観察期間中454名が死亡した(病院死347名,自宅死107名).全体での死因は肺炎(22.7%),悪性腫瘍(14.5%),心不全(13.2%)の順で多く,自宅死では老衰(22.4%),心不全(18.7%)が多かった.病院死と比較すると,自宅死では女性の割合が多く,より高齢で,認知症が多く,悪性腫瘍が少なかった.また,主介護者因子としては,配偶者以外の主介護者が多かったが,主介護者の介護負担感,介護保険によるサービス(訪問看護,訪問介護,デイサービス)の利用率は両者で差を認めなかった.多重Cox比例ハザード分析により,自宅死に有意な関連を認めたものは,要介護者の年齢(より高齢)のみで糖尿病と悪性腫瘍の存在は負の関係を認めた.結論:今回の研究では,死亡場所を規定する因子としては,要介護者の年齢と,併存症として糖尿病ならびに悪性腫瘍の存在,また死因として肺炎や悪性腫瘍,老衰が抽出された.今回の調査では把握できなかった重要な因子が複数存在しており,今後更なる検討が必要である.
  • 加藤 智香子, 藤田 玲美, 猪田 邦雄
    2013 年 50 巻 6 号 p. 804-811
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    目的:二次予防事業対象者に対する運動器機能向上プログラムの介入効果の検証を行った.方法:2008年4月から2011年3月までの3年間にK市「いきいき健康教室」運動器機能向上プログラムに参加した二次予防事業対象者301名(男性108名,女性193名)を分析対象とした.プログラム内容は講義,運動,評価等であり,週1回2時間を3カ月間(12回)実施した.結果:参加者の平均年齢は男性75.4±5.8歳,女性74.6±5.6歳であった.既往歴では下肢の骨関節疾患(41.9%),高血圧(35.2%),腰痛および脊椎疾患(32.2%)を有する者が多く,過去1年間の転倒歴は49.0%であった.事前・事後の変化では基本チェックリストの運動器の機能,合計点(男性:9.1→7.2,p<0.001,女性:8.6→7.0,p<0.001)および握力,開眼片足立ち(男性:19.7→29.2,p<0.001,女性:25.1→29.8,p<0.001),Timed Up & Go Test(TUG),5 m通常歩行時間,5 m最大歩行時間に男女とも有意な向上がみられた.また,「転倒不安あり」が77.5%から70.1%に,主観的健康感でも「良い/まあ良い/ふつう」が73.6%から89.1%と有意な改善がみられた.2013年3月末時点(観察期間は1,333.1±281.4日)の新規要介護発生率は21.6%であり,主観的健康感の悪化が新規要介護発生のリスク要因であることが明らかになった(オッズ比4.99(1.04~23.90),p=0.04).結論:運動器の機能向上プログラムの介入は心身機能向上に寄与できたと考えられた.そして,健康感の向上を普段の生活での役割や社会活動参加などに結び付けていけるかどうかが長期的な介護予防には重要であると推察された.
  • 兎澤 惠子, 渡辺 修一郎
    2013 年 50 巻 6 号 p. 812-817
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    目的:高齢者の唾液コルチゾールの日内変動およびその季節変動を明らかにする.方法:介護付き有料老人ホームに入居する高齢者150名中,公募に応募し,日常生活は,老研式活動能力指標で高い自立度を示す18名(年齢79.0±8.0歳)を対象とした.対象の唾液を,10~12月(秋季),1~3月(冬季),4~6月(春季),7~9月(夏季)の,それぞれの時期の1日に,朝6時に3回,その後8,9,11,14,16,19,21時に採取を行った.6時の代表値は3回の平均値を用いた.唾液は,サリべットを用いて滅菌綿花に含ませ,専用のピンセットとシリンジで1~2 ml採取した後,専用フリーザー(-20℃以下)に冷凍保存し,7日以内に酵素免疫抗体法(EIA)にて濃度を測定した.分析は,唾液コルチゾールを従属変数とし,性別,年齢,時期,測定時刻を独立変数とした一般線形モデルにて日内変動と季節変動を検討した.結果:唾液コルチゾールに有意に関連した要因は,主効果では,時刻(朝>夜),性別(男性>女性;B=3.782),年齢(B=0.1151),時期(秋>夏)であった.さらに,時刻と性別との間に有意な交互作用がみられ,女性では6時の唾液コルチゾール濃度は男性より高く,その後濃度が漸減し大きな日内変動を示したのに対し,男性では6~11時の低下の度合いは小さく,その後漸減した.性別と時期,時期と時刻の交互作用はみられなかった.結論:高齢者の唾液コルチゾール濃度は,若年者や成人と同様に,早朝に高く夜に低くなる明らかな日内変動を有した.また,日内変動は女性の方が大きいことが示された.さらに唾液コルチゾール濃度は夏低く秋に高くなる季節変動を示した.唾液コルチゾール濃度をストレス評価の指標として用いる際には,日内変動,季節変動,性差を考慮する必要がある.
症例報告
  • 小川 明子, 新谷 哲司, 眞鍋 健一, 河本 絵里子
    2013 年 50 巻 6 号 p. 818-823
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性.30歳頃に健康診断で高血糖を指摘されていたが放置されていた.52歳で脳梗塞を発症した時に2型糖尿病と診断され,近医で経口血糖降下薬の内服を開始した.血糖コントロールはHbA1c6~7%と良好であったため,その後は食事,運動療法による加療を受けていた.平成22年12月に体重減少,頻尿が出現したため救急病院を受診.随時血糖1,003 mg/dl,HbA1c 7.7%,尿ケトン体陽性,血液ガスpH 7.293と糖尿病性ケトアシドーシスを認めた.同院で加療を受けたが,血糖コントロールが安定しないため平成23年1月に当院に転院となった.発症時,随時血糖値1,003 mg/dl,空腹時血清Cペプチド0.1 ng/ml,当院でのグルカゴン負荷後血清Cペプチド<0.5 ng/ml,膵島関連自己抗体はすべて陰性と,劇症1型糖尿病診断基準に合致する病態となっていた.またHLA genotypeは疾患感受性ハプロタイプDRB1*0405 DQB1*0401を有していた.今回われわれは2型糖尿病と診断され加療中の高齢者患者が,劇症1型糖尿病をきたした症例を経験した.高齢2型糖尿病患者のケトアシドーシスの鑑別として劇症1型糖尿病の発症も念頭に置き,適切な診断や迅速な治療の介入が必要であると考えた.
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